この記事は、企業の給与・賞与を取り扱う人事労務担当者や経理担当者、中小企業の経営者を主な対象としています。
同じ月に賞与を2回支給した場合に発生する賞与支払届の手続きや社会保険、雇用保険、所得税の取扱いについて、実務で注意すべきポイントを図表やチェックリストを交えてわかりやすく解説します。
法令上の基本ルールから届出漏れへの対応、実務上ありがちな誤解までを網羅的に説明することで、支給ミスや保険料の計算誤差を防ぐ手助けをします。
同じ月に賞与を2回支給することはできるのか
同じ月に賞与を2回支給すること自体は、法律で一律に禁止されているわけではありません。
就業規則や労働契約で賞与の支給タイミングや条件が定められている場合は、その定めに従う必要がありますが、会社の裁量で複数回支給する運用自体は可能です。
ただし、社会保険や税務上の取扱い、届出手続きが通常の一回支給とは異なる扱いになるため、事前に社内ルールや外部の専門家と確認しておくことが重要です。
法律上は禁止されていない
労働基準法などの一般的な労働法規において、賞与を同月に複数回支給することを一律に禁じる規定は存在しません。
賞与は基本的に会社と労働者の合意や就業規則に基づいて支給される賃金の一形態であるため、支給回数や時期は企業の判断に委ねられます。
とはいえ、就業規則で「賞与は年2回支給」と明記している場合などはその規定に従う必要があり、運用変更時には労使協定や就業規則の改定手続きが必要になる点に注意してください。
決算賞与や追加賞与で発生することがある
同月に賞与が2回発生する典型例としては、期末の決算賞与と業績に応じた追加賞与の同時支給が挙げられます。
例えば月初に定例の賞与を支給し、月末に臨時で追加支給するケースや、四半期末に決算賞与と別途臨時賞与を同じ月に支払う場合などが該当します。
このようなケースでは各支給ごとに賞与支払届の提出要否や社会保険料の計算方法が問題となるため、事前に届出と計算ルールを確認しておくことが望まれます。
同じ月に賞与を2回支給した場合の社会保険の取扱いとは
社会保険(健康保険・厚生年金)の賞与に関する取扱いは、同月内に複数回支給された賞与を合算して標準賞与額を算定するルールがあります。
具体的には、同一月に支給された各賞与を合算して1回分の標準賞与額を算出し、その金額を基に保険料率を適用して保険料を計算します。
この合算ルールにより、同月に複数回支給する場合は当初控除した保険料が不足または過剰になる可能性があるため、届出や事後処理に注意が必要です。
同一月内の賞与は合算して標準賞与額を決定する
社会保険の実務では、同一月に複数回支給された賞与はすべて合算して1つの標準賞与額として扱われます。
この合算結果に基づき標準賞与額を1,000円単位で調整し、健康保険・厚生年金の保険料を算定します。
したがって、同月中に分割して支給した場合でも合算した額で保険料負担が決まる点を踏まえ、届出や控除のタイミングを適切に管理する必要があります。
健康保険と厚生年金保険料に影響する
合算により算定された標準賞与額は、健康保険と厚生年金の被保険者負担・事業主負担双方の保険料に直接影響します。
結果として、1回目支給時に控除した保険料が合算後に不足した場合は追加徴収が必要になり、逆に過剰であれば返還や事後調整の手続きが発生することもあります。
また、標準賞与額にはそれぞれ上限(健康保険は年間累計573万円、厚生年金は1ヶ月あたり150万円)が設定されているため、合算額がこの上限に達するかどうかも重要な確認ポイントです。
| 比較項目 | 影響内容 |
|---|---|
| 保険料算定 | 同月分を合算して標準賞与額を決定するため、合算後の額を基準に各保険料を再計算する |
| 届出 | 賞与支払届は支給ごとにその都度提出するが、年金事務所(健康保険組合)側で同一月分として自動的に合算処理される |
| 控除タイミング | 各支給時にそれぞれの額から控除するが、合算精算による過不足が生じた場合は2回目の支給時や翌月の給与等で事後調整が必要になる |
標準賞与額とは何か
標準賞与額とは、健康保険と厚生年金保険の保険料を計算するための基礎金額であり、賞与支給額をもとに一定の単位で調整された金額を指します。
具体的には、支給された賞与額を合算し、1,000円未満を切り捨てるなどの処理を行って標準賞与額を確定し、その額に保険料率を乗じて被保険者・事業主双方の保険料が計算されます。
この仕組みは賞与の支給が臨時的であっても保険料負担が適正になるよう設計されているため、標準賞与額の算出方法を理解することが重要です。
社会保険料計算の基礎となる金額である
標準賞与額は社会保険料の算定基礎となるため、最終的な保険料負担額を決定する重要な要素です。
保険料は標準賞与額に保険料率を掛け合わせて算出され、計算結果は被保険者と事業主で折半されるのが一般的です。
したがって、賞与支給の際には標準賞与額の確定方法や端数処理のルールを事前に把握しておくことで、予想外の追加徴収や返還手続きを避けることができます。
1,000円未満は切り捨てとなる
標準賞与額を算定する際、算出された「同一月内の支給合計額」から1,000円未満の端数は切り捨てられるのが通例です。
この端数処理ルールにより、例えば同月内の1回目が50,500円、2回目が70,300円であれば、合算額120,800円から端数を切り捨てた120,000円が最終的な標準賞与額となります。
それぞれの支給ごとに個別に端数処理を行ってしまうと、合算時の標準賞与額とズレが生じて保険料の計算誤差の原因となるため、必ず「月内総額」で端数処理を行う点に留意してください。
1回目の賞与支払届を提出済みの場合はどうなるのか
1回目の賞与支払届を既に提出している場合でも、同じ月に追加で賞与を支給したときは2回目の支給分についても原則として賞与支払届の提出が必要です。
年金事務所では同一月内の複数の届出を受けて合算処理を行い、最終的な標準賞与額を確定して保険料の精算を行います。
そのため、1回目の届出だけで完了したと誤解すると届出漏れや保険料不足の原因となるため、支給ごとに届出状況を確認する運用が必要です。
2回目の賞与支払届も提出する必要がある
社会保険の手続き上、賞与を支給するたびに賞与支払届を提出するのが原則であり、同月に複数回支給した場合も例外ではありません。
届出書は支給ごとに作成し、支給日や支給額を正確に記載して提出することで、年金事務所側で正しく合算処理が行われます。
手続きの流れを社内で明確に定め、担当者が複数回の届出漏れがないよう管理することが重要です。
年金事務所で同月支給分として合算処理される
年金事務所(および健康保険組合)は同一月内に提出された複数の賞与支払届を確認し、該当する被保険者ごとに自動的に合算して標準賞与額を確定します。
この合算処理により保険料が再計算され、事業主や被保険者に不足分の納付通知(告知書)が出される場合や、過剰があれば事務的な返還や調整手続きが行われることがあります。
したがって、届出の正確性とタイムリーな提出が、後続の事務負担を軽減するために重要です。
賞与支払届を提出した後に追加賞与を支給したらどうするのか
賞与支払届を提出した後に追加で賞与を支給する場合でも、追加分について改めて賞与支払届を作成して提出する必要があります。
追加支給分は既に提出済みの届出と合算され、年金事務所で最終的な標準賞与額が確定されるため、追加支給があったことを速やかに届け出ることが重要です。
タイミング次第では既に控除済みの社会保険料や源泉所得税に過不足が生じる可能性があるため、追加支給が決まったら速やかに計算と届出を行ってください。
追加分について賞与支払届を提出する
追加賞与を支給した場合、その支給分についても別途賞与支払届を作成して提出するのが原則です。
届出は支給日や支給額、被保険者情報を正確に記載して行い、年金事務所側で正しく合算・再計算ができるようにします。
追加分の届出が遅れると合算処理が遅延し、当月の保険料告知額との不一致や事務的な問い合わせが生じるため、速やかな届出を心がけてください。
提出漏れに注意する
追加支給に関する届出を失念すると、年金事務所による合算処理が行われずに社会保険料の徴収漏れや事後的な追徴が発生するリスクがあります。
提出漏れが判明した場合は速やかに過去に遡って届出を行い、必要に応じて年金事務所に事情を説明して追加納付や調整の手続きを進める必要があります。
社内では届出状況を管理するチェックリストやワークフローを整備し、提出漏れが起きない仕組みを作ることを推奨します。
同月の賞与はどのように保険料計算されるのか
同月に複数回支給された賞与は合算して標準賞与額が算定され、その額に健康保険・厚生年金の保険料率を適用して保険料が算出されます。
計算の際には合算額の1,000円未満が切り捨てられる点や、標準賞与額に上限が設定されている場合がある点にも注意が必要です。
必要に応じて事前に試算を行い、各支給時に控除するべき概算の保険料を把握しておくと事後の調整がスムーズになります。
2回分の賞与額を合算して計算する
実務では、月内に支給された各賞与を単純に合算して1つの標準賞与額を算出し、その金額で全体の保険料を計算します。
このため、1回目の支給時に個別に保険料を計算・控除していても、2回目の追加支給によって「合算額に対する正しい総保険料」が確定するため、1回目控除分を差し引いた差額を2回目支給時(または直後の給与)に事後調整して精算する必要があります。
合算による影響を踏まえて、各支給時に見込みの保険料を控除するか、後で精算するかの社内ルールを明確に定めることが重要です。
後から保険料調整が行われる場合がある
同月で合算した結果、1回目に控除した保険料が不足している場合は追加の徴収が発生し、逆に過剰であれば返還や翌月以降の調整が行われることがあります。
年金事務所からの調整通知や事業主に対する追加納付の指示に対応するため、賞与支給に関する帳票や届出の控えを適切に保管しておくことが求められます。
また、健康保険組合に加入している場合は、組合独自のシステムにより調整方法の指定が入ることもあるため、疑問がある場合は事前に問い合わせて確認するのが確実です。
1回目の賞与で社会保険料を控除している場合はどうなるのか
1回目の賞与で既に社会保険料を控除している場合でも、同月内に追加支給があれば最終的な保険料は合算額で算定されるため、控除額の過不足が生じる可能性があります。
そのため、追加支給時には合算後の標準賞与額を見込んだ再計算を行い、必要に応じて追加徴収や返還の手続きを行う必要があります。
事前に想定される追加支給の有無を給与担当者間で共有し、控除タイミングと精算方法を明確にしておくことが実務上のポイントです。
追加賞与支給時に再確認が必要となる
追加賞与が支給されると、既に実施した保険料控除が合算後にどのように影響されるかを再確認する必要があります。
再確認の際には、各被保険者ごとの1回目控除額、追加支給額、合算後の標準賞与額を比較して不足分や過剰分を特定し、必要な対応を速やかに実施します。
精算方法や通知の要否については社内ルールと年金事務所・健康保険組合の指示を照らし合わせて決定してください。
控除額の過不足が発生することがある
同月内の合算(および1,000円未満の端数切り捨て処理)により、1回目に個別に控除した額の合計が、本来の正しい合算保険料と比べて過少となる場合は追加徴収、過剰となる場合は返還や翌月以降の調整が必要になります。
控除額の過不足は従業員との信頼関係にも影響するため、事前に「同月内合算による再精算が行われる旨」を説明するとともに迅速に精算処理を行うことが望ましいです。
帳簿や届出の記録を整備しておけば、年金事務所からの問い合わせ対応や従業員への説明が円滑になります。
賞与支払届を出し忘れたらどうなるのか
賞与支払届を出し忘れると、社会保険料の徴収漏れや年金記録の不整合、事業主に対する追徴金や過怠金のリスクが発生します。
年金事務所は届出がないまま支給された賞与を把握できないため、後日調査(定時決定や総合調査など)や是正指導が行われる可能性があり、その際に追加納付を求められることがあります。
提出漏れが判明した場合は速やかに届出を行い、必要に応じて年金事務所と連絡を取りながら是正手続きを進めてください。
社会保険料の徴収漏れにつながる
届出漏れによって年金事務所側で保険料の算出が行われないと、被保険者から適正な保険料が徴収されない事態が生じることがあります。
結果として後日、未徴収分の一括請求や事業主に対する追徴が発生する場合があり、事務負担と金銭的負担が増大します。
このため、届出の提出期限や提出先の確認、社内のチェック体制を強化し、届出漏れを未然に防ぐことが重要です。
年金事務所から指摘を受ける可能性がある
届出漏れや記載不備があると、年金事務所の定期調査等で指摘を受け、是正指導や過去に遡った追加納付の案内が届くことがあります。
指摘を受けた場合は速やかに必要な届出・修正手続きを行い、過去の支給分についても遡及して保険料を処理することが求められます。
指摘を未対応のまま放置すると、健康保険法や厚生年金保険法に基づく罰則(過料等)の対象となるリスクもあるため、早めの対応が重要です。
賞与を2回支給した場合の雇用保険料はどうなるのか
雇用保険料については、賞与が労働の対償(賃金)に該当するため、原則として毎回必ず雇用保険料の徴収対象となります。一般に賞与からの徴収が免除・非課税となる特例などは存在しないため、同月内に複数回支給する場合であっても、それぞれの支給金額に対して正確に計算・控除を行う必要があります。
雇用保険には社会保険のような「月内合算で端数を再計算する仕組み」はなく、各支給時の「実際の総支給額(総賃金)」にそのまま雇用保険料率を乗じて1円単位(50銭等、端数処理規定に従う)で計算・控除するため、各支給ごとの処理結果をそのまま給与台帳へ適切に記録することが実務上のポイントです。
それぞれの賞与から控除する
雇用保険料の対象となる賞与については、支給ごとにその支給額に応じて雇用保険料を算出し控除します。
同月に複数回支給された場合でも、雇用保険料は全体の額を合算して再調整するのではなく、各支給時点での独立した控除処理として確定させます。
ただし、雇用保険の料率は法改正によって年度の途中で変更されることがあるため、必ず支給日時点で有効な最新の保険料率を適用して正確に処理してください。
支給ごとに計算する
雇用保険料の計算は原則として支給ごとに行われ、その都度の賃金に応じた料率を適用して控除します。
このため、同月内に複数回賞与を支給した場合でも、それぞれの賞与に対して独立して雇用保険料の計算がなされるケースになります。
支給ごとの処理結果は給与台帳や明細に明確に記録しておき、従業員へ適切に説明できる体制を整えてください。
所得税はどのように計算するのか
賞与に対する所得税は、国税庁の定める「賞与に対する源泉徴収税額の算出方法」に基づいて金額を算出します。
同じ月に賞与を2回支給する場合、2回目の所得税計算は1回目とは異なり、国税庁の通達に定められた「前月中(当実務においては同月内の1回目)に支払った賞与がある場合の計算方法」を準用する特例的な計算が必要です。
具体的には、1回目と2回目の賞与額を合算して求めた総税額から、すでに1回目で源泉徴収した税額を差し引いて2回目の税額を算出する、または合算した賞与額を基に臨時の賞与レート(税率)を求めて適用するなどの厳密な処理が求められます。単にそれぞれを単独で(前月給与だけを基準に)計算してしまうと、源泉徴収漏れ(過少徴収)が発生し、年末調整での精算負担が大きくなるか、税務調査での指摘対象となるため注意が必要です。
賞与ごとに源泉徴収を行う
所得税の源泉徴収は賞与を支給するたびにその支給額に応じて行い、国税庁の定める「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」や算式を用いて税額を算出します。
同月に2回賞与を支給する場合も、それぞれの賞与について源泉徴収を実施し、給与明細にその旨を明記することが一般的です。
なお、同月内合算によって税率のランクが上がるケースが多いため、2回目の賞与からは想定より高めの所得税が引かれる場合があることを念頭に置いておく必要があります。
前月給与額との関係を確認する
賞与の源泉徴収税額を決定する基準レートは、原則として「賞与の支給月の【前月】の社会保険料控除後の給与額」と「扶養親族等の数」によって決まります。
しかし、同一月内に2回賞与を支払う場合は、2回目の支給時において「1回目の賞与額」も税額算定のベースに影響を及ぼすため、前月給与の数字だけで機械的に処理することはできません。
税務上の扱いについて少しでも不明点や計算方法の迷いがあれば、事前に顧問税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。
企業が間違えやすいポイントとは
企業が間違えやすいポイントとしては、賞与支払届は1回目だけで完了と誤認するケースや、社会保険料の同月合算ルール(端数切り捨てのタイミング)を見落としてしまう点が挙げられます。
また、控除額の過不足が生じた際の事後処理や年金事務所への報告方法を把握していないために対応が遅れることもよくあるミスです。
これらの誤りを防ぐには、社内ルールの明文化、チェックリストの運用、転記ミスや法令解釈の誤りを防ぐ担当者教育が不可欠です。
1回目の賞与支払届だけで完了と思い込む
よくある間違いは、最初の賞与支払届を提出した段階で同月内の届出がすべて完了したと誤解してしまうことです。
実際には支給ごとに独立した届出が必要であり、後から追加支給が発生した場合は、その2回目分についても改めて賞与支払届を行わなければ年金事務所での合算処理が正しく行われません。
担当者間で届出の提出状況や「同月内での支給回数」を共有する仕組みを作り、提出漏れを防止することが重要です。
同月賞与の合算ルールを見落とす
同月の社会保険料は「各支給を合算してから標準賞与額(1,000円未満切り捨て)を求める」というルールを知らずに処理すると、保険料の過不足や後日の精算業務で手間が増える原因となります。
特に端数処理や、健康保険・厚生年金のそれぞれの上限適用の判定について誤解していると、誤った保険料計算や従業員への誤った説明につながるため、ルールを明確に理解しておくことが必要です。
定期的に最新の法令や年金事務所の通知を確認し、運用のアップデートを行ってください。
給与担当者が確認すべきチェック項目
給与担当者が確認すべき主なチェック項目として、賞与支払届の提出有無、各支給の支給日と金額、合算後の標準賞与額の試算、そして従業員への説明対応が挙げられます。
これらを確認することで届出漏れや計算ミスを未然に防ぐことができ、事後の追徴や返還処理を減らすことができます。
社内でのチェックリストを作成して運用することをおすすめします。
賞与支払届の提出状況を確認する
まずは賞与支払届が各支給ごとに漏れなく正しく作成され、提出されているかを確認してください。
提出先や提出方法、提出期限(支給日から5日以内)を明確にしておき、提出後は控えを保存しておくことで、後日の問い合わせや調整に迅速に対応できます。
特に同月に複数回支給がある場合は、全ての回数分の届出が揃っているかをダブルチェックする習慣をつけましょう。
社会保険料の計算結果を確認する
次に、合算後の標準賞与額に基づいて算出された社会保険料の計算結果を確認し、1回目に控除した金額との合計額に差異がないかをチェックしてください。
差異が生じた場合はその原因を明らかにして追加徴収や返還の必要性を判断し、従業員への通知など適切な手続きを行います。
計算過程の明細や記録を残しておけば、年金事務所からの問い合わせにも速やかに対応できます。
- 各支給ごとの賞与支払届の有無、および提出日(5日以内)を確認する
- 同一月内の全賞与を合算し、正しい標準賞与額(1,000円未満切り捨て・上限判定)を試算する
- 1回目に控除済みの社会保険料と、合算精算後の本来の保険料との差額をチェックする
- 所得税の計算において、同月内1回目の賞与額を加算した特例的な源泉徴収(差額精算等)が行われているか確認する
- 控除額の変動について、対象となる従業員への事前説明と明細の文書化を行う
まとめ|同じ月に賞与を2回支給した場合は賞与支払届と保険料計算に注意が必要である
同じ月に賞与を2回支給することは可能ですが、社会保険や税務、届出手続きに関して特有の注意点があります。
特に賞与支払届は支給ごとに提出する必要があり、年金事務所は同月分を合算して標準賞与額を決定する点を忘れてはなりません。
事前の社内ルール整備と届出管理、支給後の再計算や精算方法を明確にしておくことで、実務トラブルを防止できます。
1回目の届出後でも追加届出が必要となる
最初の届出を済ませた後に追加賞与を支給した場合でも、追加分については改めて賞与支払届を提出する必要があります。
提出漏れがあると後日年金事務所からの指摘や過去に遡った保険料の追加納付を求められる可能性があるため、届出管理は慎重に行ってください。
担当者間での情報共有と提出状況の可視化が、ミス防止には非常に効果的です。
時代に合った人材育成が組織成長につながる
同月に複数回支給された社会保険(健康保険・厚生年金)の賞与は、必ず月内で合算して標準賞与額を算定し、その金額に基づいて最終的な保険料が再計算されます。
また、雇用保険は支給ごとに独立してその都度計算し、源泉所得税は同月内の前回収入を加算・考慮する特例計算を行うなど、各制度で扱いが大きく異なります。
端数処理や上限の適用、合算後の差額調整といった点について事前に実務フローを理解し、不明点がある場合は所轄の年金事務所、健康保険組合、または税理士・社会保険労務士などの専門家に相談して、確実な手続きと計算を行ってください。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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