従業員10人未満の会社が就業規則を作るべき7つの理由

この記事は、従業員が10人未満の小規模企業や個人事業主、スタートアップの経営者・人事担当者の方に向けて書かれています。 「就業規則 10人未満」で検索する方が知りたい、法律上の義務や実際に就業規則を作るべき理由、作成・運用のポイント、よくあるトラブル事例まで、わかりやすく解説します。 小規模事業所でも就業規則を整備することで得られるメリットや注意点を、実務に役立つ形でまとめています。

Table of Contents

従業員10人未満の会社でも就業規則が重要な理由とは?【基礎解説】

従業員が10人未満の会社では、法律上は就業規則の作成義務がありません。 しかし、実際には社内ルールが曖昧なままだと、労使トラブルや誤解が生じやすくなります。 就業規則を整備することで、労働条件や職場のルールを明確にし、従業員の安心感や企業秩序の維持につながります。 また、助成金申請や将来的な従業員増加にもスムーズに対応できるため、10人未満の会社でも就業規則は非常に重要です。

就業規則とは何か?対象となる『常時10人未満』事業所の定義

就業規則とは、会社が従業員に対して定める労働条件や職場のルールをまとめた文書です。 「常時10人未満」とは、正社員だけでなくパート・アルバイト・契約社員など、雇用形態を問わず常に働いている従業員の合計人数を指します。 一時的な増減ではなく、日常的に10人未満であれば「常時10人未満」となり、労働基準法上の就業規則作成義務は発生しません。 ただし、人数のカウント方法や雇用形態による違いには注意が必要です。

  • 正社員・パート・アルバイト・契約社員も人数に含む
  • 役員や業務委託は原則含まない
  • 常時10人未満かどうかは日常的な雇用状況で判断

就業規則 10人未満企業の現状と法律上の立ち位置

多くの10人未満の企業では、就業規則を作成していないケースが多いのが現状です。 法律上は義務がないため、口頭や簡単なメモでルールを伝えている会社も少なくありません。 しかし、実際には労働条件の食い違いやトラブルが発生しやすく、後から問題が大きくなるリスクもあります。 また、就業規則がないことで助成金の申請ができなかったり、従業員の不安感が高まることもあるため、法律上の義務がなくても作成する企業が増えています。

項目10人未満の会社10人以上の会社
就業規則作成義務なしあり
届出義務なしあり
トラブルリスク高い低い(規則で予防)

労働基準法における就業規則の作成義務の根拠・周辺規定

労働基準法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」と定められています。 このため、10人未満の事業所には作成・届出義務はありません。 ただし、就業規則を作成した場合は、労働契約法や民法の規定により、従業員との間で法的効力を持つことになります。 また、36協定(時間外労働協定)など、就業規則以外にも必要な労使協定がある点にも注意が必要です。

  • 労働基準法第89条:10人以上で作成・届出義務
  • 10人未満は義務なしだが、作成は可能
  • 作成した場合は法的効力が発生

就業規則を作成するべき7つの理由【10人未満の会社向け】

1. 企業秩序の維持と職場トラブルの未然防止

就業規則を整備することで、会社としてのルールやマナーが明確になり、従業員同士のトラブルや誤解を未然に防ぐことができます。 例えば、遅刻・早退・欠勤の扱いや、ハラスメント防止、業務命令の範囲など、曖昧なままだとトラブルの原因になりやすい事項も、就業規則で明文化することで秩序が保たれます。 小規模な会社ほど、個々の関係性が近いため、ルールがないと感情的な対立や不公平感が生じやすくなります。 就業規則は、経営者・従業員双方の安心材料となり、健全な職場環境づくりに役立ちます。

  • ルールの明文化でトラブル予防
  • 感情的な対立や不公平感の防止
  • 経営者・従業員双方の安心感

2. 労働条件の明確化による従業員・パート・アルバイトの安心感

就業規則を作成することで、賃金・労働時間・休暇・福利厚生などの労働条件が明確になります。 特にパートやアルバイトなど多様な雇用形態が混在する小規模事業所では、条件の違いがトラブルの原因になりがちです。 就業規則で明確に定めておくことで、従業員は自分の働き方や待遇に納得しやすくなり、安心して働くことができます。 また、採用時の説明や入社後のトラブル防止にも役立ちます。

  • 賃金・労働時間・休暇などの明確化
  • 多様な雇用形態への対応
  • 従業員の安心感・納得感の向上

3. 万一の労働問題やトラブル発生時のリスク対策・対応力向上

万が一、解雇・懲戒・ハラスメント・未払い残業などの労働問題が発生した場合、就業規則があるかどうかで会社のリスク対応力は大きく変わります。 就業規則があれば、会社としての正当な対応基準を示すことができ、トラブル時の証拠や根拠としても活用できます。 逆に、就業規則がないと、従業員からの訴えや行政指導に対して不利になることもあるため、リスク管理の観点からも作成が推奨されます。

  • トラブル時の対応基準・証拠になる
  • 行政指導や訴訟リスクの低減
  • 会社のリスク管理体制の強化

4. 労働者との雇用契約やパートタイム・役員対応の基準づくり

就業規則は、正社員だけでなくパートタイム・アルバイト・契約社員・役員など、さまざまな雇用形態に対応した基準づくりにも役立ちます。 雇用契約書だけではカバーしきれない細かなルールや、役員の服務規律、パートタイムの待遇差なども、就業規則で一元管理できます。 これにより、雇用形態ごとの不公平感や誤解を防ぎ、会社全体の統一感を高めることができます。

  • 多様な雇用形態への対応基準
  • 役員・パート・アルバイトの規定も明確化
  • 雇用契約書の補完・一元管理

5. 助成金や補助金等の申請・活用のための就業規則の役割

多くの助成金や補助金の申請要件には、就業規則の整備が含まれています。 たとえば、キャリアアップ助成金や雇用調整助成金などは、就業規則がないと申請できない場合があります。 10人未満の会社でも、就業規則を作成しておくことで、いざという時にスムーズに助成金を活用でき、経営の安定や成長につなげることができます。 また、行政からの信頼性向上にも役立ちます。

  • 助成金・補助金の申請要件に対応
  • 経営の安定・成長に役立つ
  • 行政からの信頼性向上

6. 社内周知・社員へのルール伝達や人事部・経営者の管理負担軽減

就業規則を作成し、社内で周知することで、従業員へのルール伝達がスムーズになります。 人事担当者や経営者が個別に説明する手間が省け、管理負担が大幅に軽減されます。 また、従業員からの質問やトラブルが発生した際も、就業規則を参照することで迅速かつ公平な対応が可能です。 小規模事業所ほど、効率的な人事・労務管理のために就業規則の整備が重要です。

  • ルール伝達の効率化
  • 人事・経営者の管理負担軽減
  • 迅速・公平な対応が可能

7. 将来的な従業員増加・10人以上になった場合のスムーズな対応

今は10人未満でも、将来的に従業員が増えて10人以上になった場合、就業規則の作成・届出が法的に義務となります。 あらかじめ就業規則を整備しておけば、人数が増えた際にもスムーズに対応でき、慌てて作成する必要がありません。 また、成長企業としての信頼性や採用力の向上にもつながります。 事前準備として、就業規則の作成は非常に有効です。

  • 従業員増加時のスムーズな対応
  • 成長企業としての信頼性向上
  • 採用力・組織力の強化

就業規則の作成・運用方法【テンプレート・無料・実例紹介】

就業規則の作成時に必要な記載事項と絶対的・相対的必要記載事項

就業規則を作成する際には、労働基準法で定められた「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」を押さえることが重要です。 絶対的必要記載事項は、賃金、労働時間、休憩、休日、休暇、退職など、必ず記載しなければならない項目です。 相対的必要記載事項は、賞与や退職金、表彰・制裁など、会社で定める場合に記載が必要な項目です。 これらを漏れなく記載することで、従業員とのトラブル防止や法令遵守につながります。

  • 絶対的必要記載事項:賃金、労働時間、休憩、休日、休暇、退職など
  • 相対的必要記載事項:賞与、退職金、表彰・制裁など
  • 会社独自のルールも記載可能

就業規則 10人未満向けテンプレートや無料資料の使い方

10人未満の会社向けには、厚生労働省や各都道府県労働局、社労士事務所などが無料で提供している就業規則テンプレートがあります。 これらのテンプレートを活用することで、初めての作成でも基本的な構成や記載例を参考にできます。 自社の実情に合わせてカスタマイズし、必要な項目を追加・修正することが大切です。 また、無料資料を活用することでコストを抑えつつ、法令に沿った就業規則を作成できます。

  • 厚生労働省・労働局の無料テンプレート
  • 社労士事務所のサンプル規則
  • 自社の実情に合わせてカスタマイズ

パート・アルバイト・役員等の雇用形態ごとの規定方法

就業規則を作成する際は、正社員だけでなくパート・アルバイト・契約社員・役員など、さまざまな雇用形態に対応した規定を設けることが重要です。 例えば、労働時間や賃金、休暇の取り扱いなど、雇用形態ごとに異なる部分は明確に区分して記載しましょう。 役員については、一般従業員とは異なる規定を設ける場合もあります。 全ての従業員が納得できるルール作りが、職場の安定につながります。

  • 雇用形態ごとの労働条件を明確化
  • パート・アルバイト専用の章を設ける
  • 役員規定は別途設けることも可能

専門家(社労士・弁護士)への相談・資料作成のポイント

就業規則の作成や見直しに不安がある場合は、社会保険労務士(社労士)や弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。 専門家は最新の法改正や実務に精通しており、自社の状況に合ったアドバイスやカスタマイズをしてくれます。 また、トラブル事例や判例を踏まえたリスク対策も提案してもらえるため、安心して運用できます。 無料相談や初回相談を活用し、効率的に資料作成を進めましょう。

  • 社労士・弁護士への相談で安心
  • 法改正や判例に対応した規則作成
  • 無料相談やサンプル活用も有効

10人未満の会社の就業規則 届け出・36協定との関係【誤解と注意点】

10人未満は就業規則の届出義務がない?その真相と例外

従業員が常時10人未満の会社には、就業規則の作成・届出義務はありません。 しかし、就業規則を自主的に作成した場合でも、従業員に周知しなければ法的効力が発生しません。 また、事業所ごとに10人未満かどうかを判断するため、複数拠点がある場合は各拠点ごとに人数を確認しましょう。 例外的に、労働者代表との協定や特別な事情がある場合は、届出が必要となるケースもあるため注意が必要です。

  • 10人未満は原則届出義務なし
  • 作成した場合は社内周知が必須
  • 複数拠点の場合は各拠点ごとに判断

36協定・申立書・意見書との違いと法的要件

就業規則と混同しやすいのが「36協定(時間外・休日労働協定)」です。 36協定は、従業員に時間外労働や休日労働をさせる場合に必ず締結・届出が必要な協定で、従業員数に関係なく義務があります。 また、就業規則の届出時には労働者代表の意見書が必要ですが、10人未満の場合はこの手続きは不要です。 それぞれの法的要件や役割を正しく理解し、混同しないようにしましょう。

書類名内容10人未満の義務
就業規則労働条件・社内ルール作成・届出義務なし
36協定時間外・休日労働の協定届出義務あり
意見書就業規則届出時の添付書類原則不要

就業規則の社内周知や効力発生の注意事項

就業規則は、作成しただけでは効力が発生しません。 従業員に内容を周知し、誰でも確認できる状態にしておくことが必要です。 具体的には、社内掲示やイントラネットへの掲載、紙やPDFでの配布などが有効です。 周知が不十分だと、トラブル時に「知らなかった」と主張されるリスクがあるため、必ず全従業員に説明し、確認のサインをもらうなどの工夫をしましょう。

  • 社内掲示・配布・イントラ掲載で周知
  • 説明会やサインで確認を徹底
  • 周知がないと効力が発生しない

就業規則を提出すべき時期・タイミングと労働基準監督署長の役割

従業員が10人以上になった場合は、速やかに就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出る必要があります。 人数が増えた時点で義務が発生するため、遅れずに対応しましょう。 労働基準監督署長は、就業規則の内容が法令に違反していないかを確認し、必要に応じて指導を行います。 また、36協定の届出も同様に監督署が窓口となります。 提出時期や手続き方法を事前に確認しておくと安心です。

  • 10人以上になったら速やかに届出
  • 労働基準監督署が内容を確認・指導
  • 36協定も監督署に届出が必要

小規模事業所でよくあるQ&A・トラブル事例とその対処法

よくある労務問題・トラブルと就業規則での解決アプローチ

小規模事業所では、遅刻・早退・無断欠勤、残業代未払い、ハラスメント、解雇トラブルなどがよく発生します。 これらの問題は、就業規則でルールを明確に定めておくことで、未然に防止したり、発生時に適切に対応できます。 例えば、懲戒処分の基準や手続き、残業の申請方法、ハラスメント相談窓口などを規定しておくと、トラブル時の指針となります。 実際の事例を参考に、自社に必要なルールを盛り込みましょう。

  • 遅刻・早退・欠勤のルール明確化
  • 残業・休日出勤の申請・承認フロー
  • ハラスメント防止・相談窓口の設置

就業規則見直し・定期的な運用改善の重要性

就業規則は一度作成したら終わりではなく、法改正や会社の実情に合わせて定期的に見直すことが大切です。 特に、労働基準法や関連法令の改正があった場合は、速やかに内容をアップデートしましょう。 また、従業員からの意見やトラブル事例を反映し、より実態に合った規則に改善することで、職場の安定と信頼性が高まります。 定期的な運用改善が、長期的なリスク管理につながります。

  • 法改正時は速やかに見直し
  • 従業員の意見や実態を反映
  • 定期的な運用改善でリスク管理

効率的な人事・労務管理体制構築のステップ

小規模事業所でも、効率的な人事・労務管理体制を構築することが重要です。 まずは就業規則を整備し、労働条件やルールを明確にしましょう。 次に、勤怠管理や給与計算、労使協定の締結・届出など、必要な業務フローを整備します。 ITツールやクラウドサービスを活用することで、少人数でも効率的な管理が可能です。 専門家のサポートも活用し、無理なく運用できる体制を目指しましょう。

  • 就業規則の整備・周知
  • 勤怠・給与・協定の業務フロー構築
  • ITツールや専門家の活用

まとめ:従業員10人未満の会社こそ就業規則を整備すべき理由

従業員10人未満の会社には就業規則の作成義務はありませんが、トラブル防止や労働条件の明確化、助成金活用、将来的な成長への備えなど、多くのメリットがあります。 小規模事業所ほど、ルールの明文化と周知が職場の安定と信頼性向上につながります。 無料テンプレートや専門家のサポートを活用し、自社に合った就業規則を整備しましょう。 今後の経営や人事管理の基盤として、ぜひ前向きに取り組んでみてください。

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。