この記事は、freee人事労務を使って労働保険の年度更新を行う担当者や人事労務担当者、またこれからfreee導入を検討している経営者向けに作成しています。
この記事では、年度更新の基本的な考え方から、freee人事労務での事前設定、保険料の計算方法、申告・納付の手順、よくあるトラブルとその対処法、さらに社労士に依頼するメリットや当法人が提供できる支援内容までを丁寧に解説しますので、年度更新をスムーズに終わらせたい方は参考にしてください。
freee人事労務で労働保険の年度更新はできる?
freee人事労務は労働保険の年度更新に必要な賃金データの集計や保険料の概算・確定計算、申告書の作成支援、そして電子申請のためのデータ出力などに対応しています。
完全自動で全工程を代行するわけではありませんが、データ整備から申告書の作成、電子申請連携までを一元管理できるため、手作業の削減とミス防止に大きく貢献します。
年度更新機能の概要
年度更新機能は、事業年度ごとに労働保険料の確定と翌年度の概算保険料算出を行うための一連の作業をサポートします。
freeeでは従業員の賃金集計や保険料率の反映、集計表の出力、申告書のひな型作成、電子申請用のファイル作成などが可能で、各工程で確認・修正を行いながら進められるようになっています。
freee人事労務でできること
freee人事労務では、従業員の月次給与データをもとに年度ごとの賃金集計を行い、労働保険料の確定額と翌年度の概算額を算出できます。
さらに、事業所情報の管理や労働保険番号の登録、申告書類の自動作成、電子申請用データのエクスポートなどの機能があり、紙ベースで行っていた工程を大幅に効率化できます。
| 比較項目 | freee人事労務 | 従来の手作業 |
|---|---|---|
| 賃金集計 | 自動集計と修正履歴管理 | エクセル手入力や複数ファイルの突合 |
| 保険料計算 | レート反映で自動計算 | 手計算や関数ミスのリスク |
| 申告書作成 | 雛形作成と電子申請データ出力 | 紙出力・手書きや転記作業 |
| エラー検出 | 入力チェックと不整合警告 | 目視チェックに依存 |
導入するメリット
導入することでデータの一元化が進み、賃金集計や保険料計算でのヒューマンエラーを減らせます。
また、電子申請の準備がしやすくなり、申告書類の作成に要する時間を短縮できます。
さらに、操作ログや修正履歴が残るため、監査対応や過去データの追跡も簡単になります。
年度更新を始める前に確認すること
年度更新を始める前には、まず年度の範囲や適用する保険料率、対象となる従業員の範囲を確認する必要があります。
これにより、後工程での差し戻しや修正を減らせます。
freee上でのデータ整備の優先順位や担当者を明確にして、段取りを決めてから作業を開始しましょう。
労働保険の年度更新とは
労働保険の年度更新とは、毎年事業所がその年の確定保険料を算出して申告し、既に納付した概算保険料との差額を調整する手続きです。
確定保険料はその年の賃金総額に保険料率を掛けて算出され、翌年度の概算保険料はその確定額や見込み額を元に決定されます。
申告・納付期限を確認する
年度更新の申告・納付期限は通常、年度終了後一定期間内に定められていますが、年度や法改正で変更される場合があります。
期限を過ぎると延滞金や督促の対象となるため、freeeで作業を始める前に必ず最新の期限を労働基準監督署や労働局のウェブサイトで確認してください。
賃金データを確認する
年度更新前に賃金データの整合性をチェックしておくことが重要です。
月次の給与台帳、各種手当・控除の扱い、雇用形態別の集計方法などに抜けや誤りがないかを確認します。
特に賞与の取扱いや非課税扱いの支給、短期契約者の賃金集計などは注意が必要です。
freee人事労務の事前設定
freeeで年度更新を行うためには、事前に会社情報、労働保険番号、事業所情報、賃金区分などを正確に登録しておく必要があります。
これらの設定が不十分だと自動集計や申告書作成時にエラーが発生しやすく、手戻りが生じるため作業開始前に必ず確認してください。
会社情報を確認する
会社名や法人番号、事業所の所在地、労働保険番号、事業分類などの基本情報は申告書に反映されるため正確に設定してください。
特に労働保険番号は申請・納付手続きで必須となるため、通年での変更があった場合は最新情報に更新しておきましょう。
従業員情報を確認する
従業員の氏名、雇用形態、雇用開始・終了日、社会保険の加入状況、給与体系などを正確に登録することが重要です。
派遣社員や短期雇用者、日雇い労働者などの扱いによって賃金集計の方法が異なるため、対象者の区分を適切に設定してください。
賃金データを整備する
月次給与、賞与、通勤手当などの各支給項目がfreeeに正しく反映されているか確認します。
複数の給与システムや外部で管理しているデータがある場合はインポート前に項目の整合性を取ることが重要です。
欠損や重複データがないかを必ずチェックしてください。
労働保険料を計算する方法
労働保険料の計算は、確定保険料(過去1年分の実績に基づく)と概算保険料(翌年度見込み)の算出が中心です。
freee上では賃金集計の結果を基に保険料率を適用して自動的に計算できますが、例外扱いや非課税項目の除外などは手動での確認が必要となる場合があります。
確定保険料を計算する
確定保険料は、対象期間の総賃金に労働保険料率を掛けて算出します。
freeeでは集計された賃金データから労災保険・雇用保険それぞれの保険料を計算できますが、該当しない支給や一時金、個別に扱うべき項目がないかを確認して差し引く作業を忘れないようにしてください。
概算保険料を計算する
概算保険料は翌年度の賃金見込みに基づき算出され、確定保険料との差額は年度更新で調整されます。
freeeでは前年実績や雇用状況を参考に概算額を自動算出できますが、事業拡大や人員削減など見込みが大きく変わる場合は手動で修正して現実的な金額を設定することが重要です。
計算結果を確認する
計算後は各従業員および事業単位での集計結果を突き合わせて、合計額や保険料率の適用に誤りがないかを確認します。
freeeのレポート機能やエクスポートしたCSVを用いて、会計データや給与台帳との照合を行うことで安心して申告書を作成できます。
年度更新の申告手続きを行う方法
申告手続きは申告書の作成、必要書類の準備、電子申請または窓口提出、そして納付の手続きという流れになります。
freeeを使えば申告書のひな型作成や電子申請用データの出力が可能ですが、最終的な確認と責任は事業者にあるため、作成後のチェック体制を整えておきましょう。
申告書を作成する
freeeでは申告書のフォームに沿って必要情報を入力・反映し、申告書類を自動生成できます。
自動生成後は必ず内容を確認し、事業所名や保険番号、賃金総額、保険料額に誤りがないかをチェックしてください。
また、必要に応じて補足資料や一覧表を添付します。
電子申請を行う
電子申請を利用することで、窓口に行かずに申告が完了します。
freeeから出力した電子申請用データは地方自治体や労働局の指定フォーマットに合わせて作成できることが多く、マイナポータルやe-Govとの連携で申請手続きが完了します。
事前に電子申請の利用申請や利用者認証の準備が必要です。
納付手続きを行う
納付は口座振替、ダイレクト納付、コンビニ納付、金融機関窓口など複数の方法があります。
申告後に表示される納付額を基に、支払い方法を選択して期限内に納付してください。
納付期限を過ぎると延滞金が発生するため、事前に支払方法を確定しておくと安心です。
年度更新でよくあるトラブル
年度更新では賃金集計ミス、保険料の計算間違い、申告期限の見落としといったトラブルが頻繁に発生します。
freeeを使っていても入力ミスやインポートの不整合、設定漏れが原因でエラーが出ることがあるため、チェックリストを用意してダブルチェックの体制を整えておくことが重要です。
賃金集計の誤り
賃金集計の誤りは、給与システムからのインポート時のマッピングミスや、非課税扱いの手当を含めてしまうなどのヒューマンエラーが原因です。
これを防ぐには、インポート前のデータ点検、サンプルチェック、部門別・雇用形態別の総額確認を行うことが有効です。
- インポート前に項目マッピングを確認する
- サンプル行で結果を検算する
- 非課税項目や賞与の扱いを事前に定義する
保険料計算のミス
保険料計算のミスは保険料率の反映漏れや、適用除外の誤処理が原因となります。
法改正や料率変更があった場合は速やかにfreee側の設定に反映する必要がありますし、手動で修正した場合はその箇所を記録しておくと後追い調査が容易になります。
申告期限を過ぎてしまう
申告期限を過ぎると延滞金や行政手続きの遅延が発生します。
これを防ぐために、年度更新スケジュールを前倒しで設定し、freeeのリマインダーや社内カレンダーで関係者に通知する運用を取り入れてください。
万が一期限を過ぎる場合は速やかに担当窓口に相談しましょう。
年度更新をスムーズに進めるポイント
スムーズに年度更新を進めるには、日常的なデータ整備、明確な担当分担、電子申請の活用、法令変更のフォローが重要です。
freeeを導入している場合は、月次での賃金チェックや異動情報の更新、定期的なバックアップと帳票の保存をルーティン化しておくと当該業務が格段に楽になります。
給与データを毎月確認する
給与データを毎月確認することで、年度末に大量の修正が発生するリスクを減らせます。
特に雇用形態の変更、退職・入社、賞与の支給タイミングなどは早めにfreeeに反映し、月次での突合を習慣化してください。
小さなズレを放置しないことが重要です。
電子申請を活用する
電子申請は申告の手間を省き、提出状況のトラッキングが容易になるためぜひ活用してください。
事前に電子申請の環境を整え、関係者に操作方法を共有しておくことで当日の混乱を避けられます。
freeeと電子申請プラットフォームの連携方法も把握しておきましょう。
法改正に対応する
保険料率や手続きフローが法改正で変更されることがあるため、定期的に公式情報を確認しfreeeの設定を更新する習慣をつけてください。
法改正情報は国の関連機関や業界団体、顧問社労士からの通知でキャッチアップする体制を整えると安心です。
社労士へ依頼するメリット
社労士に年度更新を依頼することで、法令解釈や複雑な事例への対応、電子申請の代行までを任せられます。
専門家のチェックが入ることでミスや加算を防げる他、繁忙期の負担を軽減し、内部リソースをコア業務へ振り向けることが可能になります。
年度更新を正確に行える
社労士は労働保険に関する専門知識を持っているため、誤った取り扱いや計算ミスを防いで正確な申告を行えます。
特に複数事業所を持つ事業者や特殊な雇用形態が混在する場合は、社労士の専門チェックが有効です。
電子申請まで任せられる
電子申請の手続きやフォーマット対応、添付資料の整理などを社労士に任せることで、事業者側の負担を大幅に軽減できます。
電子申請に不慣れな場合や複数の管轄がある場合は、ワンストップで対応できる社労士の利用が有効です。
労務手続き全体を効率化できる
年度更新に限らず、社労士に労務管理全般を相談することで、freeeを含めたシステム運用の最適化やルール整備、従業員への説明資料作成など、業務全体の効率化が期待できます。
長期的な視点での運用設計を依頼すると効果が大きいです。
社会保険労務士法人あいパートナーズができること
社会保険労務士法人あいパートナーズでは、freee人事労務の導入支援から年度更新の代行、電子申請の代行、運用ルールの策定や担当者向けの操作研修までワンストップで提供しています。
freee人事労務の導入支援
導入支援では初期設定、従業員データの移行、給与項目の整理、管理者向けの操作トレーニングを行います。
導入時に発生しやすい設定ミスや運用ルールの曖昧さを解消して、日々の運用が回るように丁寧に支援します。
労働保険の年度更新支援
年度更新支援では、賃金データの点検、保険料の確定計算と概算設定、申告書作成、電子申請の代行まで一貫して対応します。
必要に応じて過去データの遡及処理や是正手続きのアドバイスも行い、安心して申告できる体制を整えます。
電子申請・労務管理の運用サポート
電子申請の設定代行、申請後のフォロー、日常的な労務管理フローの見直しやマニュアル作成、担当者研修などを提供します。
freeeと各行政システムの連携や、内部統制に必要な運用ルールの整備も支援可能です。
まとめ|freee人事労務で労働保険の年度更新を効率化しよう
freee人事労務を適切に設定して運用すれば、賃金集計から保険料計算、申告書作成、電子申請までの工程を効率化できます。
事前準備と定期的なデータチェック、必要に応じた専門家の活用がスムーズな年度更新の鍵になります。
まずは小さな整備から始めて運用を安定させましょう。
正しい設定と運用で年度更新をスムーズに完了させよう
正しい会社情報・従業員情報・賃金データの整備と、月次での確認体制を作ることが最も重要です。
freee人事労務の機能を最大限に活用しつつ、必要に応じて社労士に相談することで、年度更新を確実にかつ効率的に完了させることができます。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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