この記事は中小企業の人事担当者や総務担当者、これからfreee人事労務で雇用契約を電子化しようと考えている経営者に向けた実務ガイドです。この記事では、freee人事労務で雇用契約書を電子化する可否、導入前の確認ポイント、初期設定から作成・締結・入社手続きとの連携方法、よくあるトラブル対策、社労士活用のメリットまでを具体的手順と注意点を交えてわかりやすく解説します。読むことで電子化の全体像を把握し、実務で必要な設定や運用フローをスムーズに構築できるようになります。
freee人事労務で雇用契約書は電子化できる?
freee人事労務はクラウド型の人事労務管理ツールで、雇用契約書のテンプレート作成や従業員への提示、電子署名・同意の取得といった電子化をサポートする機能を持っています。サービスの仕様や連携する電子契約サービスによっては、契約書の完全な電子締結や履歴管理まで一気通貫で行うことが可能です。導入前に自社の運用や法的要件と照らし合わせることが重要です。
雇用契約書を電子化する仕組み
雇用契約書の電子化は、契約書のデータ化、従業員への送付、電子署名または同意の取得、保存という一連の流れで構成されます。freeeはテンプレート管理や従業員情報と連携することで、必要項目を自動反映しやすく、外部の電子契約プロバイダと連携することで真正性や改ざん防止の要件を満たした締結が可能になります。運用ルールの整備も同時に必要です。
freee人事労務でできること
freee人事労務では会社情報や雇用条件のテンプレート登録、従業員情報との紐付け、雇用契約書の作成支援、従業員への送信・同意取得、締結状況の管理、契約書の保存・履歴管理などを行えます。さらに労働条件通知書の作成や社会保険・雇用保険の連携、給与・勤怠システムへの反映までスムーズに連携できます。
電子化するメリット
雇用契約書を電子化することで、書類保管スペースの削減、検索性の向上、署名の迅速化、入社手続きの短縮、履歴管理や監査対応の容易化といった業務効率化が期待できます。電子化により人為的な紛失や漏洩リスクを下げつつ、従業員とのやり取りをトラッキングできる点も大きな利点です。
| 項目 | 紙の契約書 | 電子契約 |
|---|---|---|
| 保管 | 物理保管スペースが必要 | クラウドで検索・アクセス可能 |
| 署名 | 印鑑・対面署名が必要 | 電子署名や同意で迅速に締結 |
| 監査対応 | 現物確認が必要 | 履歴ログで証跡を提示可能 |
雇用契約書を電子化する前に確認すること
電子化に着手する前に、労働関連法規や自社の規程、就業規則との整合性、従業員への説明責任、情報セキュリティ体制、バックアップ・保存方針を確認する必要があります。特に法的要件や電子署名の採用可否は重要で、誤った運用は法的リスクを生むため専門家の確認を推奨します。社内フローを整理したうえで段階的に導入するとトラブルを減らせます。
労働基準法・労働契約法の基本ルール
労働基準法や労働契約法は、労働条件の明示や不利益変更の制限、契約締結時の説明責任などを定めています。電子化の際も労働者に対して労働条件が明確に伝わることが必要で、重要事項の記載漏れや不明確な表現がないように注意する必要があります。法令の遵守が前提であるため、基本ルールを理解しておくことが欠かせません。
電子契約の法的要件
電子契約が有効であるためには、当事者の同意が確認できること、改ざん防止機能や履歴管理が備わっていること、必要に応じて本人確認が行えることなどが求められます。電子署名法や各種ガイドラインに沿ったサービスを選択し、保存期間や証跡の管理方法についても規程化しておく必要があります。
就業規則との整合性を確認する
雇用契約書の内容が就業規則と矛盾しているとトラブルの原因になります。電子化の前に就業規則の労働条件や手続きに関する条項を確認し、必要であれば就業規則改定や社員への周知を行ってから契約書のテンプレートを整備することが重要です。整合性は労使トラブルの予防にもつながります。
freee人事労務の初期設定
freee人事労務を利用開始する際には会社情報、就業規則の基本情報、雇用条件テンプレート、管理者アカウントの権限設定、従業員情報の取り込み方法を順に設定します。初期設定を丁寧に行うことでその後の雇用契約書作成や入社手続きがスムーズになります。設定手順はサービスの案内に沿って行うと良いでしょう。
会社情報を登録する
会社名や所在地、事業所ごとの労働条件、代表者情報、届出に必要な事業所番号などを正確に登録します。これらの情報は雇用契約書や労働条件通知書に自動反映されるため、初期段階で正確に入力しておくことが重要です。また、法定労働時間や休日体系などの基本設定もここで明確にしておくと管理が楽になります。
雇用条件・テンプレートを設定する
雇用形態ごとに雇用条件のテンプレートを作成し、賃金、労働時間、就業場所、試用期間、業務内容などの必須項目を定義します。テンプレート化することでミスを減らしスピーディに契約書を作成できます。テンプレートは就業規則や社内規程と整合するよう定期的に見直しましょう。
従業員情報を登録する
従業員の氏名、生年月日、雇用開始日、雇用形態、所属部署、給与情報、マイナンバーや扶養情報など必要な項目を登録します。データをCSVなどで一括取り込みできるため、既存の人事台帳から取り込んで初期登録を効率化することが可能です。個人情報は適切に取り扱ってください。
雇用契約書を作成する方法
雇用契約書作成はテンプレート選択、従業員情報の反映、契約条件の微修正、法的チェック、最終プレビューの順で進めます。freeeの機能を使えば自動反映や差し込みが可能で、入力ミスを減らしながら複数パターンの契約書を効率的に生成できます。作成後は必ず内容確認と法令準拠のチェックを行ってください。
雇用条件を入力する
テンプレートに基づいて賃金額、支払日、労働時間、休暇制度、試用期間、雇用期間などの個別の雇用条件を入力します。freeeは従業員マスタと連携して差し込みができますので入力負担を軽減できますが、特殊手当や裁量労働制などの条件は手動確認が必要です。入力後の二重チェックも忘れずに行いましょう。
契約内容を確認する
作成後は法令に照らして必須記載項目がすべて含まれているか、就業規則と矛盾がないか、労働条件の計算(時間外割増や控除等)が正しいかを確認します。契約書は従業員に提示する重要文書なので、総務担当のチェックや法務・社労士による確認を受けると安心です。
電子契約書を作成する
確認が終わったら電子契約用のフォーマットに変換し、電子署名の設定や署名者の順序、通知文言を設定して電子契約書を準備します。freeeが提供する機能や外部の電子契約サービスにエクスポートして署名プロセスを開始することができます。証跡や保存方法も合わせて設定してください。
雇用契約書を電子締結する方法
電子締結の手順は送付、本人確認、電子署名または同意取得、締結完了の記録保存という流れになります。従業員に分かりやすい案内を添え、操作方法や質問窓口を明示しておくことで締結率が向上します。締結状況は管理画面で追跡し、未対応者にはリマインドを行いましょう。
従業員へ送信する
契約書を従業員の登録メールアドレスやポータルへ送信します。送信時には締結期限、問い合わせ先、操作手順を明示し、スマートフォンでの閲覧・署名が可能かどうかを伝えます。複数言語対応が必要な場合は事前に翻訳版を用意しておくとスムーズです。
電子署名・同意を取得する
電子署名方式を選び、ワンクリック同意やメール認証、電子署名プロバイダーの強固な署名機能を使って本人の同意を取得します。署名方法によって法的有効性が異なる場合があるため、重要な契約ではより厳格な署名方法を採用することを検討してください。取得時のログは保存が必須です。
締結状況を管理する
締結済み、未対応、差戻し等のステータスをfreee上で一元管理し、未締結者には自動リマインドを設定します。締結後は契約書の最終版を従業員と会社両方で保存し、改定があれば履歴として残すルールを運用化してください。監査対応や労務トラブル時の証拠保全にも役立ちます。
入社手続きと連携する方法
入社手続きは雇用契約の締結と並行して、労働条件通知書の発行、社会保険・雇用保険の加入手続き、給与・勤怠システムのセットアップなどを行う必要があります。freeeはこれらの情報を連携してワークフローを短縮できるため、一元管理でミスを減らし、新人の早期戦力化を支援します。
労働条件通知書を作成する
労働条件通知書は雇用契約と同様に重要な書類で、労働条件の明示が含まれます。freeeで雇用契約から必要項目を抽出して労働条件通知書を自動生成できる場合は、それを利用して従業員に提示することで手続きが効率化されます。通知書の保存と提示記録も管理してください。
社会保険・雇用保険手続きへ連携する
加入手続きに必要な情報(扶養情報、加入日、報酬額等)をfreee上で整備し、社会保険・雇用保険の手続きと連携できる場合はAPI連携やCSV出力で手続きを自動化します。手動での転記を減らすことで手続きミスを減らし、保険料計算ミス等のリスクを低減できます。
給与計算・勤怠管理へ反映する
雇用契約で定めた給与体系や雇用形態、手当情報は給与計算システムや勤怠管理システムに反映しておく必要があります。freeeの給与・勤怠機能や外部システムとの連携を活用して、入社後の給与支払や勤怠集計が自動化されるよう設定しましょう。これにより業務負荷が大幅に下がります。
電子化でよくあるトラブル
電子化で発生しやすいトラブルには、契約内容の入力ミス、電子署名の取得漏れ、就業規則との不整合、従業員への周知不足、保存期間やアクセス権限の問題などがあります。事前にチェックリストや二重チェック体制を整備し、トラブル発生時の対応手順を明確にしておくことが重要です。
契約内容の入力ミス
入力ミスは給与や労働時間など重大なトラブルにつながるため、テンプレート化と差し込み機能、二重チェック体制を活用してミスを防ぎます。入力後はプレビューで従業員表示を確認し、必須項目のバリデーションを設定することでミスを減らせます。問題発見時の訂正手順も整備しておきましょう。
電子署名・同意の取得漏れ
電子署名や同意の取得漏れは契約無効やトラブルの原因になり得ます。送信後にステータス管理を行い、未対応者へのリマインドを自動化し、署名完了までのフローを可視化することで取得漏れを防ぎます。重要事項の同意はログで証跡を残すことが必要です。
就業規則との内容が一致しない
契約書と就業規則が一致していないと労務紛争につながるため、作成段階で就業規則と照合するプロセスを設けます。特に給与計算方式、休暇制度、懲戒規定などは要注意項目で、変更がある場合は従業員への周知と同意取得を忘れないようにします。
社労士へ依頼するメリット
社労士に依頼することで、法令に沿った契約書作成、就業規則との整合性確認、入社手続きや社会保険手続きの代行、万が一の労務トラブル時の対応支援などが受けられます。専門家のチェックによりリスクを低減し、社内リソースをコア業務に集中させられる利点があります。
法令に沿った契約書を作成できる
社労士は労働法に基づく最新の規定を踏まえて契約書を作成・レビューできるため、記載漏れや法令違反のリスクを低減できます。特に裁量労働制や変形労働時間制など複雑な労働形態を導入する場合は専門家の関与が有効です。
就業規則との整合性を確認できる
就業規則と個別契約書の整合性は労務管理の要であり、社労士は両者を一貫してチェックして矛盾を解消します。必要に応じて就業規則改定や従業員への説明資料作成まで支援してくれるため安全な運用が可能になります。
入社手続きを効率化できる
社労士に入社手続きの設計や外部手続きの代行を依頼することで、事務作業の負担を減らしミスを防止できます。社会保険や雇用保険の複雑な手続きも専門家に任せることで迅速かつ正確に処理されます。freeeとの連携運用もサポート可能です。
社会保険労務士法人あいパートナーズができること
社会保険労務士法人あいパートナーズは、freee人事労務の導入支援、雇用契約書や労働条件通知書の整備支援、クラウド労務の運用サポート、社会保険・労働保険手続きの代行、労務相談やトラブル対応支援などを提供しています。中小企業の実務に即した伴走型の支援が特徴です。
freee人事労務の導入支援
導入支援では初期設定、テンプレート作成、従業員データ移行、運用フローの設計、管理者向けの操作研修などを行い、現場で使える形に整えます。業務フローに合わせたカスタマイズや連携設定も支援するため、導入時の負担を大幅に軽減できます。
雇用契約書・労働条件通知書の整備支援
契約書や通知書のテンプレート作成、就業規則との整合性チェック、法令対応のレビュー、従業員向け説明資料の作成支援を提供します。必要に応じて電子契約運用の設計や実務マニュアル作成まで対応可能で、実務運用の定着をサポートします。
クラウド労務の運用サポート
クラウド労務の運用サポートでは、日常の運用相談、トラブル対応、システム改善提案、外部連携設定の最適化、定期レビューなどを提供します。ツール利用の定着化や改善ポイントを見つけることで長期的な業務効率化を実現します。
まとめ|freee人事労務で雇用契約書を電子化して業務を効率化しよう
freee人事労務を活用した雇用契約書の電子化は、業務効率化とリスク管理の両面で有効ですが、法的要件や就業規則との整合性、適切な初期設定と運用ルールの整備が欠かせません。段階的な導入と外部専門家の活用で安全かつ効果的に進めることができます。
正しい運用で入社手続きの負担を大幅に軽減しよう
正しい運用を定め、テンプレート化と自動化、社内チェック体制を整備することで入社手続きや契約管理の負担を大幅に軽減できます。社労士などの専門家と連携し、freeeの機能を最大限に活用して効率的で法令準拠の労務管理を実現しましょう。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。






















