【2025年改正】自己都合退職の失業保険。給付制限1ヶ月への短縮ルールと受給手順

この記事は、自己都合退職を検討している方や、すでに自己都合で退職した方に向けて書かれています。 自己都合退職の場合、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給条件や給付までの流れ、待機期間や給付制限など、会社都合退職とは異なる点が多くあります。 この記事では、自己都合退職時の失業保険について、受給条件や手続き、給付開始までの期間、受給額や支給日数、注意点などをわかりやすく整理し、読者が安心して次のステップに進めるようサポートします。

Table of Contents

自己都合退職と失業保険の基本

自己都合退職とは労働者の意思で退職するケースを指す

自己都合退職とは、労働者自身の意思や都合によって会社を辞めることを指します。 たとえば、キャリアアップや家庭の事情、健康上の理由など、本人の判断で退職を決めた場合が該当します。 一方で、会社の倒産やリストラなど、会社側の都合で退職する場合は「会社都合退職」となり、失業保険の受給条件や給付内容が異なります。 自己都合退職の場合は、失業保険の給付までに一定の制限があるため、事前に内容をしっかり把握しておくことが大切です。

失業保険は雇用保険に加入していた人が対象

失業保険(正式には雇用保険の基本手当)は、雇用保険に加入していた人が対象となります。 雇用保険は、原則として週20時間以上働く労働者が加入する制度で、会社が保険料を給与から天引きして納付しています。 自己都合退職であっても、雇用保険の加入期間やその他の条件を満たしていれば、失業保険を受給することが可能です。 ただし、アルバイトやパートでも条件を満たせば対象となるため、自分の雇用形態を確認しておきましょう。

自己都合は会社都合退職と比べて給付条件が異なる

自己都合退職と会社都合退職では、失業保険の給付条件や給付開始までの期間、支給日数などが大きく異なります。 会社都合退職の場合は、待機期間終了後すぐに給付が始まるのに対し、自己都合退職では原則として給付制限期間が設けられています。 また、支給される日数も会社都合の方が長く設定されているため、自己都合退職の場合は計画的な資金管理が必要です。 下記の表で主な違いを比較します。

項目自己都合退職会社都合退職
待機期間7日間+給付制限7日間のみ
給付制限原則1~3ヶ月なし
支給日数短い長い

失業保険の受給条件

離職前2年間で通算12ヶ月以上の雇用保険加入が必要

自己都合退職で失業保険を受給するためには、離職日以前の2年間に通算12ヶ月以上、雇用保険に加入している必要があります。 この「12ヶ月」とは、1ヶ月ごとに賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月をカウントします。 短期間のアルバイトやパートでも、条件を満たせば対象となります。 なお、会社都合退職の場合は、直近1年間で6ヶ月以上の加入で受給できるため、自己都合退職の方が条件が厳しくなっています。

就職する意思と能力があり積極的に求職活動をしていること

失業保険を受給するには、単に退職しただけでなく、就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていることが必要です。 ハローワークでの求職申込みや、求人への応募、面接などの活動実績が求められます。 病気やケガで働けない場合や、専業主婦(夫)になる場合など、就職の意思がない場合は受給できません。 受給中も定期的に求職活動の実績を報告する必要があるため、注意しましょう。

離職票をハローワークに提出して手続きする必要がある

失業保険の受給には、退職後に会社から発行される「離職票」をハローワークに提出し、所定の手続きを行う必要があります。 離職票には退職理由や雇用保険の加入期間などが記載されており、これをもとに受給資格が審査されます。 手続きが遅れると給付開始も遅れるため、退職後は速やかに離職票を受け取り、ハローワークで手続きを進めましょう。

給付開始までの待期期間と給付制限

まず7日間の待期期間が必ず発生する

失業保険の手続きをハローワークで行った後、まず7日間の待期期間が必ず設けられます。 この期間は、失業状態であることを確認するためのもので、自己都合・会社都合を問わず全ての受給者に適用されます。 待期期間中は失業手当の支給はありませんが、求職活動を始める準備期間として活用しましょう。 この7日間を経過しないと、次の給付制限や支給開始のカウントが始まらないため、スケジュール管理が重要です。

自己都合退職は原則「1ヶ月」の給付制限(2025年4月より短縮)

自己都合退職の場合、7日間の待期期間終了後、さらに原則1ヶ月の給付制限期間が設けられます。 この期間中は失業手当が支給されません。以前は原則2〜3ヶ月の制限がありましたが、雇用の流動化を促すための法改正により、2025年4月1日以降の退職者は「1ヶ月」に短縮されました。これにより、以前よりも早いタイミングで給付を受けられるようになっています。 給付制限は、自己都合で退職した場合に「すぐに失業保険を受け取れない」大きな理由となっています。 ただし、法改正や個別事情によって期間が異なる場合があるため、最新情報をハローワークで確認しましょう。

給付制限期間中は失業手当が支給されない点に注意

給付制限期間中は、失業手当の支給が一切ありません。実際には「離職票の到着待ち」や「7日間の待期」も含めると、口座に入金されるのは手続きから約2ヶ月後になるのが一般的です。 ※ただし、直近5年間に3回以上自己都合退職をしている場合は、従来通り3ヶ月の制限が適用されるため注意が必要です。

自己都合退職でも給付制限が解除されるケース

ハラスメント・賃金未払いなど「特定理由離職者」に該当する場合

自己都合退職であっても、パワハラやセクハラ、賃金未払い、長時間労働など、やむを得ない理由で退職した場合は「特定理由離職者」として扱われることがあります。 この場合、給付制限が免除され、会社都合退職と同様に早期に失業保険を受給できる可能性があります。 証拠となる書類や証言が必要になるため、退職前に準備しておくことが大切です。

家族の介護・結婚・転勤等によるやむを得ない退職

家族の介護や配偶者の転勤、結婚による転居など、本人の意思だけでは避けられない事情で退職した場合も、特定理由離職者として認められることがあります。 この場合も給付制限が解除され、待期期間終了後すぐに失業保険の給付が始まります。 該当するかどうかはハローワークで個別に判断されるため、事前に相談しておくと安心です。

契約期間満了による更新なしのケース

有期雇用契約で働いていた場合、契約期間満了で更新がなかった場合も、自己都合退職ではなく「会社都合」や「特定理由離職者」として扱われることがあります。 この場合、給付制限がなく、待期期間終了後すぐに失業保険の給付が始まります。 契約書や雇用条件通知書など、契約内容を証明できる書類を用意しておきましょう。

失業保険の受給額と支給日数

賃金日額に基づき4〜8割の範囲で決定される

失業保険の受給額は、退職前6ヶ月間の賃金をもとに算出される「賃金日額」に基づき、原則としてその4割から8割の範囲で決定されます。 年齢や賃金水準によって支給率が異なり、低所得者ほど高い割合で支給される仕組みです。 具体的な金額はハローワークで確認できますが、生活設計の参考にしましょう。

年齢・被保険者期間によって支給日数が変わる

失業保険の支給日数は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者期間によって異なります。 一般的に、年齢が高いほど、また被保険者期間が長いほど支給日数が増えます。 自己都合退職の場合、最短90日から最長150日程度が目安です。 下記の表で支給日数の目安をまとめます。

被保険者期間30歳未満30~44歳45歳以上
1年以上~5年未満90日90日90日
5年以上~10年未満90日120日120日
10年以上~20年未満120日180日180日
20年以上150日210日240日
雇用保険の被保険者期間支給日数(全年齢共通)
1年以上 ~ 10年未満90日
10年以上 ~ 20年未満120日
20年以上150日

自己都合退職は会社都合より支給日数が短い傾向

自己都合退職の場合、会社都合退職と比べて支給日数が短く設定されています。 会社都合退職では、同じ年齢・被保険者期間でもより長い期間の支給が受けられるため、自己都合退職の場合は早めの再就職を目指すことが重要です。 支給日数の違いは、生活設計や再就職活動の計画に大きく影響しますので、事前に確認しておきましょう。

受給中の求職活動のルール

毎月の失業認定日にハローワークで手続きが必要

失業保険を受給している期間中は、原則として4週間ごとに設けられる「失業認定日」にハローワークへ出向き、所定の手続きを行う必要があります。 この認定日には、求職活動の実績や就職状況などを報告し、失業状態であることを確認してもらいます。 認定日を忘れたり、手続きを怠ると、失業手当の支給が遅れたり、最悪の場合は受給資格を失うこともあるため、必ずスケジュールを確認しておきましょう。

求職活動実績が一定数求められる

失業保険の受給には、毎月一定数以上の求職活動実績が必要です。 たとえば、求人への応募やハローワーク主催のセミナー参加、企業説明会への出席などが実績として認められます。 自己都合退職の場合、原則として認定期間ごとに2回以上の求職活動が求められるため、計画的に活動を進めましょう。 活動内容は「求職活動実績証明書」などに記録し、認定日に提出できるよう準備しておくことが大切です。

アルバイトは働き方によっては減額や支給停止の可能性

失業保険受給中にアルバイトやパートで収入を得る場合、その働き方によっては失業手当が減額されたり、支給停止となることがあります。 特に、週20時間以上働く場合や、正社員並みの収入がある場合は「就職した」とみなされ、受給資格を失うこともあります。 アルバイトをする際は、事前にハローワークへ相談し、ルールを守って働くことが重要です。

退職前に確認すべきポイント

離職票の発行時期と退職理由の記載内容

退職後、会社から発行される離職票は、失業保険の手続きに必須の書類です。 発行時期は退職後10日以内が目安ですが、会社によっては遅れることもあるため、事前に確認しておきましょう。 また、離職票に記載される退職理由は、給付制限の有無や受給条件に大きく影響します。 内容に誤りがないか、必ず確認し、疑問があれば会社やハローワークに相談しましょう。

自己都合か特定理由離職者かの判断基準

離職票に記載される退職理由が「自己都合」か「特定理由離職者」かによって、失業保険の給付制限や受給開始時期が大きく異なります。 ハラスメントや賃金未払い、家族の介護など、やむを得ない事情がある場合は、証拠書類を用意し、ハローワークで特定理由離職者として認定されるか確認しましょう。 判断に迷う場合は、早めに専門家やハローワークへ相談することをおすすめします。

退職日と有給休暇の消化日数の調整

退職日と有給休暇の消化日数は、失業保険の受給開始時期に影響します。 有給休暇を消化してから退職する場合、実際の退職日は有給消化終了日となるため、離職票の記載内容や手続きのタイミングに注意が必要です。 有給消化中は「在職扱い」となるため、失業保険の手続きは退職日以降に行うことになります。 スムーズな受給のためにも、会社としっかり調整しましょう。

企業側が発行すべき書類

離職票(1・2)の発行が必須

会社は、従業員が退職した際に「離職票(1・2)」を必ず発行しなければなりません。 この書類は、失業保険の受給手続きに必要不可欠であり、退職者が速やかにハローワークで手続きを進めるためにも、早めの発行が求められます。 発行が遅れる場合は、会社に催促するか、ハローワークに相談しましょう。

雇用保険資格喪失確認通知書

雇用保険資格喪失確認通知書は、退職者が雇用保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類です。 この通知書は、離職票とともに発行されることが多く、失業保険の手続きや再就職時の証明書類として利用されます。 必要に応じて会社から受け取るようにしましょう。

源泉徴収票・在職証明書など必要に応じて発行

退職時には、源泉徴収票や在職証明書など、他にも必要となる書類があります。 源泉徴収票は、年末調整や確定申告、再就職先での手続きに必要です。 在職証明書は、再就職活動や各種手続きで求められることがありますので、必要に応じて会社に発行を依頼しましょう。

失業保険と次の就職活動の関係

早期就職すれば再就職手当が支給される可能性

失業保険の受給期間中に早期に再就職が決まった場合、「再就職手当」が支給される可能性があります。 これは、残りの失業保険日数が一定以上ある状態で再就職した場合に支給されるもので、早期の社会復帰を促すための制度です。 再就職手当を受け取るには、いくつかの条件があるため、事前にハローワークで確認しましょう。

再就職手当は支給残日数の6割〜7割が基準

再就職手当の金額は、失業保険の支給残日数の60%~70%が基準となります。 再就職が早ければ早いほど、手当の金額も多くなります。 ただし、再就職先が一定期間以上継続して雇用される見込みであることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。 詳細はハローワークで確認し、計画的に就職活動を進めましょう。

早めの就職は収入面で大きなメリットがある

失業保険の受給期間を残して早期に再就職すると、再就職手当が支給されるだけでなく、安定した収入を早く得られるという大きなメリットがあります。 また、ブランク期間が短くなることで、キャリア形成や社会復帰もスムーズに進みます。 失業保険を活用しつつ、積極的に再就職活動を行うことが、将来の安心につながります。

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この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。