資格外活動とは?外国人の不法就労を防ぐ週28時間管理と確認書類

この記事は、外国人従業員を雇用する企業の人事担当者や管理者、採用担当者を主な対象にしています。
在留資格に関わる「資格外活動」の基本的な定義から、企業が見落としやすいポイント、実務での確認書類や管理方法、違反した場合のリスクまで、具体例とともに分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、日常の採用・勤怠管理におけるチェック項目が整理され、リスク低減に向けた実務対応が取れるようになります。

資格外活動とは何か

在留資格に基づいて日本で活動する外国人は、その在留資格で定められた範囲内でのみ就労や活動を行うことが原則です。
資格外活動とは、現在保有している在留資格で認められていない収入を伴う活動や事業運営、報酬を受ける行為を指します。
企業としては、採用時や雇用継続時にその活動範囲を確認し、必要に応じて資格外活動許可の有無を確認する義務があります。

在留資格で認められていない活動を行うこと

在留資格により日本で許される活動は細かく定められており、「観光」や「留学」など就労が制限される資格もあります。
そのため、在留資格で許可されていない就労や報酬を受ける活動を行うと、それが資格外活動となり、本人だけでなく雇用側にも法的リスクが及ぶ可能性があります。
企業は在留カードや許可欄を確認し、活動内容が在留資格の範囲内かを慎重に判断する必要があります。

アルバイト制限などが代表例

留学生のアルバイトや観光ビザでの短期労働、技能実習生の資格外での副業などが典型的な資格外活動の例です。
たとえば、留学生が週の上限時間を超えて働いたり、報酬を目的としたYouTube活動やフリーランス的な仕事を行う場合も資格外活動に該当することがあります。
こうしたケースは本人の認識不足や雇用側の確認不足から発生するため、具体的な業務内容と在留資格の関係を明確にすることが重要です。

なぜ企業が注意する必要があるのか

企業が資格外活動に注意を払うべき理由は、単に法律遵守の観点だけでなく、企業の社会的信頼や事業継続性にも関わるからです。
在留資格外の活動を見過ごすと、行政からの指導や罰則、報道による reputational risk(評判リスク)など多岐にわたる不利益が生じる可能性があります。
また、雇用主として適切な管理を怠った場合、刑事責任や行政処分の対象となることもあるため、実務上の確認と記録保持が求められます。

知らなくても責任を問われる場合がある

企業は外国人を雇用する際に在留資格の確認を行う義務があり、確認不足が原因で資格外活動を放置すると責任を問われることがあります。
たとえ人事担当者が知らなかった、現場が把握していなかったという事情があっても、雇用管理の不備として行政処分や罰金の対象となる場合があります。
したがって、本人申告だけに頼らず、在留カードや許可書の写しを保管するなどのプロセス整備が必要です。

不法就労助長罪につながる

資格外活動を容認・助長した場合、企業側が不法就労助長罪の適用を受けるリスクがあります。
故意または重大な過失により在留資格外の労働をさせたと認定されれば、刑事罰(罰金や懲役)や企業への厳しい行政措置が科されることがあります。
そのため、採用前の在留資格確認や雇用後の勤務実態把握、労働条件の書面化といった予防措置を徹底することが重要です。

よくある資格外活動違反

企業の現場で実際に発生しやすい資格外活動違反には、留学生の過剰労働や、本来の業務範囲外の専門業務従事、複数のアルバイトの掛け持ちによる時間超過などがあります。
これらは本人の無理解や雇用管理の不備が原因で起きることが多く、定期的なチェックで未然に防げるケースが少なくありません。
以下で代表的な違反事例を挙げるので、社内で点検リストを作成する際の参考にしてください。

留学生の働きすぎ

留学生は在留資格上、通常は週28時間までの就労制限が設けられており、これを超えて働くと資格外活動となります。
とくに学業と並行して長時間シフトを組まれてしまうケースや、複数のアルバイト先での合算時間を管理していないと超過が発生します。
企業は留学生を採用する際に就労時間の上限を確認し、シフト管理や月次の労働時間把握を義務付けることが必要です。

許可外業務への従事

在留資格の種類によっては「特定の業務」に限られている場合があり、技能や専門性の高い業務に従事させると資格外活動になります。
たとえば、技能の在留資格で来日した者を休暇中に別の専門職として雇用する、あるいは報酬を受ける在宅でのライティングやコンサル業務を行わせることが該当する場合があります。
業務内容が変わる際は事前に在留資格の範囲を確認し、必要に応じて資格外活動許可の取得を促してください。

資格外活動許可とは何か

資格外活動許可は、在留資格で認められていない収入を伴う活動を行う場合に、出入国在留管理局が個別に許可する制度です。
主に留学生や就労制限のある在留資格の外国人がアルバイト等を行う場合に事前申請して許可を得ることが一般的で、許可があると在留資格の範囲外での収入活動が限定的に認められます。
許可の有無や範囲は在留資格ごとに異なるため、本人が手続きを行う必要がある点も理解しておきましょう。

一定条件で認められる制度

資格外活動許可は、学費等を補う目的や生活費のために限定的に就労する場合など、一定の条件を満たす場合に認められます。
条件には労働時間の上限、業務内容の制限、申請手続きの適正性などが含まれ、ケースによっては包括的な許可が適用されることもあります。
企業側は許可の有無と許可内容(活動時間・業務の種類等)を必ず確認し、許可範囲を逸脱しないよう運用する必要があります。

包括許可と個別許可がある

資格外活動許可には、特定の範囲で広く認められる「包括許可」と、個別の事情に応じて出される「個別許可」があります。
包括許可は主に留学生向けに定められた一般的な就労許可で、個別許可は例外的な事情や特殊な業務に対して出されることが多いです。
どちらの場合も許可内容を証明する書類の写しを企業が保管し、雇用管理の際に照合できる状態にしておくことが重要です。

留学生アルバイトの注意点

留学生をアルバイト採用する際は、在留資格と資格外活動許可の有無、週の就労時間上限、勤務時間帯や業務内容などを明確に確認する必要があります。
学業優先であることや学内規定との整合性も重要で、長時間労働や深夜業務が学業に支障を来さないよう配慮する必要があります。
企業は採用時だけでなく雇用中も定期的に勤務実態を確認し、超過があれば直ちに改善措置を取る体制を整えてください。

週28時間制限

一般的な留学生の資格外活動許可では、学期中の就労が週28時間以内に制限されています。
この制限は複数の雇用先で働いている場合も合算されるため、企業側は雇用する留学生に対して他の就労先の有無や合計就労時間の確認を行う必要があります。
違反が見つかると本人だけでなく雇用主にも影響が出るため、シフト管理や月次報告の運用を整備することが推奨されます。

長期休暇中の特例

大学等の長期休暇(夏季・春季など)においては、就労時間の上限が一時的に緩和される場合がありますが、その条件や期間は明確に定められています。
長期休暇中の労働時間拡大を想定する場合でも、事前に本人の資格外活動許可の内容を確認し、必要に応じて追加の手続きや社内ルールの策定を行うことが必要です。
安易な時間延長は資格外活動違反につながるため、管理体制を整えてください。

企業が見落としやすいポイント

企業が見落としやすいポイントとしては、複数の雇用先での就労合算、在留期限や許可の有効期限の未確認、業務内容の変化に対する追跡不足、本人からの申告のみでの判断などが挙げられます。
これらは一見些細な管理の甘さが原因で発覚し、重大なリスクに発展することがあります。
採用フローや勤怠管理システムに在留資格チェックの項目を組み込み、定期的に見直すことが有効です。

複数アルバイトの合算

留学生などが複数のアルバイト先で働いている場合、各社が個別に規制内と判断していても合算すると上限を超えてしまうことがあります。
企業は採用時に他の就労先の有無を確認し、必要に応じて合算した上で総労働時間を把握する運用を導入するべきです。
口頭確認だけで済ませず、雇用契約書や確認書の形で記録を残すことがリスク低減につながります。

在留期限切れ確認漏れ

在留カードには有効期限が記載されており、期限切れを放置して雇用し続けると重大な問題になります。
採用時には在留カードの写しを取得し、在留期限が近づいた場合は更新状況の確認や更新支援を行う仕組みを設けることが重要です。
社内で在留期限管理の担当を決め、期限管理カレンダーや通知機能を活用して更新漏れを防ぎましょう。

技能実習・特定技能との違い

技能実習や特定技能は、日本での就労を前提とした在留資格であり、活動範囲や雇用形態、監督機関が留学生等とは異なります。
技能実習は技能習得を目的とした制度で受け入れ枠や監理団体の関与が多く、特定技能は一定の専門性や技能を有する外国人材を受け入れるための制度で雇用契約や賃金の適正確保が求められます。
比較すべきポイントを表にまとめましたので、採用時の判断材料としてご活用ください。

項目技能実習特定技能
目的技術移転・技能習得即戦力としての労働力補充
監督監理団体や実習実施者の管理下受入企業と法令遵守が前提
雇用形態実習計画に基づく実習雇用契約による労働者としての待遇
資格外活動原則認められない在留資格に基づく業務以外は制限される

在留資格ごとに活動範囲が異なる

在留資格ごとに許される活動範囲は明確に異なり、同じ外国人であっても在留資格が変われば業務内容や副業の可否も変わります。
たとえば、技能実習では実習計画外の業務に従事することは原則認められず、特定技能でも契約範囲外の仕事を行うと資格外活動に該当することがあります。
企業は在留資格ごとの制約を理解し、採用ポジションと在留資格の整合性を確認することが必要です。

雇用条件確認が必要

技能実習生や特定技能者を受け入れる際は、賃金、労働時間、社会保険の適用、住居や生活支援など雇用条件を書面で明示し、適正な待遇を提供する必要があります。
これらの要件が満たされない場合、制度違反となり在留資格の問題だけでなく労働基準法違反等の法的問題に発展する可能性があります。
雇用契約書や労働条件通知書を整備し、定期的に確認・更新する運用を行ってください。

違反するとどうなるのか

資格外活動の違反が発覚した場合、本人には在留資格の取消・再入国禁止、強制送還などの厳しい行政処分が科される可能性があります。
企業側も、不法就労助長や雇用管理の不備として刑事罰や罰金、業務停止命令などの処分を受けることがあり、社会的信用の失墜や事業運営への影響も無視できません。
発覚時の対応や再発防止策をあらかじめ整えておくことが重要です。

企業側も処罰対象になる

資格外活動を知りながら雇用を継続したり、違法な就労を助長する行為を行った場合、企業側が処罰対象となる可能性があります。
具体的には不法就労助長罪による刑事責任や、行政による業務改善命令・罰金等の制裁が科されることがあり、代表者や管理責任者にも責任が及ぶことがあります。
そのため、社内ルールとコンプライアンス体制を整備しておくことが欠かせません。

採用継続に影響する

違反が発覚すると当該外国人の在留資格が取消されることがあり、それに伴って雇用契約の継続が困難になるケースが多くあります。
事業運営上の人員計画にも影響が出るため、採用前の資格確認や入社後の定期的な確認を怠らないことが重要です。
また、違反が発生した場合の社内対応フローを整備しておくことで、早期発見と影響の最小化が可能になります。

企業が必ず確認すべき書類

外国人を雇用する際に企業が確認すべき主な書類として、在留カード、資格外活動許可欄、有効なパスポート、雇用契約書、在留資格に関する証明書類などがあります。
これらを採用段階でコピーし、期限や許可の範囲を記録として保管することが法的リスク軽減につながります。
以下に主要な確認項目をリスト化しましたので、チェックリストとして社内に導入してください。

  • 在留カードの現物確認と写しの保管
  • 在留期間の有効期限と更新予定の確認
  • 資格外活動許可の有無・許可範囲の確認
  • 雇用契約書や労働条件通知書の締結と保管
  • 複数雇用先がある場合の労働時間合算確認

在留カード

在留カードは外国人の在留資格や在留期間、在留資格に関する基本情報が記載された公的な証明書であり、採用時に必ず現物確認する必要があります。
カードの有効期限切れや記載内容の不整合がないかを確認し、写しを社内で保管しておくことで後日の確認や行政対応に備えることができます。
在留カードは本人確認と在留資格確認の最も基本的な資料であるため、定期的な再確認ルールを設けてください。

資格外活動許可欄

在留カードや別紙の許可書に「資格外活動許可」の記載があるかどうか、また許可の範囲や条件(例:週の就労上限など)を確認することが重要です。
許可がある場合はその写しを保管し、許可がない場合は本人に申請を促すか就労を見合わせる判断が必要です。
企業は許可内容に反した業務に従事させないよう、業務指示やシフト設定の段階で確認を徹底してください。

実務で重要な管理方法

実務面では、在留資格確認の標準化、勤怠管理の強化、在留期限や許可期限の一元管理、従業員教育や問い合わせ窓口の設置などが重要です。
これらを運用に落とし込み、採用時と雇用中の定期的なチェックと記録保存を徹底することで、資格外活動に起因するリスクを大幅に低減できます。
以下に具体的な管理方法を紹介しますので、自社の実務フローと照らし合わせて改善点を見つけてください。

労働時間管理

労働時間管理では、留学生など就労時間に制約がある従業員のシフトや実働時間を正確に把握し、複数雇用先がある場合の合算も考慮する必要があります。
勤怠システムに在留資格別の上限値を設定したり、月次レポートで就労時間を自動集計する仕組みを導入することで、ヒューマンエラーを減らせます。
超過が確認された場合の早期是正フローをあらかじめ定めておくことも重要です。

在留期限管理

在留期限や資格外活動許可の有効期限を一元管理し、更新期日の前に通知が出る仕組みを設けることで更新漏れを防げます。
社内カレンダーやHRシステムに在留期限を登録し、担当者を明確にして更新支援や案内を行う運用を整備してください。
更新が遅延すると雇用継続に支障が出るため、期限管理は採用後の重要な業務の一つです。

企業がやりがちな失敗

企業が犯しやすい失敗として、本人の口頭申告だけで在留資格・許可の適否を判断すること、現場任せで管理が統一されないこと、在留期限や許可期限の管理をしていないことなどがあります。
これらはいずれも内部統制の欠如が原因となるため、標準化された手順と責任者の明確化、適切な記録保存を行うことで回避可能です。
以下に典型的な事例と防止策を示しますので、社内でのチェックに活用してください。

本人申告だけで判断する

本人が『問題ない』と申告しても、それだけで雇用上のリスクが消えるわけではありません。
在留カードや許可書の実物確認、写しの保管、必要に応じた行政窓口での確認などを実施することが重要です。
本人申告に頼ると証拠が残らず、後日問題が発生した際に企業側の対応が遅れたり不利になったりします。

現場任せにする

在留資格の確認や就労制限の管理を現場の裁量に任せると、管理基準がばらつき、見落としが発生しやすくなります。
人事や総務で基準を定め、採用から退職までのフローを文書化して共有することが必要です。
定期的な教育やチェックリストの運用により、現場レベルでの過誤を減らすことができます。

よくある誤解

よくある誤解として『在留資格に関する問題は本人の責任だから会社は関係ない』『短時間なら問題ないだろう』といった認識があります。
実際には、雇用者側にも確認義務や管理責任があり、短時間であっても在留資格外の業務内容であれば問題となります。
正しい理解を社内に浸透させ、誤解に基づく運用を改めることが重要です。

本人責任だから会社は関係ない

本人が在留資格を保持しているからといって、企業が何も確認しなくてよいわけではありません。
雇用主は採用時に在留カードの確認や資格外活動許可の確認を行う義務があり、管理不備があれば企業側にも責任が及ぶことがあります。
そのため、採用プロセスにおいて証拠となる書類のコピー取得や保管ルールを徹底する必要があります。

短時間なら問題ない

短時間の就労であっても、在留資格で明確に禁止されている活動や報酬を受け取る形の業務であれば資格外活動に該当します。
たとえば観光ビザでの短時間の有償労働や、留学生が許可されていない業務に従事することは短時間でも違反になる可能性があります。
業務内容の性質を見極め、単に労働時間だけで判断しないことが重要です。

まとめ|在留資格確認は企業責任でもある

外国人雇用における在留資格の確認と資格外活動の管理は、本人だけでなく雇用企業にも重大な責任が伴います。
採用時の書類確認、勤怠と在留期限の定期管理、社内ルールの整備と従業員教育を通じてリスクを最小化することが重要です。
継続的な管理体制と法令理解が、企業のコンプライアンス向上と事業継続性の確保につながります。

継続的な管理体制が重要

在留資格や資格外活動許可は動的な情報であり、採用時だけでなく雇用期間中に継続的な確認が必要です。
定期的なチェックリスト運用、在留期限のアラート、勤怠システムとの連携などを行い、担当者を明確にして社内で継続的に管理する体制を構築してください。
これにより早期発見と迅速な是正が可能になり、法的リスクを大幅に低減できます。

法令理解がリスク防止につながる

資格外活動に関する法令や出入国在留管理局の運用は逐次更新されるため、最新の情報を把握しておくことがリスク防止には不可欠です。
必要に応じて行政窓口や専門家に相談し、社内マニュアルを最新化することで不明点を解消し、適切な対応が取れる組織を目指してください。
法令理解と実務運用の両輪が企業の安心安全な外国人雇用につながります。

動画で解説

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。