この記事は人事担当者や経営者、総務担当、または働く社員で忌引き休暇の取り扱いや就業規則の整備方法を知りたい方向けに書かれています。 忌引きが法律で義務付けられていない点や親等の考え方、日数や有給無給の判断、休日との重なり方といった実務上のポイントをわかりやすく整理して解説します。 就業規則に何を明文化すべきか、トラブルを避けるための実務的な勧めも具体例を交えて提示します。
忌引きは何親等まで認めるべきか
忌引きを何親等まで認めるべきかは法律で決まっているわけではなく、会社が就業規則で定める事項ですので、業種や企業規模、社内文化に応じて判断する必要があります。 一般的には一親等から三親等までを対象とする企業が多く見られますが、社員のニーズや業務への影響を踏まえて柔軟に決めるのが現実的です。 決定にあたっては、公平性の確保と運用のしやすさを重視して範囲と日数を設計することが重要です。
忌引き休暇は法律ではなく会社独自制度
忌引き休暇は労働基準法で義務付けられた休暇ではなく、企業が独自に設ける慶弔休暇の一部として扱われる制度です。 したがって、付与条件や対象範囲、日数、有給無給の判断は全て就業規則や労使協定で定めることになります。 企業は労働法令に反しない範囲で自社の事情に合わせて制度設計を行い、明確に周知することが求められます。
就業規則の定めが唯一の判断基準になる
忌引きの可否や日数、有給化の有無については就業規則の記載が唯一の社内判断基準となります。 口頭や慣例での運用は個別対応には柔軟ですが、後々のトラブルを避けるためにも書面での明文化が重要です。 就業規則に詳しく定めることで管理職の判断が一貫しやすくなり、社員間の不公平感を軽減できます。
忌引き休暇の基本的な考え方
忌引き休暇の基本は、親族の死亡という特別な事情に対して弔意を示し、通夜や葬儀の参列、喪主や手続き等のために労働を免除するという考え方にあります。 これは業務上の配慮と社員の精神的ケアを両立させるための制度ですので、故人との関係性や葬儀慣行に応じて適正な日数と運用を設定する必要があります。 企業は同時に、業務継続に支障が出ないよう代替措置や連絡ルールを整備しておくことが望まれます。
親族の死亡に伴う弔意対応のための休暇
忌引きは単に休むための制度ではなく、弔意を示し葬儀関連の業務を適切に行うための休暇です。 参列、準備、役割分担、役所手続きなど短期間で集中して対応すべき事項が多いため、一定の日数を確保することが理にかなっています。 会社は参列者の役割や地域慣行に応じて柔軟に対応できるようガイドラインを作成しておくと運用が楽になります。
年次有給休暇とは別枠で扱われるのが一般的
忌引き休暇は年次有給休暇とは別枠で付与されるのが一般的で、慶弔休暇や服喪休暇として別に規定されることが多いです。 別枠にすることで、通常の休暇消化と忌引きの利用を混同せずに運用でき、社員の心理的負担も軽減されます。 ただし、就業規則で年休として扱う旨を定めることも可能であり、その場合は給与支払扱いなど運用ルールを明確にする必要があります。
親等とは何か
親等とは、血縁や姻族の関係の近さを示す指標であり、法律や社会慣行で親族の近さを判断する際に使われます。 具体的には自分から相手までの世代数や経路で測り、配偶者を介する場合は姻族として扱われます。 忌引きの対象範囲を決める際には、この親等の定義を就業規則に正確に記載しておくと誤解を避けられます。
血族・姻族の関係性の距離を示す考え方
血族は直接の血のつながりを示し、親子や祖父母、兄弟姉妹などが含まれます。 一方で姻族とは婚姻によって生じた関係で、配偶者の親や兄弟姉妹が該当します。 就業規則では血族と姻族の区別や、どの範囲まで忌引きの対象とするかを明確に定義しておくことが重要です。
数字が小さいほど関係が近い
親等の数字は小さいほど本人との関係が近いことを意味し、一般には一親等が最も近い関係を示します。 例えば一親等は父母・子・配偶者、二親等は祖父母・兄弟姉妹・孫、三親等は大叔父母や曾祖父母などを含みます。 忌引き制度ではこの数字を基準に対象範囲や日数設定を行うことが多く、規則で具体例を示すと実務上便利です。
一般的に多い忌引き対象
企業によって多少の差はありますが、一般的には一親等と二親等を忌引き対象とするケースが多く見られます。 一親等は配偶者や父母、子など最も近しい関係であり、二親等は祖父母や兄弟姉妹、孫が該当します。 三親等まで認めるかどうかは会社の規模や業務実態、従業員の期待により判断されることが多いです。
一親等(父母・子・配偶者)
一親等は配偶者や実父母、実子など最も近い家族関係を示し、忌引きとして最も手厚い日数と扱いが与えられることが一般的です。 多くの企業では一親等に対して有給で数日から最大10日程度を付与する運用が見られますが、業界や社内慣行に差があります。 就業規則には一親等に該当する具体的な範囲と、日数や有給無給の扱いを明記しておくと混乱が避けられます。
二親等(祖父母・兄弟姉妹・孫)
二親等は祖父母や兄弟姉妹、孫などが該当し、一親等よりは短めの日数で扱われるのが一般的です。 典型的な付与日数は1〜5日程度で、会社によっては通夜や葬儀に合わせて1〜2日を指定する場合もあります。 二親等の扱いを明確にすると、従業員が申請しやすく管理もしやすくなるため、就業規則での記載を推奨します。
三親等まで認める会社が多い理由
三親等までを忌引きの対象とする企業が多いのは、社会通念上の弔意と実務上の負担のバランスが取りやすいからです。 三親等までを認めれば比較的広い範囲の近親者をカバーでき、従業員の満足度や安心感向上につながります。 同時に四親等以上は対象外にすることで運用負担を限定でき、業務継続性とも両立しやすくなります。
社会通念上の弔意として妥当
三親等までを対象にすることは社会通念上も妥当とされることが多く、地域や文化による差を踏まえても広く理解を得やすい基準です。 これにより故人との関係が比較的近い親族については安心して参列や手続きを行えるようになります。 企業はこうした一般論を踏まえつつ、自社の事情に合わせて最終的な範囲を決定すると良いでしょう。
実務負担とのバランスが良い
三親等までの設定は対象人数が無制限に広がることを防ぎ、忌引き申請の管理や代替要員手配の負担を適度に抑えられます。 一方で従業員の弔意や家庭事情に一定の配慮を示すことができ、人事管理上のバランスが良好です。 実務的には対象範囲ごとに日数や有給無給のルールを定めることで運用の安定化が図れます。
四親等以上の扱い
四親等以上になると血縁関係が比較的遠く、忌引きとしては対象外とする会社が一般的です。 ただし地域の慣習や社員個別の事情によっては特別休暇や有給消化で対応することもあります。 いずれにせよ四親等以上をどう扱うかは就業規則で明示し、個別に相談する窓口を設けておくとよいでしょう。
忌引き対象外とする会社が一般的
多くの企業は四親等以上を忌引きの対象外とし、業務への影響や不公平感を避ける方針を取ります。 対象外とする場合でも、社員が特別な事情を抱えることがあるため相談に応じて有給や特別休暇で対応する柔軟性を持たせると安心です。 規則で対象外と明記するだけでなく、例外対応のプロセスも定めておくと運用が円滑になります。
年次有給休暇で対応するケースが多い
四親等以上や職務上特に重要な理由がない場合、年次有給休暇を使って対応してもらうことが実務上多い対応方法です。 有給消化であれば給与支払の観点でも問題が生じにくく、会社側も管理がしやすいという利点があります。 ただし社員の心理的負担を考慮して、有給以外の特別休暇や半日単位の取得等の柔軟な運用を検討する企業も増えています。
姻族を含めるかどうか
姻族を忌引き対象に含めるかどうかは就業規則次第であり、配偶者側の親族をどの範囲まで扱うかは企業判断に委ねられます。 配偶者との関係性や同居の有無、地域慣行を考慮して範囲を決めるとよく、あらかじめ具体的な例示を就業規則に入れておくと混乱を避けられます。 一般的には配偶者の父母は一親等扱いとして厚く扱う企業が多いです。
配偶者の父母は一親等扱いが多い
実務上、配偶者の父母や配偶者そのものは本人に近い関係と見なされ、一親等扱いに準じた日数や有給扱いにする会社が多いです。 この扱いにすることで配偶者側の葬儀にも参列しやすく、家族としての対応がスムーズになります。 ただし就業規則に配偶者側の親族をどの親等として扱うかを明示しておくことが重要です。
姻族を含めるかは就業規則次第
姻族を広く含めるか否かは企業の方針とカルチャーによりますので、就業規則で明確に示す必要があります。 含める場合は具体的に「配偶者の父母・兄弟姉妹を二親等として扱う」など具体例を示すと運用が楽になります。 含めない場合も相談ベースで個別対応を可能にするルールを設けておくと従業員満足度の向上につながります。
忌引き日数の決め方
忌引き日数は親等の近さ、社員の役割(喪主や近親者の世話係等)、地域の慣行、業務への影響を総合的に勘案して決めるのが基本です。 一般的に一親等に対しては5日〜10日、二親等で1〜5日、三親等で1日〜数日といった階層設定が多く見られます。 日数設定は明確な基準を示しつつ、特別な事情には個別に対応する旨を規則に書いておくと実務が円滑になります。
親等が近いほど日数を多く設定
親等が近いほど忌引きの日数を多く設定するのは合理的であり、喪主や近親者の手続きや通夜・葬儀への参加に伴う時間的負担を考慮したものです。 たとえば配偶者や子が亡くなった場合は遠方移動や役割分担のために長めの日数を認める必要があります。 会社は日数の上限と最短単位を就業規則で示し、申請手続きも明確にすることが望まれます。
遠縁ほど短くするのが一般的
遠縁にあたる親族については、日数を短く設定するか年次有給での対応を前提とするのが一般的です。 これにより忌引きの濫用を防ぎつつ、実務負担を抑えることができます。 ただし地域や個人の事情により遠方移動が必要な場合もあるため、例外ルールや申請時の相談体制を整えておくことが重要です。
| 親等 | 代表的対象 | 一般的な日数目安 |
|---|---|---|
| 一親等 | 配偶者・父母・子 | 5〜10日 |
| 二親等 | 祖父母・兄弟姉妹・孫 | 1〜5日 |
| 三親等 | 大叔父母・曾祖父母など | 1日〜数日 |
有給か無給かの考え方
忌引きを有給にするか無給にするかは会社の判断であり、有給扱いにする企業が多い一方で無給扱いでも違法ではありません。 有給にすると従業員の負担が減り心理的ケアにもつながるため福利厚生の一環として有給化する企業が増えています。 ただし有給化する場合は給与計算上の取り扱いや会社の休暇ポリシーとの整合性を就業規則で整理しておく必要があります。
有給扱いにする会社が多い
実務上、忌引きを有給扱いにする会社が多く、特に一親等では有給で数日を与えるのが一般的な慣行になっています。 有給扱いにすることで従業員の生活保障が図られ、会社にとっても従業員満足度向上というメリットがあります。 有給にするかどうかは就業規則と給与規定を整備して明確に示しておくことが重要です。
無給でも違法ではない
法律上、忌引きを無給とすること自体は違法ではありませんので、会社は自社の財務状況や他の休暇制度とのバランスを見て判断できます。 ただし無給にする場合でも代替措置として有給の使用や特別休暇の付与、半日単位の柔軟取得などを検討すると従業員理解が得られやすいです。 無給扱いであっても運用ルールを事前に周知しておくことがトラブル防止につながります。
休日と重なった場合の扱い
忌引きと法定休日や所定休日が重なった場合の扱いも就業規則で定めておく必要があります。 休日を忌引き日数に含めるか除外するかで社員の受ける恩恵が変わるため、明確にルール化して周知することが大切です。 実務では休日を除外して忌引き日数を付与するケースが多く、これにより実際に休める実労日が確保されます。
カウントするかは就業規則次第
休日を忌引き日数に含めるかどうかは会社の判断であり、就業規則で明示すべき事項です。 含める場合は日数の見直しが必要となることがあり、除外する場合は実労日数が確保できるという利点があります。 どちらを採用するにしても具体例を示して社員に分かりやすく周知することが重要です。
多くは休日を除外して付与する
多くの企業は休日や祝日が忌引き期間に含まれる場合、当該休日を除外して実労日としての忌引きを付与する運用を採っています。 この方式は実際に葬儀や手続きで必要な労働日数を確保できるため現場での実務性が高いです。 ただし休日の扱いについては就業規則で明確に定め、申請フローで自動的に処理されるようにしておくと管理が容易です。
就業規則に必ず書くべき事項
就業規則には忌引きの対象親等、付与日数、有給無給の区分、申請手続き、休日扱い、証明書の有無や例外対応フローなどを必ず記載しておくべきです。 これらを明確に定めることで管理職や総務が一貫した判断を下せるようになり、従業員間の不公平感も軽減されます。 また、具体的な例示やQ&A形式の補足を規則に添付すると現場での判断がしやすくなります。
対象親等・日数・有給無給の区分
就業規則にはまず忌引きの対象となる親等(例:一親等、二親等、三親等)を具体的に列挙し、それぞれに対応する付与日数と有給か無給かを明記することが必須です。 さらに申請要件や必要書類、申請時期や連絡ルールも併せて規定しておくと実務がスムーズになります。 これらを明確に示すことで後のトラブル防止につながり、労使双方にとってメリットがあります。
曖昧な表現はトラブルの元
就業規則において「親族」「近親者」など曖昧な表現だけで定めると、解釈の違いでトラブルが起きやすくなります。 具体的な親等や対象者の例示、日数の上限や下限、休日扱いについて明確に記載することが重要です。 また例外対応や個別相談の窓口を規則に明記することで、柔軟な運用と公正性を両立させることができます。
結論
忌引きは法律で画一的に決まっているわけではないため、企業は自社の実情に合わせて就業規則で明確に範囲と日数、有給無給の扱いを定めることが不可欠です。 労務管理上の公平性と実務負担のバランスを考慮し、一般には一親等〜三親等を基準にしたルール設計が実践的です。 明文化と周知を徹底することでトラブルを避け、従業員の安心感を高めることができます。
忌引きは何親等までかを明確に定めることが重要
最終的に忌引きの対象範囲を明確に定めることが、運用の安定と従業員満足度向上につながります。 就業規則に具体的な親等、日数、扱い方を盛り込み、例外対応や相談窓口も併記することで実務トラブルを未然に防げます。 労務担当者は定期的に規則を見直し、社内事情や法令・慣行の変化に対応することをおすすめします。
就業規則の明文化が実務トラブルを防ぐ
曖昧な運用は誤解や不満の原因になるため、就業規則に基づいた一貫した処理が不可欠です。 明文化により管理職の判断基準が統一され、各種申請や給与処理も自動化しやすくなります。 必要に応じて就業規則の改定や社員説明会を行い、制度の運用状況を定期的にチェックすることで実務トラブルを未然に防ぎましょう。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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