この記事は、freee人事労務を使って残業時間を適切に管理したい人事担当者や経営者、総務担当者向けに書かれたガイドです。
freee人事労務で残業時間を管理する方法や初期設定、36協定への対応、給与連携、よくあるトラブルと対策、社労士に依頼するメリットまで実務で役立つポイントを分かりやすく解説します。
導入前のチェックポイントや運用のコツを具体例を交えて紹介するので、これから勤怠管理システムを整備する企業にとって役立つ内容になっています。
freee人事労務で残業時間は管理できる?
freee人事労務はクラウド型の勤怠・人事労務プラットフォームで、打刻データの収集から残業時間の集計、アラート設定、給与連携まで一気通貫で対応できます。
法令に基づく集計や36協定の上限管理、割増賃金の計算仕様も設定可能で、紙や表計算で行っていた手作業を大幅に削減できます。
中小企業から中堅企業まで幅広く利用されており、勤怠ルールの柔軟な設定や管理者向けの承認フローも備わっている点が特徴です。
残業時間管理機能の概要
freee人事労務の残業時間管理機能は、従業員の打刻や勤怠申請をもとに所定労働時間を超えた時間を自動で集計する機能をコアに持っています。
時間外、休日、深夜労働といった種類ごとに集計でき、勤務体系や法定休日の設定に応じた計算が行えます。
さらに承認フロー、アラート、レポート出力などの運用支援機能を活用することで月次の集計や法令遵守の確認が容易になります。
freee人事労務でできること
freee人事労務では打刻データの収集、勤怠ルール設定、残業時間の自動集計、36協定に沿った上限管理、アラート通知、勤怠承認フロー、給与計算とのデータ連携などを行えます。
これにより手動集計によるヒューマンエラーや集計漏れを減らし、法令通りの割増賃金計算を自動化して労務管理の効率化と正確性を高めることが可能です。
| 項目 | freee人事労務 | 手作業(Excel等) |
|---|---|---|
| 打刻の収集 | クラウドで自動収集・修正ログ有 | 手入力や紙の打刻を転記 |
| 残業集計 | 時間外・休日・深夜を自動分類 | 計算式やマクロで手動運用 |
| 法令対応 | 36協定や割増率設定可能 | 法改正ごとに手作業で修正 |
| 給与連携 | ワンクリックで給与システムへ連携 | 手入力やCSV編集が必要 |
導入するメリット
freee人事労務を導入することで、勤怠集計の自動化により工数削減とミス防止が期待できます。
法令に基づいた集計や36協定の上限管理を設定することでコンプライアンスを強化でき、管理者向けのアラートや一覧で超過者の早期発見が可能になります。
さらに給与計算との連携により給与計算作業のスピードと正確性が向上し、従業員への支払いミスや後処理の手間を減らせます。
- 勤怠集計の自動化で人的ミスを削減
- 法令対応によるコンプライアンス強化
- 給与計算との連携で作業工数を削減
- アラートで超過労働を早期に把握
残業時間を管理する前に確認すること
残業時間を適切に管理するためには、まず法令や自社のルールを整理することが欠かせません。
労働基準法の基本ルールや36協定の内容、就業規則の記載と実務との整合性を事前に確認し、どのような基準で集計しアラートするかを明確にしておく必要があります。
freee導入前にこれらを整理することでシステム設定の誤りや運用上の齟齬を防ぎ、現場運用の摩擦を減らせます。
労働基準法の基本ルール
労働基準法では、原則として1日8時間・1週40時間を超える労働は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要と定められています。
法定休日や深夜労働(22時~5時)に対する割増率も規定されており、これらを満たすように集計と賃金計算を行う必要があります。
まずは自社の所定労働時間と法定労働時間の違いを整理しましょう。
36協定の内容を確認する
時間外労働を実施するには労使で締結した36協定(時間外・休日労働に関する協定)が必要です。
36協定では延長できる時間や特別条項の有無、協定の対象となる期間などを明記する必要があり、協定の範囲外での時間外労働は違法になります。
freee上ではこの協定内容に沿った上限設定やアラートが可能なので、導入前に最新の協定書を確認してください。
就業規則を見直す
就業規則には所定労働時間、休憩、休日、時間外手当の支給ルール、申請・承認手順などを明確にしておく必要があります。
就業規則の記載が実務と一致していない場合、システム設定と運用で齟齬が生じやすくなります。
freeeの設定値は就業規則を基準にして入力することが重要で、就業規則に沿った運用フローの周知も併せて行いましょう。
freee人事労務の初期設定
freeeを運用するには初期設定が重要で、ここでの精度がその後の集計信頼性に直結します。
勤務体系、所定労働時間、休憩、時間外ルール、36協定に基づく上限設定や割増率などを正確に登録します。
また従業員の雇用形態やシフトパターン、承認フローも同時に設計することで導入後の運用がスムーズになります。
勤務体系を設定する
勤務体系はフレックスタイム制、裁量労働制、シフト制など自社の働き方に合わせて登録します。
勤務体系ごとに所定労働時間の扱いや計算方法が異なるため、正確に分類しておくことが重要です。
freeeでは複数の勤務体系を登録でき、従業員ごとに適用させることで自動で所定時間との比較や残業判定が行われます。
所定労働時間・休憩時間を設定する
所定労働時間や休憩時間を正確に登録することで、freeeは打刻データと比較して時間外を自動判定します。
日単位や週単位での所定時間設定が可能で、休憩の分割や有給休憩の扱いなども細かく設定できます。
ここでの誤設定は残業誤差や給与計算ミスにつながるため、就業規則と照らして慎重に設定してください。
時間外労働のルールを設定する
時間外労働に関する割増率、深夜手当、法定休日の扱い、36協定の上限値などをfreee上で定義します。
特別条項がある場合はその適用条件や期間を明示して設定し、超過時のアラート条件も併せて設定しておくと運用上便利です。
これにより自動集計と給与連携で法令に沿った支払いが行えます。
残業時間を正しく集計する方法
正しい残業集計には、打刻データの精査、時間外・休日・深夜の分類、勤怠データの確定プロセスが欠かせません。
freeeでは打刻データを自動で取り込み、集計ルールに従って分類しますが、例外処理や勤怠申請による修正が発生するため確認フローを設けることが重要です。
定期的なレビューと運用ルールの徹底で信頼性を高めましょう。
打刻データを確認する
打刻データは出勤・退勤の時刻が正確に記録されているか、打刻漏れや二重打刻がないかを管理者が定期的に確認する必要があります。
freeeでは打刻の修正履歴が残り、申請ベースで勤怠を修正できますが、修正ルールや承認フローを厳格にすることで不正や誤りを防げます。
月次前に打刻の整合性チェックをルーチン化しましょう。
時間外・休日・深夜労働を集計する
freeeは設定に基づき時間外、休日、深夜の各種労働時間を自動集計します。
法定休日や所定休日の区別、深夜時間帯の指定、複数勤務体系での扱いなどを事前に正しく設定しておくことで精度の高い集計が可能です。
集計結果はレポートやエクスポートで確認でき、給与計算への反映前に管理者がチェックします。
勤怠データを確定する
月次締めや中間締めなど、勤怠データを確定するフローを定めておくことが重要です。
確定前には申請済みの残業申請や休暇申請の承認状況、打刻修正の有無を確認し、確定後は原則として修正ができないルールを設けることで給与計算や労務監査での整合性を保ちます。
freeeの承認機能を活用して確定フローを自動化しましょう。
36協定に対応した残業時間管理
36協定に基づく上限管理は違反リスクを避ける上で重要で、freeeでは協定内容に応じた上限値設定や超過時のアラート機能を活用できます。
特別条項を設定する場合は適用条件と期間を明確にし、管理者が定期的に集計結果をチェックする運用を定着させることが求められます。
法改正時は即時に設定見直しを行いましょう。
時間外労働の上限を確認する
36協定で定められた時間外上限は、通常の上限と特別条項適用時の上限があり、違反すると行政指導や罰則の対象になります。
freeeの設定でこれらの上限を入力し、従業員ごとの対象期間で超過が発生した場合にアラートが出るようにしておくことで早期対応が可能です。
定期的に集計レポートを確認してください。
アラート機能を活用する
freeeのアラート機能は、所定時間や36協定の上限に近づいたときや超過したときに管理者・本人に通知できるため、事前の抑止や早期対応に有効です。
閾値を段階的に設定し、例えば80%・100%・120%と段階で通知することで現場での調整や代替手配がしやすくなります。
通知の運用ルールも整備しましょう。
管理者が定期的にチェックする
システム任せにせず管理者が定期的に集計やアラート履歴をチェックすることが重要です。
運用で発生する例外や誤登録、長時間労働の傾向を把握し、必要に応じて業務配分や人員調整、健康配慮措置を行うことで労務リスクを低減できます。
月次のダッシュボード確認をルーチン化しましょう。
給与計算へ連携する方法
freeeは勤怠データを元に残業手当を自動計算し、その結果を給与計算に連携できます。
割増賃金の計算ルールを設定しておけば、勤怠確定後にワンクリックで給与データへ反映でき、給与処理のスピードと正確性を大幅に向上させます。
勤怠→給与の流れを明確にしておくことで支払ミスを減らせます。
残業手当を自動計算する
freeeは所定労働時間を超えた分に対して残業手当を自動で計算します。
割増率や対象時間帯の設定を登録しておくと、個別の申請や修正を反映した正確な残業手当が算出されます。
変形労働制やフレックスの場合も設定に応じた計算ができるため、雇用形態ごとの違いに注意して設定しましょう。
割増賃金を確認する
割増賃金の設定は法令や就業規則に基づいて正しく行う必要があります。
深夜割増、法定休日割増、時間外割増などの率をfreeeに登録し、給与計算前にサンプルレコードで正しく反映されているか確認すると安全です。
特別条項適用時の計算や端数処理も事前にルールを決めておきましょう。
給与計算データへ反映する
勤怠データが確定したらfreeeの給与計算機能へ連携し、支給額や控除を計算して給与明細を作成します。
CSV出力や他給与ソフトとの連携も可能で、反映前に管理者が差異チェックを実施することが大切です。
ミスが見つかった場合の修正フローも定めておくと安心です。
残業時間管理でよくあるトラブル
残業管理では打刻漏れ、打刻ミス、集計のずれ、就業規則との設定不一致などのトラブルがよく発生します。
これらは運用ルールの不備や現場での理解不足、システム設定ミスが原因となることが多いため、発生しやすいパターンをあらかじめ洗い出し対応策を用意しておくことが重要です。
教育やマニュアルで現場の協力を得ましょう。
打刻漏れ・打刻ミス
打刻漏れや誤打刻は残業集計の誤差を招く典型的な問題です。
対策として、従業員への打刻ルールの周知、スマホやICカードの複数打刻手段の導入、管理者による月次チェックや打刻修正申請フローの整備が有効です。
freeeのアラートや未打刻リストを活用して早期に発見・対応しましょう。
残業時間が正しく集計されない
残業が正しく集計されない原因は、勤務体系や所定時間の誤設定、就業規則とシステム設定の不一致、打刻データの欠損などが考えられます。
まずは設定値を見直し、テストデータで計算結果を検証し、必要に応じてfreeeのサポートや社労士に相談して設定の整合性を取ることが重要です。
就業規則との設定不一致
就業規則に記載されたルールとシステム設定が一致していないと、社員とのトラブルや法令違反につながります。
就業規則を最新版に更新し、その内容を基にfreeeの設定を行い、従業員への周知を徹底してください。
外部変更(法改正など)があった場合は速やかに両者を同期させましょう。
社労士へ依頼するメリット
専門家である社会保険労務士に依頼することで、36協定や就業規則の適正化、freeeの設定が法令に沿っているかの確認、長時間労働や労務リスクへの対応策の提案など、多面的なサポートを受けられます。
内部だけで判断が難しいケースや法改正対応、労使交渉が絡む場合は早めに社労士に相談すると安心です。
残業管理を法令に沿って設定できる
社労士は労働基準法や関連法令に基づいた残業管理ルールの設計が可能です。
freeeの設定や就業規則の表現が法令要件を満たしているかを確認し、必要な修正や運用フローの提案を行います。
特に複雑な勤務体系や特別条項の運用がある場合は専門家のチェックが有効です。
36協定や就業規則との整合性を確認できる
社労士は36協定の内容と就業規則、実際の運用が整合しているかを総合的にレビューできます。
協定の書式や届出方法、適用範囲の解釈など実務上のポイントについて助言を受けられるため、違反リスクを低減し適正な運用を確保できます。
必要に応じて36協定の作成支援も依頼可能です。
労務リスクを未然に防げる
労務トラブルが発生する前にリスクアセスメントを行い、是正策や事前対応を講じることで大きなトラブルを未然に防げます。
社労士は長時間労働に伴う健康問題や残業代未払いリスクなどを見越した運用改善案を提示でき、法的な観点からの対策を実務に落とし込む支援を行います。
社会保険労務士法人あいパートナーズができること
社会保険労務士法人あいパートナーズはfreee人事労務の導入支援から36協定・就業規則の整備、勤怠管理・給与計算の運用最適化までワンストップで支援可能です。
中小企業のリソース不足を補い、法令遵守と業務効率化を両立させる実践的なサポートを提供します。
導入後の運用フォローや社員向けの教育も対応します。
freee人事労務の導入支援
あいパートナーズはfreee導入にあたっての要件定義、初期設定、従業員マスタの整備、テスト運用支援、運用マニュアル作成、管理者向けトレーニングなどを提供します。
導入フェーズでの設定ミスを防ぎ、短期間で稼働させるためのノウハウを提供します。
必要に応じて現場に合わせたカスタマイズも提案します。
残業時間管理・36協定の運用支援
36協定の作成・見直し、就業規則の整備、freee上での36協定に基づく上限設定やアラート設計など運用面での支援を行います。
協定の届出や労使協議の進め方についての助言も可能で、36協定違反リスクを下げるための実務対応を支援します。
勤怠管理・給与計算の最適化をサポート
勤怠運用の最適化や給与計算フローの見直し、割増賃金計算ルールの適正化、月次チェックリスト作成など業務改善を支援します。
また、freeeと他システムの連携やカスタムレポートの作成など技術的なサポートも行い、運用の効率化と正確性を高めます。
まとめ|freee人事労務で残業時間を適切に管理しよう
freee人事労務は勤怠の収集から残業集計、36協定対応、給与連携までを一気通貫で支援する強力なツールです。
正しい初期設定と運用ルール、管理者による定期チェック、そして必要に応じた社労士の支援を組み合わせることで法令遵守と業務効率化を同時に実現できます。
計画的な導入と運用で働きやすく健全な職場環境を目指しましょう。
正しい設定と運用で法令遵守と業務効率化を実現しよう
設定ミスや運用不備は労務トラブルの原因になりますが、freeeの機能と社労士の専門支援を組み合わせることでリスクを抑えられます。
まずは就業規則・36協定の整備とfreeeの基本設定を完了させ、テスト運用と従業員教育を経て本運用に移行することをおすすめします。
定期的なレビューで継続的に改善していきましょう。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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