freee人事労務で休職者を管理する方法 休職・復職の実務ポイント

この記事は人事担当者や総務、経営者など、休職者の対応や労務管理に関わる方を対象にしています。
freee人事労務を使って休職者の情報を一元管理し、休職開始から復職までの手続きや勤怠・給与の調整、社会保険手続きのチェックポイントなど、実務で役立つポイントを分かりやすく解説します。
freee導入に伴う事前設定の手順やよくあるトラブルとその回避策、社労士に依頼する際のメリットや当社で提供できる支援内容についても具体的に紹介しますので、実務ですぐ使える情報としてお役立てください。

freee人事労務で休職者は管理できる?

freee人事労務は従業員情報・勤怠・給与・社会保険のデータを連携して管理できるクラウド型人事労務システムです。
休職者のステータスや休職開始日、休職区分などを登録することで勤怠や給与計算に反映でき、休職期間の把握や復職予定の管理がしやすくなります。
特に従業員ごとの詳細な履歴管理やアラート設定を組み合わせれば、休職期間切れや復職面談の漏れを減らす運用が可能です。

休職管理機能の概要

休職管理機能は主に従業員の休職ステータス登録、開始日と終了予定日の管理、休職理由や休職区分の記録、勤怠連携による出勤扱いの自動化などで構成されます。
これにより、休職中の給与計算や社会保険の資格管理、休職延長や復職手続きの履歴が一元的に残るため、監査対応や履歴確認が容易になります。
運用ルールを明確にし、担当者が操作手順を共有しておくことが重要です。

freee人事労務でできること

freee人事労務では休職者の基本情報管理だけでなく、勤怠連携による給与反映、休職区分に応じた給与支払ルールの適用、休職期間の自動集計、復職予定日のリマインド、必要書類の管理など、実務で必要になる多くの機能が備わっています。
さらに他のクラウドサービスや給与ソフトと連携することで、申請書類のテンプレート出力や給与・社会保険手続きの準備を効率化できます。

  • 従業員の休職ステータス登録と履歴管理
  • 勤怠データと連携した出勤・欠勤扱いの自動適用
  • 休職中の給与支払設定や差額計算の補助
  • 復職予定日のリマインドと面談記録の保存

導入するメリット

freee人事労務を導入することで休職者の情報が社内で一元化され、担当者間での情報共有がスムーズになります。
クラウド上で勤怠や給与・社会保険データを連携すれば、手作業による計算ミスや設定ミスを減らせ、監査や照会対応の際にも履歴を迅速に提示できます。
結果として労務リスクの低減、管理コストの削減、従業員対応の迅速化が期待できます。

比較項目従来の管理(手作業)freee人事労務導入後
情報の一元化分散しやすく検索に時間がかかるクラウドで履歴を一元管理できる
勤怠と給与の連携手入力や二重入力のリスクあり自動反映でミスが減少
復職リマインド人手管理で漏れや遅延が発生通知やアラートで漏れを防止

休職制度を確認する

休職制度を運用する前に、まず自社の就業規則や就業慣行で定められた休職制度の範囲と手続きを明確にする必要があります。
制度の有無、対象となる休職理由(疾病、育児介護、自己啓発など)、休職の上限期間、給与支払いの有無、社会保険資格の扱い、復職手続きや診断書の要否などを確認しておくことでfreee上の設定や運用ルールを適切に決められます。

休職中の社会保険の取扱い

休職を理由に資格を喪失することはない

休職中の社会保険の取扱いは、まず前提を正しく押さえるところから始まります。休職は労働契約が続いたまま労務提供の義務だけを免除する制度なので、休職を理由に健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を失うことはありません。資格の喪失は退職や死亡など、雇用関係そのものが終わる場合に生じるものです。雇用保険についても同じで、賃金の支払いがない期間があっても被保険者資格は継続します。

標準報酬月額も原則として変わらない

標準報酬月額も、無給の休職であれば原則として変わりません。随時改定(月額変更届)は、固定的賃金の変動があり、3か月の平均で2等級以上の差が生じ、かつその3か月とも支払基礎日数が17日以上あるという3つをすべて満たしたときに行うものです。無給の休職はこれに当たりません。定時決定でも、4月から6月のすべての月で支払基礎日数が17日未満であれば、従前の標準報酬月額が引き継がれます。

ここで1つ注意が必要です。休業に合わせて標準報酬月額を改定する仕組み自体は存在します。産前産後休業終了時改定と育児休業等終了時改定がそれにあたり、休業を終えて復帰したあと報酬が下がった場合に、本人の申出によって標準報酬月額を見直せます。ただしこれらは産前産後休業と育児休業に限られた制度で、傷病による休職には適用されません。「休職なら標準報酬を変更する手続きがある」と考えて探しても、傷病休職には該当する仕組みがないということです。

保険料の本人負担分をどう徴収するか決めておく

休職中でもっとも実務が滞りやすいのが、社会保険料の本人負担分の徴収です。資格が継続する以上、無給であっても保険料は労使とも発生し続けますが、給与の支払いがないため通常の天引きができません。この徴収方法を就業規則や休職通知書で定めていない会社は多く、休職が始まってから決めることになって揉めるケースが目立ちます。

方法内容注意点
本人からの振込毎月、会社が案内した額を従業員が振り込む未払いが発生したときの取扱いを事前に決めておく必要がある
会社が立替え、復職後に控除会社が一旦負担し、復職後の給与から分割控除する賃金全額払いの原則があるため、控除には労使協定または本人の同意が必要。休職前に書面で合意しておく
賞与等からの一括精算復職後の賞与でまとめて精算する賞与が支給されない可能性を織り込んでおく

どの方法を採る場合も、休職開始時に金額・期日・振込先・未払いのときの取扱いを書面で本人に渡しておくことが、後の紛争をもっとも安く防ぎます。とくに会社が立て替える方式では、そのまま復職せずに退職した場合の回収が実際に問題になるため、立替の上限や打ち切りの条件まで決めておくことをおすすめします。

傷病手当金の支給要件と金額

傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない期間の所得を補う健康保険の給付です。支給を受けるには、業務外の事由による療養であること、労務不能であること、連続する3日間の待期を満たしたうえで4日目以降に休んでいること、その期間について給与の支払いがないこと(支払いがあっても傷病手当金の額より少なければ差額が支給されます)の4つを満たす必要があります。

支給額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2に相当する額です。満額が出るわけではないことは、休職に入る従業員に最初に伝えておくべき点で、生活設計の見込み違いを防げます。

支給期間は「通算1年6か月」に変わっている

2022年1月の改正により、傷病手当金の支給期間は「支給を始めた日から通算して1年6か月」になりました。それ以前は起算日から暦どおりに1年6か月を数えていたため、途中で復職した期間もその中に含まれていましたが、改正後は実際に支給を受けた日を通算します。復職と再休職を繰り返すケースでは、この違いが受給できる総額を左右します。休職期間の上限を就業規則で何か月に定めるかを検討するときは、この1年6か月を1つの目安に置くと整合が取りやすくなります。

復職可否の判断枠組みを決めておく

復職判断が主観的になると、職場内の不満や安全配慮義務の不足を招きます。ただ「明文化しましょう」と言うだけでは実務は動かないので、何を決めるかを具体的に挙げます。

まず押さえるべきは、判断の枠組みが職種限定の有無で変わるという点です。職種や業務内容を特定して採用している場合は、その業務ができるかどうかが基準になります。一方、職種を限定せずに採用している場合は、従前の業務ができなくても、配置される現実的可能性のある他の業務について働くことができ、本人がその申し出をしているのであれば、復職可能と判断すべきとされています(片山組事件・最高裁平成10年4月9日判決)。中小企業では職種を限定せずに採用しているケースが多いため、従前の業務ができるかどうかだけで復職不可と判断すると、その後の退職扱いが無効とされるリスクがあります。そのうえで、復職の申出方法と提出書類、意見を聴く相手、判断する主体、段階的復職を認める場合の期間と勤務条件を、あらかじめ規定に落とします。

休職期間が満了しても復職できない場合の取扱いを明記する

休職規定でもっとも重い条項が、期間満了時の効果です。「休職期間が満了しても復職できないときは自然退職とする」と定めるか、「解雇する」と定めるかで、必要な手続きも紛争になったときの争点も変わります。自然退職とする場合は解雇予告が不要になる一方、規定の書き方が曖昧だと後に解雇と評価される可能性があります。この一文が就業規則にない、あるいは曖昧なまま運用している会社は少なくありません。休職制度を運用する前に必ず確認してください。



復職面談を実施する

復職前には人事または上長と従業員で面談を行い、業務を遂行できる状態か、必要な配慮や時短勤務の要否、段階的な復帰の方針を確認します。面談記録は復職後のフォローに役立つためfreeeに記録し、職場で共有する情報は必要最小限にとどめます。

医学的な意見については、産業医の選任義務は常時50人以上の労働者を使用する事業場に限られる点に注意してください。50人未満の事業場に産業医はいませんが、地域産業保健センターを無料で利用でき、医師による面接指導や健康相談を受けられます。主治医の診断書だけで判断が難しい場合は、この仕組みを使うのが現実的です。なお主治医の診断書は日常生活が送れる水準を基準に書かれていることがあるため、復職の判断材料としては「どの業務がどの程度できるか」を具体的に記載してもらうことが重要です。



給与・社会保険情報を確認する

休職中の給与支払ルールや減額の計算方法、社会保険料の負担と徴収の取扱いを確認し、freee側の社員マスタに反映させます。傷病手当金の申請に必要な書類のテンプレートや手順も整備しておくと手続きがスムーズに進みます。

なお育児休業は育児・介護休業法に基づく法定の休業であり、会社が就業規則で任意に定める休職とは制度上の位置づけが異なります。保険料の扱いも正反対で、育児休業と産前産後休業の期間は健康保険料・厚生年金保険料が免除されるのに対し、傷病による休職には免除の仕組みがありません。同じ「休んでいる期間」として設定を流用すると保険料の処理を誤るため、freee上でも区分を分けて管理してください。

医療情報にラベルを付ける前に、閲覧できる人を決める

医療的な配慮が必要な従業員について、備考欄やラベルで識別できるようにしておくと管理はしやすくなります。ただしこの操作は、順序を間違えると事故になります。

健康状態や傷病に関する情報は、個人情報保護法上の要配慮個人情報にあたり(同法2条3項)、取得すること自体に原則として本人の同意が必要です(同法20条2項)。ラベルを付けて検索できるようにするということは、その情報に触れられる人の範囲を広げるということでもあります。本来その情報を知る必要のない担当者が、ラベルの有無だけで本人の健康状態を推測できてしまう状態は避けなければなりません。

したがって手順は、ラベルを付ける前に「誰が見られるか」を決めることです。具体的には、その情報を業務上知る必要がある担当者を特定し、その担当者だけが閲覧できるよう権限を設定し、本人にどの情報を誰と共有するかを説明して同意を得る、という3つを先に済ませます。権限設定ができない運用であれば、ラベルは付けないほうが安全です。

休職の終了予定日や延長申請の有無を定期的に確認し、必要に応じて延長手続きを行います。freeeのリマインド機能やダッシュボードを活用して期日管理を徹底し、休職期間の満了日を見落とすことや、復職可否の判断が間に合わなくなることを防ぎます。延長や復職の判断理由は履歴として保存し、後日の確認に備えます。

休職期間の管理漏れは、復職予定日の見落としや休職期間満了時の対応の遅れ、保険料の本人負担分の徴収漏れにつながり、トラブルの原因になります。freeeのアラート機能や定期的なダッシュボードチェックを導入し、担当者が期日管理を怠らない体制を作ることが重要です。さらに複数担当者でのクロスチェックを運用に組み込みましょう。

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。