この記事は、内定について知りたい学生や求職者に向けて、内定の定義や法的効力、企業と学生の義務について詳しく解説します。 内定と内々定の違いや、内定が成立する条件、企業が内定を取り消す場合の理由など、内定に関する重要な情報を網羅しています。 これにより、内定を受けた際の心構えや注意点を理解し、トラブルを避けるための知識を得ることができます。
内定とは何か
内定とは、企業が応募者に対して将来の雇用を約束することを指します。 具体的には、内定は“始期付・解約権留保付の労働契約”として位置づけられています。 これは、内定者が入社することを前提にした契約であり、企業側は内定を出した時点で一定の法的責任を負うことになります。 内定は、単なる口頭の約束ではなく、法的に認められた契約の一形態であるため、内定を受けた側もその重要性を理解する必要があります。
内定は『始期付・解約権留保付の労働契約』である
内定は、始期付の労働契約として成立します。 これは、内定者が指定された日から労働契約が開始されることを意味します。 また、解約権留保付とは、企業が内定を取り消す権利を持つことを示しています。 つまり、内定者は入社する意思を示す必要がありますが、企業側も一定の条件下で内定を取り消すことができるのです。 このように、内定は双方にとっての権利と義務が存在する契約であることを理解しておくことが重要です。
内定と内々定の法律上の違い
内定と内々定は、法律上の位置づけが異なります。 内々定は、企業が応募者に対して「採用する意向がある」と伝える段階であり、法的な拘束力はありません。 一方、内定は正式な労働契約が成立した状態であり、法的効力を持ちます。 内々定はあくまで「予定」であり、企業が内定を出すまでの間に状況が変わる可能性もあります。 したがって、内定を受けた場合は、その重要性をしっかりと認識することが求められます。
内定が成立する条件
内定が成立するためには、いくつかの条件が必要です。 まず、企業が採用決定の意思表示を行い、次に応募者がその意思を承諾する必要があります。 さらに、内定通知書の交付が行われることで、法的効力が発生します。 これらの条件が整うことで、内定が正式に成立し、企業と応募者の間に法的な関係が生まれます。
企業の採用決定の意思表示
内定が成立するための第一条件は、企業が明確に採用決定の意思を示すことです。 これは、面接や選考を経て、企業が応募者を採用することを決定した際に行われます。 企業は、内定を出すことで応募者に対して正式に雇用の意向を伝え、内定者はその意思を受け入れることが求められます。 この意思表示がなければ、内定は成立しません。
応募者の承諾意思表示
企業が内定を出した後、応募者はその内定を承諾する意思を示す必要があります。 これは、内定通知書にサインをすることや、口頭での承諾が含まれます。 応募者が内定を承諾することで、内定が正式に成立し、企業と応募者の間に法的な関係が生まれます。 承諾しない場合、内定は成立しないため、注意が必要です。
内定通知書の交付と法的効力
内定が成立するためには、内定通知書の交付が不可欠です。 この通知書には、内定者の氏名や入社日、労働条件などが明記されており、企業と応募者の合意を証明する重要な書類です。 内定通知書が交付されることで、内定者は法的に保護される権利を持つことになります。 したがって、内定通知書を受け取った際は、その内容をしっかりと確認することが重要です。
内定後に企業が負う義務
内定が成立した後、企業は内定者に対していくつかの義務を負います。 これには、雇用契約としての拘束力が発生する理由や、内定者への連絡・準備事項、労働条件の明示義務が含まれます。 企業は内定者に対して適切な情報提供を行い、入社に向けた準備を進める責任があります。
雇用契約としての拘束力が発生する理由
内定が成立すると、企業は内定者に対して雇用契約としての拘束力を持つことになります。 これは、内定者が入社することを前提にした契約であり、企業は内定者に対して一定の責任を負うことになります。 例えば、内定者が入社するまでの間に必要な情報を提供する義務や、入社後の労働条件を明示する義務が生じます。 このように、内定は企業と内定者の間に法的な関係を生む重要な契約であることを理解しておく必要があります。
内定者への連絡・準備事項
内定後、企業は内定者に対して適切な連絡を行う必要があります。 これには、入社日や研修内容、必要な書類の提出などが含まれます。 企業は内定者がスムーズに入社できるよう、必要な情報を提供し、準備を進める責任があります。 また、内定者も企業からの連絡に対して迅速に対応することが求められます。
労働条件の明示義務
内定が成立した後、企業は内定者に対して労働条件を明示する義務があります。 これには、給与や勤務時間、休日、福利厚生などが含まれます。 労働条件を明示することで、内定者は入社後の働き方を理解し、安心して入社することができます。 企業はこの義務を怠ることができず、内定者に対して適切な情報提供を行うことが求められます。
企業が内定取消できるケース
企業が内定を取り消すことができるケースはいくつかあります。 主な理由としては、経歴詐称や重大な虚偽申告、犯罪行為や反社会的行為が判明した場合、健康状態の悪化で就労が困難な場合、会社の経営悪化によるやむを得ない場合などが挙げられます。 これらの理由がある場合、企業は内定を取り消すことができますが、慎重に判断する必要があります。
経歴詐称・重大な虚偽申告
内定者が経歴を詐称したり、重大な虚偽申告を行った場合、企業は内定を取り消すことができます。 これは、企業が内定者の信頼性を重視するためであり、虚偽の情報に基づいて内定を出した場合、企業はその責任を問われることになります。 したがって、内定者は正確な情報を提供することが求められます。
犯罪行為や反社会的行為が判明した場合
内定者が犯罪行為や反社会的行為を行っていたことが判明した場合、企業は内定を取り消すことができます。 これは、企業の社会的責任やブランドイメージを守るために必要な措置です。 内定者は、入社前に自身の行動に注意を払い、企業に対して信頼を損なわないよう努めることが重要です。
健康状態の悪化で就労が困難な場合
内定者の健康状態が悪化し、就労が困難な場合も、企業は内定を取り消すことができます。 これは、企業が内定者の健康を考慮し、適切な判断を行うためです。 内定者は、健康状態に関する情報を正直に企業に伝えることが求められます。
会社の経営悪化によるやむを得ない場合
企業の経営が悪化し、内定者を雇用することが困難になった場合、企業は内定を取り消すことができます。 この場合、企業は内定者に対して適切な説明を行い、理解を得ることが求められます。 経営状況の変化により内定が取り消されることもあるため、内定者はそのリスクを理解しておく必要があります。
内定取消が違法になる理由
内定取消が違法とされる理由には、客観的合理性や社会通念上の相当性の要件があります。 企業が内定を取り消す場合、これらの要件を満たす必要があります。 違法な内定取消は、内定者に対して損害賠償責任を負うことになるため、企業は慎重に判断する必要があります。
客観的合理性・社会通念上の相当性の要件
内定取消が違法とされるためには、客観的合理性や社会通念上の相当性が求められます。 企業が内定を取り消す理由が合理的であり、社会的に受け入れられるものでなければなりません。 例えば、経歴詐称があった場合でも、その内容が軽微であれば内定取消は認められないことがあります。 企業は、内定取消の理由がこれらの要件を満たすかどうかを慎重に判断する必要があります。
大日本印刷事件・大和銀行事件などの判例ポイント
内定取消に関する判例として、大日本印刷事件や大和銀行事件があります。 これらの判例では、内定取消が違法とされるケースが示されています。 特に、内定者の経歴詐称が軽微であった場合や、企業側の判断が不適切であった場合には、内定取消が違法とされることがあります。 これらの判例を参考にすることで、企業は内定取消のリスクを理解し、適切な判断を行うことが求められます。
内定者側が注意すべきポイント
内定者は、内定を受けた後に注意すべきポイントがいくつかあります。 これには、誓約書や健康診断の扱い、内定辞退のマナーとタイミング、複数内定の取り扱いが含まれます。 内定者は、これらのポイントを理解し、適切に対応することが求められます。
誓約書・健康診断の扱い
内定者は、企業から誓約書や健康診断を求められることがあります。 誓約書は、内定者が企業に対して守るべき義務を明示するものであり、健康診断は入社前の健康状態を確認するために行われます。 内定者は、これらの要求に対して適切に対応し、企業との信頼関係を築くことが重要です。
内定辞退のマナーとタイミング
内定を辞退する場合、内定者はマナーを守ることが求められます。 辞退の連絡はできるだけ早く行い、企業に対して感謝の意を示すことが重要です。 また、辞退の理由を明確に伝えることで、企業との関係を良好に保つことができます。 内定辞退は慎重に行うべきであり、タイミングを考慮することが大切です。
複数内定の取り扱い
複数の内定を受けた場合、内定者はどの企業に入社するかを慎重に考える必要があります。 複数内定を持つことは一般的ですが、内定者は各企業の特徴や自分のキャリアプランを考慮し、最適な選択をすることが求められます。 また、内定を辞退する際は、他の企業に対しても配慮を忘れずに行動することが重要です。
トラブルを避けるための企業対応
企業は、内定者とのトラブルを避けるために適切な対応を行う必要があります。 これには、内定通知書に記載すべき内容、連絡体制と情報共有、内定者フォローの重要性が含まれます。 企業は内定者との信頼関係を築くために、これらのポイントをしっかりと押さえておくことが求められます。
内定通知書に記載すべき内容
内定通知書には、内定者の氏名、入社日、労働条件、給与、福利厚生などの重要な情報を明記する必要があります。 これにより、内定者は入社後の働き方を理解し、安心して入社することができます。 企業は、内定通知書の内容を明確にし、内定者に対して適切な情報提供を行うことが求められます。
連絡体制と情報共有
企業は、内定者との連絡体制を整え、情報共有を行うことが重要です。 内定者が入社に向けて必要な情報を迅速に受け取れるよう、適切な連絡手段を確保することが求められます。 また、内定者からの質問や不安に対しても、企業は丁寧に対応することが大切です。 これにより、内定者との信頼関係を築くことができます。
内定者フォローの重要性
内定者フォローは、企業にとって非常に重要な要素です。 内定者が入社前に不安を感じることが多いため、企業は定期的に連絡を取り、フォローアップを行うことが求められます。 これにより、内定者は安心して入社することができ、企業との信頼関係を深めることができます。 内定者フォローを怠ることは、内定者の離脱を招く可能性があるため、注意が必要です。
まとめ:内定は強い法的効力を持つ採用契約である
内定は、企業と応募者の間に強い法的効力を持つ採用契約です。 内定が成立するためには、企業の意思表示と応募者の承諾が必要であり、内定通知書の交付が重要な役割を果たします。 企業は内定者に対して一定の義務を負い、内定者はその権利を理解することが求められます。 内定を受けた際は、その重要性を認識し、適切に対応することが大切です。
動画で解説
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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