この記事は、企業の人事担当者や経営者を対象に、定期健康診断を受けない従業員への対応方法について解説します。 健康診断は法律で義務付けられており、受診しないことによるリスクや、従業員が受診を拒否する理由、そしてその際の適切な対応策を詳しく説明します。 企業としての責任を果たし、従業員の健康を守るための情報を提供します。
定期健康診断を受けないのは法律上認められるのか
定期健康診断は、労働安全衛生法に基づき、企業が従業員に対して実施する義務があります。 従業員もまた、健康診断を受ける義務があり、これを怠ることは法律違反となります。 具体的には、労働安全衛生法第66条により、常時使用する労働者は定期的に健康診断を受けなければなりません。 受診しない場合、企業は罰金を科される可能性があります。 このように、法律上は受診を拒否することは認められていませんが、実際には様々な理由で従業員が受診を拒否するケースもあります。
定期健康診断の法的義務(会社・従業員)
企業は、常時使用する労働者に対して定期健康診断を実施する義務があります。 これは、労働者の健康を守るための重要な措置です。 従業員もまた、健康診断を受ける義務があり、これを怠ると法律上の問題が生じる可能性があります。 具体的には、企業が健康診断を実施しなかった場合、労働基準監督署からの指導や罰金が科されることがあります。 従業員が受診しない場合も、企業はその理由を確認し、適切な対応を取る必要があります。
受診拒否が問題となる理由
受診拒否が問題となる理由は、主に法律的な観点と企業のリスク管理の観点から考えられます。 法律上、従業員は健康診断を受ける義務があり、これを怠ることは違法行為と見なされます。 また、企業にとっては、従業員が健康診断を受けないことで、健康状態の把握ができず、職場の安全管理が不十分になるリスクがあります。 これにより、労働災害や健康問題が発生した場合、企業の責任が問われることになります。
従業員が健康診断を受けないことで発生する企業リスク
従業員が健康診断を受けないことは、企業にとって多くのリスクを伴います。 これらのリスクは、法的な問題から職場環境の悪化まで多岐にわたります。 以下に、主なリスクを挙げてみましょう。
労働基準監督署からの行政指導リスク
企業が従業員に健康診断を実施しない場合、労働基準監督署からの行政指導を受けるリスクがあります。 これは、企業の法令遵守状況をチェックするためのもので、指導を受けた場合、改善命令が出されることがあります。 改善が見られない場合、最終的には罰金が科される可能性もあるため、企業にとっては大きなリスクとなります。
安全配慮義務違反に該当する可能性
企業には、従業員の安全を配慮する義務があります。 健康診断を受けないことで、従業員の健康状態が把握できず、適切な安全対策を講じることができなくなります。 このような状況が続くと、安全配慮義務違反として法的責任を問われる可能性があります。 特に、職場での事故や健康問題が発生した場合、企業の責任が重くなることがあります。
職場事故・疾病リスクの増加
健康診断を受けないことで、従業員の健康状態が把握できず、潜在的な健康問題が見逃されるリスクがあります。 これにより、職場での事故や疾病が増加する可能性があります。 特に、慢性的な健康問題を抱える従業員がいる場合、早期発見ができず、結果的に職場全体の安全が脅かされることになります。
労災認定時の不利な評価
万が一、職場での事故や疾病が発生した場合、健康診断を受けていない従業員に対しては、労災認定が不利に働くことがあります。 健康状態が不明なため、労災の認定が難しくなり、企業側の責任が問われることになります。 これにより、企業の信頼性が損なわれる可能性もあります。
従業員が受診を拒否する理由と会社の適切な対応
従業員が健康診断を受けない理由は多岐にわたります。 これらの理由を理解し、適切に対応することが企業にとって重要です。 以下に、主な理由とその対応策を示します。
忙しさや時間の問題
多くの従業員は、仕事の忙しさや時間の制約を理由に健康診断を受けないことがあります。 特に、業務が立て込んでいる時期には、受診を後回しにする傾向があります。 このような場合、企業は受診日程を柔軟に設定し、従業員が参加しやすい環境を整えることが重要です。
健康診断費用の誤解
健康診断にかかる費用についての誤解も、受診を拒否する理由の一つです。 従業員が自己負担を心配することがありますが、企業が全額負担することを明示することで、受診のハードルを下げることができます。 企業は、健康診断が無料であることを周知し、従業員の不安を解消する必要があります。
個人情報の取り扱いへの不安
健康診断の結果がどのように扱われるかについての不安も、受診を拒否する理由の一つです。 従業員は、個人情報が適切に管理されないのではないかと心配することがあります。 企業は、健康情報の取り扱いについて明確なポリシーを示し、従業員に安心感を与えることが重要です。
健康への過信や心理的抵抗
健康診断を受けることに対する心理的抵抗も、受診を拒否する理由の一つです。 特に、自分の健康状態に自信を持っている従業員は、受診を必要ないと感じることがあります。 このような場合、企業は健康診断の重要性を説明し、受診のメリットを伝えることが求められます。
受診拒否者に対する実務対応のステップ
従業員が健康診断を受けない場合、企業は適切な対応を取る必要があります。 以下に、実務対応のステップを示します。
まずは口頭説明と受診案内
最初のステップとして、従業員に対して口頭で健康診断の重要性を説明し、受診を促すことが重要です。 この際、受診のメリットや法律上の義務についても説明し、理解を深めてもらうことが求められます。
文書での受診指示通知
口頭での説明後も受診しない場合、文書で正式に受診指示を通知することが必要です。 この文書には、受診の義務や企業の責任について明記し、従業員に対して受診を促す内容を含めることが重要です。
受診拒否理由書の提出依頼
従業員が受診を拒否する場合、その理由を文書で提出するよう依頼することが効果的です。 これにより、企業は従業員の懸念を把握し、適切な対応を検討することができます。
必要に応じた業務制限の検討
最終的に、従業員が健康診断を受けない場合、業務制限を検討することも必要です。 特に、健康状態が不明な従業員に対しては、安全配慮義務を果たすために、業務内容を見直す必要があります。
就業規則で定めるべき事項
企業は、就業規則において健康診断に関する規定を明確に定めることが重要です。 以下に、定めるべき事項を示します。
健康診断受診の義務規定
就業規則には、従業員が健康診断を受ける義務があることを明記する必要があります。 これにより、従業員は受診の重要性を理解し、法律上の義務を認識することができます。
業務命令違反としての懲戒ルール
健康診断を受けないことが業務命令違反と見なされる場合、懲戒処分のルールを明確に定めることが重要です。 これにより、従業員は受診の重要性を再認識し、受診を促す効果があります。
健康情報の取り扱いルール
健康診断の結果や個人情報の取り扱いについても、就業規則で明確に定める必要があります。 従業員が安心して受診できるよう、情報管理のポリシーを示すことが求められます。
会社が行うべき受診しやすい環境づくり
企業は、従業員が健康診断を受けやすい環境を整えることが重要です。 以下に、具体的な施策を示します。
複数日程の設定や受診時間の確保
健康診断を受ける日程を複数設定し、従業員が参加しやすい時間帯を確保することが重要です。 これにより、忙しい従業員でも受診しやすくなります。
費用は会社負担であることの明示
健康診断にかかる費用は企業が負担することを明示することで、従業員の不安を解消することができます。 これにより、受診のハードルが下がり、参加率が向上することが期待されます。
結果の管理方法とプライバシー保護
健康診断の結果については、適切な管理方法を定め、従業員のプライバシーを保護することが重要です。 これにより、従業員は安心して受診できる環境が整います。
まとめ:定期健康診断の未受診は放置できない
定期健康診断を受けないことは、企業にとって多くのリスクを伴います。 法律上の義務を果たすためにも、従業員に対して適切な対応を行うことが重要です。 受診義務を明確にし、企業としての責任を果たすことで、従業員の健康を守ることができます。
受診義務と会社の対応を明確にすることが重要
企業は、健康診断の受診義務を従業員に対して明確に伝え、適切な対応を行うことが求められます。 これにより、従業員の健康を守り、企業のリスクを軽減することが可能となります。
この記事を書いた人
- 社会保険労務士・採用定着士
- 岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員
採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。
特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。
地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。
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