ベネフィット・ワンとは?企業が導入する福利厚生サービスの仕組みとメリット

この記事は企業の人事担当者や経営者、福利厚生制度の導入を検討している中小企業の経営陣、そして従業員として福利厚生の内容を知りたい方を主な読者に想定しています。
この記事ではベネフィット・ワンとは何か、代表サービスであるベネフィット・ステーションの仕組みや提供される優待の種類、導入企業と従業員にとってのメリットや注意点、導入時に確認すべきポイントやよくある誤解までをわかりやすく整理して解説します。
この記事を読むことで導入可否の判断材料や運用のヒントが得られるように構成しています。

Table of Contents

ベネフィット・ワンとは何か

ベネフィット・ワンは日本国内で福利厚生代行サービスを提供する企業であり、企業が従業員に対して提供する各種優待や支援をワンストップで代行するシステムを構築している企業です。
企業契約により従業員やその家族が多様な優待を利用できる仕組みを提供することで、企業の福利厚生負担を軽減しつつ従業員満足度を高めるサービスを展開しています。
実務的な背景として、2020年代半ばの大規模な業界再編(第一生命ホールディングスによる完全子会社化)を経て、資本基盤および提供サービスの安定性がさらに強固なものとなりました。これにより、単なる割引サービスの提供会社という枠を超え、企業の健康経営や人的資本経営を支える戦略的なインフラとしての地位を確立しています。

福利厚生代行サービスを提供する企業

福利厚生の設計や運用を外部に委託できる福利厚生代行サービスを提供しており、従来企業が自前で行っていた優待の選定や契約、会員管理、利用窓口の運営などを代行することで企業側の管理工数を減らすことができます。
ベネフィット・ワンはその領域で広範な事業パートナー網とサービスメニューを持ち、導入企業の規模にかかわらず利用しやすい形で提供しています。
中小企業が自社で全国のレジャー施設や宿泊施設と個別に法人契約を結ぶことは、交渉力や事務コストの観点から現実的ではありません。こうしたスケールメリットを1人あたり月額数百円という低コストで享受できる点が、アウトソーシング(代行)の最大の価値です。

「ベネフィット・ステーション」が代表的サービス

ベネフィット・ステーションはベネフィット・ワンの代表的な福利厚生プラットフォームであり、宿泊、レジャー、飲食、学び、ヘルスケアなど多岐にわたる優待を一元的に提供する会員制サービスです。
スマホやPCからアクセスでき、利用対象は企業に所属する従業員とその家族となる場合が多く、140万件以上の特典や優待を掲示している点が特徴です。
人事労務の実務において特に評価されているのは、従業員への一律の優待提供だけでなく、企業独自のポイント制度を組み込める「カフェテリアプラン」の基盤としても活用できる柔軟性です。ライフスタイルの異なる多様な従業員に対し、全方位的なメニューを不公平感なく提示できる点が強みとなっています。

なぜ注目されているのか

近年、働き方の多様化と人手不足の深刻化により企業が採用競争力や従業員の定着率向上を図る必要が高まっており、その対策の一つとして福利厚生の見直しが注目されています。
ベネフィット・ワンのような外部サービスを活用することで短期間かつ低コストで福利厚生を充実させられる点が、注目の要因になっています。
また、国が推進する「人的資本の情報開示」や「健康経営優良法人」の認定を目指すにあたり、従業員への具体的な投資・支援実績として、こうした網羅的な福利厚生プラットフォームの導入・活用データを活用する企業が増えていることも背景にあります。

福利厚生のアウトソーシングが進んでいる

企業が福利厚生を自社で一から構築・運用する負担を避け、専門業者にアウトソースする傾向が強まっています。
アウトソーシングにより社内リソースをコア業務に集中させつつ、豊富なサービスラインナップを短期間で導入できるため、特に中堅中小企業での採用が進んでいます。
かつてのように「自社の保養所」や「特定の社内イベント」に固執する福利厚生は、固定費の増大や利用者の偏りを生むため敬遠されるようになりました。時代の変化や個人の価値観の多様化に合わせ、管理コストを変動費化(従業員数に応じた月額課金)できるアウトソーシングへの移行は合理的な経営判断といえます。

人材確保競争が激化している

少子高齢化や転職市場の流動化により、企業間での人材確保競争が激しくなっており、給与だけでなく福利厚生の内容で差別化を図る企業が増えています。
ベネフィット・ワンのようなサービスは採用時の訴求材料になりやすく、優秀な人材の応募促進や内定辞退の抑止に寄与します。
特に都市部の大企業と比較されやすい地方の中小企業や、知名度で劣るスタートアップ企業にとって、「大企業と全く同じ福利厚生メニューが使える」という事実は、求職者が安心して入社を決定するための強力なバッファー(安全弁)として機能します。

ベネフィット・ステーションとは何か

ベネフィット・ステーションは会員制の福利厚生プラットフォームであり、契約企業の従業員が専用サイトやアプリを通じて様々な優待を利用できるサービスです。
宿泊施設やレジャー施設の割引に加え、スクールや保育、ヘルスケア関連のサービスまで幅広くカバーしており、利用状況の集計やレポート提供など企業向けの管理機能も備えています。
企業は定期的に提供される「利用実績レポート」を確認することで、どのメニューが自社で多く使われているかを定量的に把握できます。これにより、従業員のエンゲージメント状態やニーズを可視化し、社内コミュニケーションの活性化や次の労務施策へ活かすことが可能になります。

従業員向け優待サービス

従業員はベネフィット・ステーションの会員として会員IDでログインすることで、各種優待や割引を利用できます。
優待は施設予約、電子クーポン、電話予約代理など複数の形式で提供され、利用履歴のトラッキングや家族利用の可否設定など企業が望む運用に合わせたカスタマイズが可能です。
また、近年ではスマートフォンの専用アプリを用いた「デジタル会員証」や、その場で即時発行できる「二次元コードクーポン」が主流となっており、一昔前の冊子や紙のクーポン券に比べて従業員が日常のあらゆる場面(買い物の会計時や飲食店での決済時)でシームレスに利用できるよう設計されています。

幅広いジャンルで利用できる

ベネフィット・ステーションは宿泊、レジャー、飲食、ショッピング、資格取得支援、子育て支援、健康増進プログラムなど幅広いジャンルを網羅しており、ライフステージに応じた使い分けができる点が特徴です。
企業は従業員の多様なニーズに応じた福利厚生を一元的に提供することができます。
独身の若手社員であれば「スポーツジムの割引」や「eラーニングでの自己啓発」、子育て世代であれば「育児補助やベビーシッター割引」、ベテラン社員であれば「人間ドックの補助」や「介護相談」など、個々の従業員がその時々に真に必要とするサービスを自由に選択できる網羅性が最大の特徴です。

どのようなサービスが利用できるのか

ベネフィット・ステーションでは宿泊やレジャーの割引、飲食店やコンビニチェーンの優待、習い事やスクールの割引、ベビー・シッターや病児保育の紹介、フィットネスや健康関連サービス、映像配信サービスの法人プランなど、日常からレジャー、育児、学び、健康まで幅広く利用できるサービスが揃っています。
これらは「お祝い」や「リフレッシュ」といった非日常のシーンだけでなく、毎日の通勤やランチ、日用品の購入といった「日常生活の決済」の場面に深く溶け込むメニューが豊富です。

レジャー施設優待

全国のホテル・旅館や温泉施設、遊園地・テーマパーク、スポーツ施設などで割引や優先予約が受けられる優待が用意されており、家族での利用やリフレッシュ目的の利用がしやすくなっています。
これにより従業員のワークライフバランス支援や福利厚生としての満足度向上に寄与します。
特に映画館の観賞券割引や、大手テーマパーク、季節ごとのプール・スキー場の優待などは利用頻度が極めて高く、従業員が「福利厚生の恩恵」を最も分かりやすく実感できるコンテンツとして、社内での利用率を引き上げるフックとなっています。

  • 宿泊施設の割引や特別プラン
  • 遊園地やテーマパークの入場割引
  • スポーツ・レジャー施設の優待
ジャンル主な例利用形態
宿泊・旅行ホテル予約・旅館の宿泊割引オンライン予約・電話
レジャーテーマパーク、温泉施設割引クーポン、優先予約
学び・資格スクール、通信講座の割引申込ページから手続

飲食店割引

大手チェーン店から地域の飲食店まで幅広い店舗での割引や特典が用意されており、従業員は日常のランチや外食時に手軽に利用できます。
特典は会員提示による割引やセットメニューの優待など多様で、家族利用が可能なケースも多く、実際の生活費の節約に直結します。
実務上のメリットとして、近年注目されている「食事補助(食事手当)」の税制メリット(2026年4月より非課税上限が月額7,500円に拡大)と連携させる現物給与スキームや電子クーポンの仕組みとしても応用できるため、企業側にとっては税務上の要件をクリアしながら効果的なインセンティブ(手取りアップ)を従業員に還元する手段としても活用できます。

  • チェーン店での割引
  • グルメ優待プラン
  • クーポン提供やセットメニュー優待

企業が導入するメリット

企業がベネフィット・ワンを導入することで、福利厚生メニューを短期間で充実させられること、社内での運用管理負荷を軽減できること、従業員満足度や採用競争力の向上が期待できることなど複数のメリットが得られます。
また利用状況の分析により従業員のニーズ把握や制度改善につなげることも可能です。
税務上の観点からも、導入費用(基本料金・入会金等)は税法上の要件(全従業員を対象とし、社会通念上妥当な金額であること)をクリアしやすいため、特定の社員を優遇しない限り、原則として「福利厚生費」として全額損金算入(経費処理)でき、法人の節税効果を得ながら社員への還元が可能です。

福利厚生を充実できる

外部サービスを導入することで自社だけでは整えにくい幅広い優待メニューを提供でき、従業員の多様なライフステージに合わせた支援が可能になります。
これにより福利厚生の充実を短期的に実現でき、企業の魅力アップや従業員満足度の向上につながります。
特に、2020年以降義務化された「同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法第8条)」への対応として、正社員だけでなくパートやアルバイト、契約社員に対しても「一律に同じ福利厚生プラットフォームを提供する」ことで、不合理な待遇格差の解消(法的なコンプライアンスの遵守)をスムーズに達成できる点が大きなメリットです。

  • 短期間でのメニュー拡充
  • 幅広いジャンルの優待提供
  • 従業員満足度の向上

運用負担を軽減できる

従業員データの管理、利用窓口の運営、優待企業との契約や条件交渉などをベネフィット・ワンが代行するため、企業側の人事担当者の手間を大幅に削減できます。
これにより人事部門は戦略的な人材施策に注力しやすくなります。
自社で福利厚生を運営する場合、施設利用のたびに発生する「領収書の精算」や「現金の仮払い」、「稟議の承認」などの事務作業(バックオフィス業務)が人事を圧迫します。これらがすべて従業員とベネフィット・ワン側で直接オンライン完結するため、人事の月間工数を劇的に削減することが可能になります。

従業員側のメリット

従業員にとっては、日常生活や余暇のコスト削減、育児や介護などライフイベントに関わる支援の充実、学びや健康づくりの支援など、経済的・精神的なメリットが多くあります。
手続きもオンラインで完結するケースが多く、利用の敷居が低い点も利点です。
また、従業員本人だけでなく「二親等以内の親族(配偶者、子供、両親、兄弟姉妹など)」まで同等の割引・優待が適用されるケースが多く、家族サービスや実家への帰省、家族旅行の際にも大きな経済的恩恵を受けられる点が、従業員の家族からも高く評価される要因となっています。

日常生活で利用しやすい

スマホアプリや専用サイトから優待を検索・利用できるため、通勤途中や外出先からでも手軽にサービスを確認でき、日常的なランチやレジャー、ショッピングなどで気軽に利用できる点が従業員にとって大きな利便性となります。
現在地連動(GPS機能)が付いたアプリを利用すれば、「今自分がいる場所の近くで使える飲食店やマッサージ店のクーポン」が即座に画面に表示されるため、特別な事前準備や計画をしなくても、日々の生活のついでに得をする体験を繰り返すことができます。

実質的な家計支援になる

飲食やレジャー、ショッピングの割引、育児支援サービスの割引などを通じて実質的に家計の負担を軽減できるため、従業員の生活満足度向上や経済的な安心感につながります。
特に子育て世代や単身世帯にとっては有意義な効果があります。
物価上昇や生活コストの高騰が続く現在の経済環境において、給与の額面を急激に引き上げることが難しい中小企業であっても、こうした割引優待の活用によって従業員世帯の「実質的な可処分所得(自由に使えるお金)」を増やす効果があるため、間接的な生活防衛策として従業員に深く響きます。

  • 日常の支出削減
  • 育児・介護支援の優待
  • 学びや健康サービスの割引

なぜ中小企業にも人気なのか

中小企業は自社で多様な福利厚生を整備するリソースが限られるため、外部の福利厚生サービスを導入することでコストや手間を抑えつつ大企業と同等レベルの制度を従業員に提供できる点が評価されています。
結果として採用力や社員満足度の底上げが期待できます。
また、大企業と違って「総務・人事担当者が1名(または経営者が兼任)」というケースが多い中小企業において、導入後の追加の手間(メンテナンス)がほとんど発生しないシンプルな課税・運用設計であることも、人気を支える実務上の大きな要因です。

自社で制度を作る必要がない

福利厚生制度の設計や契約交渉、導入後の運用までを外部に任せられるため、人事リソースの乏しい中小企業でも手軽に福利厚生を提供できる点がメリットです。
社内でゼロから制度を作成する時間とコストを節約できます。
さらに、社内で独自の手当や見舞金制度(結婚祝い金やリフレッシュ手当など)を新規に作る場合、支給条件の決定や規程の文言作成、不支給時のトラブル対応など多くの労労務管理リスクが伴いますが、パッケージ化された外部サービスであれば、そうした法務・労務的なリスクをすべてクリアした状態で安全に導入できます。

大企業並みの福利厚生を提供できる

リーズナブルなコストで大手チェーンや有名施設との優待を導入できるため、中小企業でも社員に対して大企業並みの福利厚生を提供することができ、採用面での差別化につながります。
従業員のロイヤルティ向上にも資する点が人気の理由です。
求人票の「福利厚生欄」に具体的なサービス名や「大企業と同等の福利厚生プラットフォームを完備」と記載できることは、中小企業が大手企業と優秀な人材を取り合う際の強力な武器となります。「会社の規模が小さいから待遇が悪いのではないか」という求職者の先入観(心理的ハードル)を払拭する効果があります。

採用への効果はあるのか

福利厚生は応募者にとっての企業の魅力の一つであり、特に給与だけで差をつけにくい場合は福利厚生での差別化が有効です。
ベネフィット・ワン導入は求人時の訴求ポイントになり、求職者の応募意欲を高める効果が期待できます。
特に、近年重要視されている「ウェルビーイング(心身の健康と幸福)」や「ワークライフバランス」を重視して就職活動を行うZ世代や中途採用の有能な若手層に対し、企業が従業員の私生活や健康に投資する姿勢を持っていることを、具体的なエビデンス(制度)として証明できるため、口先だけではない「社員ファースト」のメッセージが伝わります。

福利厚生アピールになる

採用広告や説明会でベネフィット・ステーションの導入を明示することで、働きやすさや生活支援面でのメリットを具体的に伝えられます。
特に子育て世代や働き方に配慮を求める層に対して有効なアピール材料となります。
求人票の文字情報だけでなく、採用サイトの福利厚生紹介ページに実際のアプリ画面の例や、先輩社員が「週末に映画館や家族旅行でどのように使っているか」というリアルな体験談(ケーススタディ)を掲載することで、内定辞退の防止や内定承諾率の向上に直結するコンテンツに育てることも可能です。

応募者への安心感につながる

福利厚生が整っていることは雇用の安定性や企業の従業員への配慮を示すサインとなり、応募者に安心感を与えます。
結果として応募数の増加やミスマッチの低減につながる可能性があります。
労働基準法などのコンプライアンス意識が高まっている現代の求職者は、福利厚生の有無を「この会社は労働環境を適正に管理しているか、いわゆるブラック企業ではないか」を識別するリトマス試験紙として見ています。誰もが知る大手サービスと提携しているという事実自体が、会社の社会的信用(ガバナンス)を補強し、応募者の心理的ハードルを下げます。

定着率向上につながるのか

福利厚生は従業員の満足度やエンゲージメントに影響を与える要素であり、適切な福利厚生の提供は離職抑止や長期勤続の促進に寄与することが期待されます。
ただし福利厚生だけで全ての離職要因を解決できるわけではない点に注意が必要です。
実務上、福利厚生はハーズバーグの二要因理論における「衛生要因(不満を解消する要素)」に位置づけられるため、導入によって「不満による突発的な離職」を防止するインフラとして機能します。

従業員満足度向上が期待できる

日常生活の利便性向上や余暇の充実、育児支援など従業員が実感しやすいメリットを提供できるため、満足度や職場への愛着が高まる傾向があります。
結果として勤続意欲の向上に結びつくケースが多いです。
特に効果が高いのは、従業員が「仕事以外のプライベートの時間」を充実させるためにこのサービスを使った時です。会社の用意した制度のおかげで安く旅行に行けた、安く美味しいご飯が食べられたという「ポジティブな私生活の記憶」が、会社に対する感謝や帰属意識(エンゲージメント)へと間接的に還流していきます。

福利厚生格差を縮小できる

部署や雇用形態によって生じやすい福利厚生の格差を、共通のプラットフォームであるベネフィット・ステーションを通じて平準化することで、公平感の向上や職場の一体感醸成につながる効果が期待できます。
例えば「本社勤務の社員は社食や設備を使えるが、支店や現場、在宅勤務の社員は恩恵を受けられない」といった物理的な格差や、「正社員には手厚いがパート社員には何もない」という雇用形態の格差は、社内の人間関係の歪みやモラールダウンを引き起こします。全国共通かつ全雇用形態に対応した外部プラットフォームの導入は、こうした社内格差を完全にフラットにする労務管理上の大技となります。

導入時に確認すべきポイント

導入前には費用対効果、従業員の利用見込み、提供される優待の具体的内容、導入後のサポート体制、契約期間や解約条件などを事前に確認する必要があります。
これらを明確にしておくことで導入後の期待値と現実のギャップを減らせます。
特に、既存の自社独自の手当(例:独自の慶弔見舞金やレジャー補助など)を廃止してベネフィット・ワンに切り替える場合、労働契約法第9条の「労働条件の不利益変更」に抵触しないよう、事前の就業規則変更手続きや従業員への丁寧な説明・不利益の緩和措置を専門家(社会保険労務士等)と相談して進めることが実務上不可欠です。

利用率を意識する

導入目的を明確にし、従業員が実際に利用するかどうかを検討することが重要です。
想定される利用率に応じてコストの妥当性を評価し、利用促進策を併せて計画することで費用対効果を高めることができます。
導入費用は「登録従業員数×月額単価」の固定費となるため、もし全従業員の数%しか使わなければ、使っていない社員の分のコストが完全に死に金(無駄な経費)になってしまいます。そのため、事前のシミュレーションだけでなく、導入後に人事が「利用率〇〇%以上」というKPIを設け、社内でのプロモーションを継続的に行う前提で予算を組む必要があります。

確認項目チェックポイント
費用月額費用や初期費用、従業員数に応じた料金体系を確認する
利用率想定従業員のニーズに合うかアンケート等で事前調査する
導入後支援周知や利用促進をどのように支援してくれるか確認する

自社ニーズと合うか確認する

提供される優待が自社の従業員構成やライフステージにマッチしているかを確認することが重要です。
例えば育児支援が充実しているか、若年層が好むレジャーや学びのコンテンツがあるかなど、自社の優先事項に合致しているかを評価してください。
平均年齢が20代前半のITベンチャー企業に「老後の資産形成や介護支援」ばかりをアピールしても響きませんし、逆にシニア層が多い老舗企業に「若者向けのイベントや最新のサブスク割引」を提示しても利用されません。自社の「組織の年齢・性別・ライフスタイルの分布(ペルソナ)」を分析し、それに合った最適なコースやプラン(例:健康経営に特化したプランなど)をベンダー側へリクエストすることが肝要です。

企業がやりがちな失敗

よくある失敗例として、導入しただけで満足して従業員への周知や利用促進を怠ることや、導入目的や費用対効果の検証を行わずに継続コストだけ発生させてしまうことが挙げられます。
導入後の運用計画がないと期待した効果が得られないリスクがあります。
人事側の「導入した」という自己満足と、従業員側の「使い方がよく分からないから使わない」という無関心の温度差が、福利厚生アウトソーシングの最大の失敗パターンです。

導入だけで満足する

サービスを契約して終わりにしてしまい、従業員に対する説明会や利用促進施策を行わないケースでは利用率が低迷し、費用対効果が悪化します。
導入後の周知や利用促進をセットで計画することが重要です。
実務上の対策として、導入初月には必ず「全員参加のオンライン説明会(またはオンデマンド動画の視聴義務化)」を開催し、全従業員のスマートフォンに専用アプリをダウンロードさせて「初期ログイン(アクティベーション)」を完了させるまでのフェーズを、人事がタスクとして強制(主導)することが利用定着の成否を分けます。

従業員へ周知しない

せっかく導入しても従業員が存在を知らなければ意味がありません。
定期的なメール、イントラや説明会、ケーススタディの共有などで利用方法とメリットをわかりやすく伝える仕組みが必要です。
例えば、毎月の給与明細の裏面に「今月のベネフィットおすすめ優待」を掲載する、社内報やチャットツール(SlackやLINE WORKSなど)で定期的に「今週末に使えるおすすめクーポン」を自動配信するなど、従業員の視界に定期的に制度を飛び込ませる「仕組みとしての広報活動」を人事のルーティン業務として組み込むことが必要です。

よくある誤解

ベネフィット・ワンや福利厚生サービスに関しては誤解もあります。
代表的なものとして『福利厚生を整えればそれだけで定着率が劇的に上がる』や『大企業でなければ導入できない』といった誤解があり、実際には運用や周知、企業文化と組み合わせた施策が不可欠です。
制度はあくまで器(ツール)であり、それを動かすのは社内のコミュニケーションや労務環境に対する経営陣の姿勢であることを忘れてはなりません。

福利厚生だけで定着率は上がる

福利厚生は重要な要素ですが、職場環境、評価制度、キャリアパス、マネジメントの質など他の要因と組み合わせて初めて定着率改善につながります。
福利厚生はあくまで補完的な施策として位置づけるべきです。
従業員が離職を考える根本的な原因の多くは「人間関係の不満」「評価・給与への不納得感」「過度な残業による心身の疲弊」です。これら労働条件の本丸(基本方針)が崩れている状態で、どれだけ立派な割引サービス(ベネフィット・ステーション)を導入しても離職は止まりません。適切な労働時間管理や公正な評価制度という「土台」の上に、プラスアルファの潤滑油として福利厚生を乗せる視点が重要です。

大企業しか導入できない

実際には中小企業向けの料金プランやスモールスタート可能な契約形態が用意されている場合が多く、規模に応じた導入が可能です。
導入前にベンダーと相談し、自社に合ったプランを選ぶことが重要です。
ベネフィット・ワンでは、数名〜数十名規模の中小企業・小規模事業者向けに、初期費用を抑えて大企業と全く同じ優待メニューを即日利用できる「中小企業専用のパッケージ」が多数用意されています。人手不足に悩む小規模オフィスや、創業間もないスタートアップこそ、こうした外部リソースを賢く借りて自社の「採用力の外壁」を強固に構築するべきです。

まとめ|福利厚生の充実を効率的に実現できるサービス

ベネフィット・ワンとベネフィット・ステーションは、企業が短期間で幅広い福利厚生を提供し従業員満足度や採用力を高めるための有効な手段です。
ただし導入効果を最大化するためには利用促進や自社ニーズとの整合、費用対効果の検証といった運用面の工夫が欠かせません。
経営リソースが限られている中小企業こそ、固定資産や自社運用の手間(固定人件費)を増やさない「アウトソーシング型の福利厚生」への投資は、ROI(投資利益率)が非常に高い優れた経営戦略となり得ます。

採用力向上にも役立つ

適切に活用すれば採用時の訴求材料となり、応募数の増加や内定辞退の抑止など採用面での効果が期待できます。
特に給与以外の魅力を求める求職者にとっては重要な比較要素となります。
求人媒体(ハローワークや民間求人サイト)に「ベネフィット・ステーション導入済(映画・宿泊・育児・健康など140万件以上の優待が家族も含めて利用可能)」と具体的に記載し、他社との差別化(ホワイト企業アピール)にフル活用してください。これが母集団形成の強力な呼び水となります。

利用される仕組みづくりが重要になる

サービスの導入後に利用が定着するよう、周知施策や導入説明、利用インセンティブや社内キャンペーンなどを組み合わせることで、初めて福利厚生投資の価値が実現します。
目的を明確にした運用設計を心がけてください。
福利厚生は「導入して安心」するものではなく、従業員に使われ、愛され、彼らの生活と労働を支えて初めて意味を持ちます。人事が定期的に利用実績データをチェックし、社内の「福利厚生アンバサダー」となるような積極的な利用者を巻き込みながら、会社全体で制度を使い倒すポジティブな風土(企業文化)を醸成していきましょう。

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。