労働者死傷病報告とは?提出義務・電子申請・書き方を解説

この記事は、労働者死傷病報告について知りたい方々に向けて、基本的な情報から提出義務、電子申請の流れ、書き方までを詳しく解説します 労働災害が発生した際の法定書類であるこの報告書は、企業の責任や労働者の安全を守るために重要な役割を果たします これからの法改正や電子申請の義務化に備え、正しい知識を身につけましょう

労働者死傷病報告とは何か

労働者死傷病報告は、労働災害が発生した際に事業主が労働基準監督署に提出する法定書類です この報告は、労働者が業務中に負傷したり、病気になった場合に必要となります 労働者の安全を確保し、再発防止策を講じるために重要な役割を果たします

労働災害が発生した際に労基署へ提出する法定書類

労働者死傷病報告は、労働災害が発生した場合に必ず提出しなければならない法定書類です 具体的には、労働者が業務中に死亡したり、休業を要するケガや病気を負った場合に該当します この報告を通じて、労働基準監督署は労働環境の改善や再発防止に向けた指導を行います

労働安全衛生法100条で義務付けられている

労働者死傷病報告は、労働安全衛生法第100条に基づいて義務付けられています この法律は、労働者の安全と健康を守るために制定されており、事業主には報告義務が課せられています 法令に従わない場合、罰則が科されることもあるため、注意が必要です

労災保険とは別に「必ず提出」が必要な理由

労災保険は、労働者が業務上の事故や病気に対して給付を受けるための制度ですが、労働者死傷病報告はそれとは別の義務です 労災保険の申請を行ったからといって、死傷病報告が不要になるわけではありません 報告書は、労働災害の実態を把握し、再発防止策を講じるために必要不可欠なものです

提出が必要となるケース

労働者死傷病報告が必要となるケースは、主に以下のような状況です これらのケースに該当する場合、速やかに報告を行うことが求められます 具体的な条件を理解しておくことが重要です

死亡事故が発生した場合

労働者が業務中に死亡した場合、直ちに労働者死傷病報告を提出する必要があります この場合、報告は遅滞なく行わなければならず、迅速な対応が求められます 死亡事故は特に重大な事案であり、適切な報告が行われることで、再発防止に向けた対策が講じられます

休業4日以上のケガ・病気が発生した場合

労働者が業務中にケガや病気を負い、休業が4日以上に及ぶ場合も報告が必要です この場合、報告書を提出することで、労働基準監督署が状況を把握し、必要な指導を行います 休業が4日未満の場合は、報告義務はありませんが、記録義務が生じます

休業1~3日の災害は報告義務なし(記録義務のみ)

休業が1日から3日の場合、労働者死傷病報告の提出義務はありませんが、記録としての義務が生じます この場合、事業主は労働災害の発生状況を記録し、必要に応じて再発防止策を講じることが求められます 記録は、将来的な報告の際に役立つ情報となります

交通事故や通勤災害でも対象になる場合がある

業務中の交通事故や通勤中の災害も、労働者死傷病報告の対象となる場合があります 特に、通勤災害は労災保険の適用があるため、報告が必要です 事業主は、これらのケースについても適切に報告を行うことが求められます

報告書の種類と区分

労働者死傷病報告には、いくつかの様式があり、それぞれのケースに応じて適切な報告書を使用する必要があります 報告書の種類は、事故の内容や休業日数によって異なります 以下に、主要な様式について詳しく説明します

様式第23号(死亡災害)

様式第23号は、労働者が業務中に死亡した場合に使用される報告書です この様式には、事故の詳細や発生状況、再発防止策などを記載する必要があります 死亡事故は特に重大なため、正確な情報を提供することが求められます

様式第24号(休業4日以上の死傷病)

様式第24号は、労働者が休業4日以上のケガや病気を負った場合に使用されます この報告書には、負傷の状況や診断内容、事故原因などを詳しく記載する必要があります 適切な報告を行うことで、労働基準監督署が必要な指導を行うことができます

様式第25号(休業4日未満の死傷病・記録用)

様式第25号は、休業が4日未満のケガや病気に関する記録用の報告書です この様式は、報告義務はありませんが、記録としての義務が生じます 事業主は、これを用いて労働災害の発生状況を記録し、必要に応じて再発防止策を講じることが求められます

報告書に記載する内容

労働者死傷病報告書には、いくつかの重要な情報を記載する必要があります これらの情報は、労働基準監督署が事故の状況を把握し、適切な指導を行うために必要です 以下に、報告書に記載すべき主な内容を示します

発生日時・発生場所・業務内容

報告書には、事故が発生した日時、場所、業務内容を正確に記載する必要があります これにより、労働基準監督署は事故の状況を把握しやすくなります 特に、業務内容は事故の原因を分析する上で重要な情報となります

負傷の状況・診断内容

負傷の状況や診断内容も重要な情報です 具体的には、どのようなケガや病気が発生したのか、医師の診断結果はどうであったのかを記載します これにより、労働基準監督署は適切な指導を行うことができます

事故原因の分析

事故の原因を分析し、記載することも求められます これにより、再発防止策を講じるための基礎データが得られます 原因分析は、労働環境の改善に向けた重要なステップとなります

再発防止策の記載が求められる理由

報告書には、再発防止策を記載することが求められます これは、同様の事故を防ぐために必要な情報であり、労働基準監督署が指導を行う際の参考にもなります 再発防止策を明確にすることで、企業の責任を果たすことができます

提出期限と提出先

労働者死傷病報告には、提出期限が定められています 期限を守ることは、法令遵守の観点からも非常に重要です 以下に、提出期限と提出先について詳しく説明します

死亡:直ちに提出

労働者が業務中に死亡した場合、報告書は直ちに提出しなければなりません この場合、遅延は許されず、迅速な対応が求められます 死亡事故は特に重大なため、適切な報告が行われることが重要です

休業4日以上:1か月以内に提出

休業が4日以上の場合、報告書は事故発生から1か月以内に提出する必要があります この期限を守ることで、労働基準監督署が適切な指導を行うことが可能になります 期限を過ぎると、罰則が科されることもあるため注意が必要です

提出先は事業場を管轄する労働基準監督署

労働者死傷病報告は、事業場を管轄する労働基準監督署に提出します 提出先を間違えないように注意が必要です 正確な提出先を把握しておくことが、スムーズな手続きにつながります

報告漏れのリスク

労働者死傷病報告を怠ることには、さまざまなリスクが伴います 報告漏れは、企業にとって重大な問題となる可能性があるため、注意が必要です 以下に、報告漏れのリスクについて詳しく説明します

罰則・指導の対象となる可能性

労働者死傷病報告を提出しない場合、労働基準監督署から罰則や指導を受ける可能性があります 法令に従わないことは、企業の信頼性を損なう要因となり得ます 適切な報告を行うことで、法令遵守を示すことが重要です

労災認定手続きに影響することがある

報告漏れは、労災認定手続きにも影響を及ぼすことがあります 適切な報告が行われないと、労災保険の給付が受けられない場合もあります 労働者の権利を守るためにも、正確な報告が求められます

重大事故の場合は企業信用にも影響

重大な労働災害が発生した場合、報告漏れは企業の信用にも悪影響を及ぼします 社会的な信頼を失うことは、企業の存続にも関わる問題です 適切な報告を行うことで、企業の責任を果たすことが求められます

2025年1月からの電子申請義務化

2025年1月から、労働者死傷病報告は原則として電子申請が義務化されます この変更により、報告手続きが大きく変わるため、事業主は準備が必要です 以下に、電子申請義務化の詳細について説明します

死傷病報告は原則電子申請が義務に

労働者死傷病報告は、原則として電子申請が義務化されるため、事業主はこの新しいルールに従う必要があります 電子申請により、手続きが簡素化される一方で、事前の準備が求められます 適切な対応を行うことで、スムーズな申請が可能になります

労基署窓口での紙提出ができなくなるケース

電子申請が義務化されることで、労働基準監督署の窓口での紙提出ができなくなるケースが増えます これにより、事業主は電子申請の準備を進める必要があります 新しいルールに適応するための体制づくりが重要です

GビズID・電子申請システムの登録が必要

電子申請を行うためには、GビズIDの取得と電子申請システムへの登録が必要です これにより、オンラインでの手続きが可能となります 事前に必要な手続きを済ませておくことで、スムーズな申請が実現します

電子申請のポイント

電子申請を行う際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です これにより、手続きがスムーズに進むだけでなく、ミスを防ぐことができます 以下に、電子申請のポイントを示します

事前にGビズIDを発行しておく

電子申請を行うためには、事前にGビズIDを発行しておく必要があります このIDは、電子申請システムへのアクセスに必要なものであり、早めに取得しておくことが推奨されます 手続きがスムーズに進むための第一歩です

電子申請システムから様式を入力

GビズIDを取得したら、電子申請システムにアクセスし、必要な様式を入力します システムは直感的に操作できるよう設計されているため、比較的簡単に手続きが行えます 正確な情報を入力することが重要です

添付資料(診断書等)が必要な場合の注意点

電子申請を行う際には、必要に応じて添付資料を提出する必要があります 診断書やその他の関連書類が求められる場合、事前に準備しておくことが重要です これにより、申請がスムーズに進むだけでなく、後のトラブルを防ぐことができます

労働災害発生時の会社の初動対応

労働災害が発生した際の初動対応は、非常に重要です 適切な対応を行うことで、労働者の安全を確保し、事後の手続きもスムーズに進めることができます 以下に、初動対応のポイントを示します

救護・応急処置の実施

労働災害が発生した場合、まずは救護や応急処置を行うことが最優先です 負傷者の状態を確認し、必要に応じて医療機関に搬送します 迅速な対応が、労働者の回復に繋がります

労災指定病院への搬送

負傷者が重傷の場合、労災指定病院への搬送が必要です 事業主は、適切な医療機関に連絡し、迅速に搬送を行うことが求められます 適切な医療を受けることで、労働者の安全が確保されます

現場写真・状況記録の確保

事故発生後は、現場の写真を撮影し、状況を記録することが重要です これにより、後の報告書作成や原因分析に役立ちます 記録は、再発防止策を講じるための重要なデータとなります

安全衛生委員会への報告・再発防止策の検討

労働災害が発生した場合、安全衛生委員会に報告し、再発防止策を検討することが求められます 委員会は、労働環境の改善に向けた重要な役割を果たします 適切な対策を講じることで、同様の事故を防ぐことができます

よくある誤解

労働者死傷病報告に関しては、さまざまな誤解が存在します これらの誤解を解消することで、正しい理解を深めることが重要です 以下に、よくある誤解について説明します

「労災保険申請すれば死傷病報告が不要」→誤り

労災保険の申請を行ったからといって、労働者死傷病報告が不要になるわけではありません 両者は別の手続きであり、報告書は必ず提出する必要があります 誤解を避けるためにも、正しい知識を持つことが重要です

「軽傷だから関係ない」→4日以上休めば必須

軽傷であっても、休業が4日以上に及ぶ場合は報告が必要です この点を誤解している事業主も多いため、注意が必要です 正確な情報を把握し、適切な対応を行うことが求められます

「派遣社員だから提出不要」→受入企業も責任あり

派遣社員であっても、受入企業には労働者死傷病報告の提出義務があります この点を誤解している企業も多いため、注意が必要です 労働者の安全を守るためには、正しい理解が不可欠です

まとめ:死傷病報告は“事故の再発防止”の基盤となる書類

労働者死傷病報告は、労働災害の再発防止に向けた重要な基盤となる書類です 提出は法的義務であり、事業者の責任の一部です 適切な報告を行うことで、労働者の安全を守ることができます

提出は義務であり事業者責任の一部

労働者死傷病報告は、事業主が労働者の安全を守るために果たすべき責任の一部です 法令に従い、適切な報告を行うことが求められます これにより、労働環境の改善に繋がります

電子申請義務化に備えた体制づくりが重要

2025年からの電子申請義務化に備え、事業主は体制づくりを進める必要があります GビズIDの取得や電子申請システムの登録を行い、スムーズな手続きを実現しましょう 適切な準備を行うことで、法令遵守を果たすことができます。

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この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。