freee人事労務で算定基礎届を提出する方法 社会保険の定時決定を解説

この記事は中小企業の人事労務担当者や総務担当者、freee人事労務を導入しているまたは導入を検討している方に向けた解説記事です。
算定基礎届の基本的な意味から、定時決定の流れ、freee人事労務での事前準備や作成手順、電子申請の方法、よくあるトラブル対策、社労士への依頼メリットまでを丁寧にまとめています。
実務でつまずきやすいポイントや、スムーズに定時決定を進めるためのチェックリストも提示するので、実際の算定基礎届作成と提出作業に役立ててください。

Table of Contents

freee人事労務で算定基礎届は作成できる?

freee人事労務は給与データや従業員情報を一元管理できるクラウド型の人事労務ソフトであり、算定基礎届の作成に必要な報酬集計や届出書類の作成支援を行う機能があります。
ただし、各自治体や年による手続きの仕様変更、電子申請の連携条件などにより、ソフト側での自動判定が必要な場面と手動での確認が必要な場面が混在します。
ここではまず算定基礎届そのものと定時決定の概要を押さえたうえで、freeeで何ができるかを整理していきます。

算定基礎届とは

算定基礎届は社会保険(健康保険・厚生年金)に加入している被保険者について、毎年7月に行う定時決定のために、4月から6月までの各月の報酬を届け出て標準報酬月額を決定するための届出書類です。
会社は対象従業員ごとに支払基礎日数や報酬を集計し、標準報酬月額を改定する必要があり、その結果に基づいて標準報酬の改定や保険料の算定が行われます。
算定漏れや誤った届出は保険料の誤徴収や従業員トラブルにつながるため注意が必要です。

定時決定の概要

定時決定は毎年1回、4月から6月の各月の報酬を基に翌年度の標準報酬月額を決定する手続きで、通常7月に標準報酬月額が改定され9月以降の給与や保険料に反映されます。
定時決定の対象となる従業員は主に7月時点で在籍している被保険者であり、短時間勤務者や一定の条件に該当する者は対象除外となるケースもあります。
期日や対象範囲を正確に理解しておくことが重要です。

freee人事労務でできること

freee人事労務では従業員マスタの管理、給与データの蓄積、4月〜6月の報酬集計、算定基礎届用の帳票出力、電子申請用のデータ出力や電子申請支援機能が提供されています。
ただし、自動で全てを判定してくれるわけではなく、支払基礎日数の判定や非該当者の除外判断、特殊な報酬(臨時手当や非課税手当など)の扱いは人の判断を要することがあります。
そのためfreeeで作成した結果は必ずチェックし、必要に応じて修正する運用が推奨されます。

算定基礎届を提出する前に確認すること

算定基礎届を提出する前には、対象者の判定、4月・5月・6月の報酬の正確な集計、支払基礎日数の確認、そして提出期限の把握と社内承認ルートの整備を行う必要があります。
これらを事前に確認しておかないと、届出漏れや誤記入、期限超過による追徴金や不利益が生じる可能性があります。
以下の小見出しで具体的に確認すべきポイントを整理します。

対象となる従業員を確認する

算定基礎届の対象となる従業員は原則7月1日時点で被保険者である者ですが、休職や産休、育休、勤務形態の変更などで判定が複雑になるケースがあります。
特に4月〜6月のうちに入社・退職・休職がある場合や、短時間勤務者、パートタイマーの扱いは就業条件と労働日数により対象に含めるか除外するかを判断する必要があります。
freee上の在籍情報と雇用契約情報を突合して正確に判定してください。

4月・5月・6月の報酬を確認する

報酬には基本給、通勤手当、残業代、各種手当などが含まれますが、非課税の手当や一時的な賞与扱いの支給などは扱いが異なるため注意が必要です。
freeeに蓄積された給与データと銀行振込実績、タイムカードや勤怠データを突合し、各月の支払基礎日数が正しく反映されているかを確認してください。
誤った集計は標準報酬月額の誤決定につながるため、必ず個別に確認する運用を設けましょう。

提出期限を確認する

算定基礎届の提出期限は通常7月中に行われますが、自治体や健康保険組合によって期日や取扱いが異なる場合があります。
また電子申請の締切日時と窓口提出の締切は異なることがあるため、事前に管轄の年金事務所や健康保険組合の案内を確認し、余裕をもって作業スケジュールを組んでください。
社内での確認フローや承認が必要な場合は、逆算して締切を設定することが重要です。

freee人事労務の事前設定

freeeで正確に算定基礎届を作成するためには、会社情報、社会保険の加入情報、従業員の給与設定や勤怠データなどの事前設定が必須です。
事前設定が不完全だと集計ミスや非該当者の判定ミスが起きやすく、届出作成時に手戻りが発生します。
ここでは特に確認すべき設定項目を具体的に挙げますので、一つずつチェックしてください。

会社情報を確認する

会社名、法人番号、事業所番号、所在地、代表者名、事業所の社会保険の管轄などの基本情報は届出書類に反映されますので正確に設定してください。
freee上の会社情報が古い場合、届出書に誤情報が記載されることになり、届出の差戻しや修正手続きが必要になる可能性があります。
また事業所ごとに社会保険の加入状況が異なる場合は、事業所単位での設定も忘れずに行いましょう。

社会保険情報を確認する

加入している健康保険組合や厚生年金の事業所番号、適用事業所の種別、標準報酬の現行値などの社会保険情報は正しく設定されている必要があります。
特に健康保険組合の場合は組合独自の手続きや提出様式があることが多いため、freeeの標準機能だけでは対応しきれない場合がある点に留意してください。
必要に応じて組合の窓口と事前に調整しておくと安心です。

給与データを確認する

月ごとの給与支給データ、支払基礎日数、各手当の種別(課税・非課税)や賞与の取り扱いをfreee上で正確に登録しておくことが重要です。
勤怠連携をしている場合は勤怠データの締め日や反映タイミングを確認し、月別の給与データが完成していることを確認してください。
また入社月や退職月のデータは特に注意してチェックし、必要に応じて修正やメモを残す運用を整備してください。

算定基礎届を作成する方法

実際の算定基礎届作成は、freee上で対象従業員の報酬を集計し、表示される標準報酬候補を確認したうえで届出書を作成する流れになります。
作成時には支払基礎日数の確認、各種手当の判定、非該当者の除外操作などを行い、最終的に届出書を出力または電子申請用データを生成します。
以下で具体的なステップに分けて説明しますので、実務手順に沿って進めてください。

報酬月額を集計する

freeeでは4月、5月、6月の各月の総支給額をもとに報酬月額を自動集計する機能が用意されていますが、課税と非課税の区分や臨時支給の有無によって手動で調整する必要が出ることがあります。
集計結果は従業員ごとに表示されるため、不自然な金額や打刻漏れなどがあれば個別に勤怠や支給履歴と照合して修正してください。
集計完了後は必ずログやメモを残し、誰が確認したかを明確にしておくとトラブル防止になります。

届出内容を確認する

freeeで算定基礎届の下書きを作成したら、標準報酬月額の算出根拠、支払基礎日数、加入状況、非該当の判定理由などを一つずつ確認してください。
特に手当の分類や一時的な支給があった従業員は誤判定が入りやすいので、明細と給与計算の履歴を確認してから最終決定を行うことが重要です。
必要があれば上長や経理、社労士と協議して判断を確定させる運用を設けましょう。

算定基礎届を作成する

確認が完了したらfreee上で算定基礎届を正式に作成し、PDF出力や電子申請用データを生成します。
紙で提出する場合は出力した帳票をチェックし、必要な押印や添付書類を準備してください。
電子申請を利用する場合は、事前に利用者登録やマイナンバーカード、電子証明書の準備が必要なことがあるため、手続きの流れを事前に確認しておきましょう。

算定基礎届を提出する方法

算定基礎届の提出方法は主に電子申請と窓口(郵送や持参)による提出があります。
近年は電子申請の利用が増えており、freeeは電子申請データの出力や連携支援機能を持っていますが、電子申請の前提となる利用者識別番号や電子署名の準備、健康保険組合側の受け取り条件の確認が必要です。
ここでは電子申請の準備と提出後の確認方法を解説します。

電子申請を行う

電子申請を行うには、e-Govの手続きや年金機構の総合支援端末の運用に従って利用者登録や電子証明書の設定を行う必要があります。
freeeから出力した電子申請データをe-Govへアップロードする場合や、freeeの連携機能で直接申請する場合など手順が複数あるため、事前に操作手順を確認しておくことが重要です。
また申請後は受領番号や受付完了の通知を保存し、社内の確認フローに組み込んでください。

提出状況を確認する

申請後は申請の受付状況や差戻し、修正の有無を年金事務所や健康保険組合の受付システムで定期的に確認してください。
電子申請の場合は受付番号や受領通知が発行されるため、それらを保存し、必要に応じて従業員への説明資料として保管しておきます。
万が一差戻しがあった場合は指摘内容に従って速やかに修正し再提出する手順を定めておくと対応がスムーズです。

標準報酬月額の決定通知を確認する

申請の処理が完了すると、年金事務所や健康保険組合から標準報酬月額の決定通知が届き、従業員への新しい保険料の反映時期や給与計算への影響が通知されます。
通知内容を受けて給与システムへ新しい標準報酬を反映し、従業員に対して変更点や保険料の負担変化を説明する必要があります。
通知を受け取ったら社内の経理・給与担当と連携して速やかに対応してください。

算定基礎届でよくあるトラブル

算定基礎届作成時に頻繁に起こるトラブルとして、支払基礎日数の誤入力、報酬額の集計ミス、提出期限の見落としなどが挙げられます。
これらはfreeeのシステムだけで完全に防げるものではないため、業務フローの整備とダブルチェック体制の導入が重要になります。
以下に代表的なトラブルとその予防策を説明します。

支払基礎日数の入力ミス

支払基礎日数は標準報酬月額の算定に直結する重要な項目であり、勤怠データの締め漏れや休暇の反映漏れで誤った日数が登録されることがあります。
特に月の途中で入退社した従業員や長期休職者については手動確認が必要になるため、freeeの自動反映結果を鵜呑みにせず勤怠実績と突合してください。
また支払基礎日数の判定ルールを社内マニュアル化しておくと担当者交代時のミスを減らせます。

報酬額の集計ミス

報酬額の集計ミスは手当の分類ミスや臨時支給の処理誤り、タイムカードと給与データの不一致が原因で発生します。
freee上では項目設定が重要で、各手当を課税か非課税か、定期的な支給か一時的支給かで区分しておかないと自動集計が誤動作する場合があります。
月次での給与チェックリストを導入し、責任者による承認フローを設けるとミスが減少します。

提出期限を過ぎてしまう

提出期限を過ぎると追加の手続きや追徴が発生するリスクがあり、従業員への説明負担や社内信頼の低下につながります。
これを防ぐために、freee上での作業締切を提出期限より十分に前倒しで設定し、複数人でのチェックと承認を必須にするなど内部統制を整備してください。
また繁忙期のリソース配分を事前に調整しておくことも重要です。

定時決定をスムーズに進めるポイント

定時決定を滞りなく進めるには、日常的な給与データの整備、賞与や臨時手当の取り扱いルールの明確化、電子申請の環境整備などの事前準備が有効です。
これらを運用ルールとして文書化し、担当者が変更になっても引継ぎができるようにしておくと作業の安定化につながります。
以下で具体的な実務ポイントを紹介します。

給与データを毎月確認する

月次で給与明細や勤怠データを確認する習慣をつけると、4月〜6月の集計時に大きな修正が不要になります。
給料振込後の明細や勤怠締めの結果を毎月チェックし、異常値や未反映の手当がないかを確認するプロセスを定着させてください。
このルーチンワークが算定基礎届作成時の負荷を大きく下げます。

賞与と報酬を区別して管理する

賞与は原則として賞与支払届の対象であり、算定基礎届の報酬集計とは別扱いとなる場合が多いため、給与データ上で賞与と月次報酬を明確に区分して管理することが重要です。
一時的な臨時手当が月次報酬に含まれるか否かの判断基準を社内で統一しておけば、集計時の迷いが減ります。
freee上での勘定科目や手当分類を整備しておきましょう。

電子申請を活用する

電子申請は受領確認が早く、書類保管や差戻し時の対応が効率化されるため積極的に活用するのがおすすめです。
事前に電子証明書や利用者登録、freeeとe-Govの連携設定を済ませておくと、申請時の手間が大幅に削減されます。
電子申請に不慣れな場合はリハーサル提出を行い、差戻し対応のフローを社内で確認しておきましょう。

社労士へ依頼するメリット

算定基礎届作成や電子申請を社労士に依頼することで、専門的な判定が必要なケースの対応や、電子申請の代行、届出後のフォローまで一括して任せられるメリットがあります。
特に人事担当者が少人数で社内の運用負荷が高い場合や、組合特有の取扱いがある場合には社労士の支援が有効です。
以下に具体的なメリットを比較表とともに示します。

算定基礎届を正確に作成できる

社労士は法令や判例に基づいた判断経験があるため、支払基礎日数の判定や特殊な報酬の扱い、短時間労働者の判定などを正確に行うことができます。
これにより誤った届出による追徴や従業員とのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
専門家によるチェックが入ることで、社内のコンプライアンス向上にも寄与します。

電子申請まで任せられる

社労士に依頼すると電子申請に必要な手続きやフォーマット変換、受領後の確認まで一貫して代行してもらえることが多く、企業側の手間が大幅に削減されます。
特にe-Govや年金事務所の仕様変更があった場合でも社労士側が対応してくれるため安心して任せられます。
また差戻しが発生した場合の再提出対応も迅速に行ってもらえます。

社会保険手続きを効率化できる

社労士に日常の手続きや年次処理をまとめて依頼することで、社内の人事労務業務を効率化でき、内部リソースをコア業務に集中させることが可能になります。
さらに法改正や運用ルールの変更にも専門家視点での助言が受けられるため、リスク管理の面でもメリットがあります。
このような観点から費用対効果を検討すると良いでしょう。

項目自社対応(DIY)社労士へ依頼
正確性担当者の習熟度に依存する専門知識で高い正確性を期待できる
作業負荷社内リソースを消費する外部に委託して負荷を軽減
費用ソフト利用料のみで比較的安価代行費用が発生するが時間とリスクを削減

社会保険労務士法人あいパートナーズができること

社会保険労務士法人あいパートナーズはfreee人事労務の導入支援から算定基礎届や月額変更届の作成支援、電子申請の運用サポートまで幅広く対応できます。
中小企業向けに実務に即したテンプレートやチェックリストを提供し、freeeの設定や運用フローの最適化を支援することが可能です。
以下に代表的な支援内容を紹介します。

freee人事労務の導入支援

あいパートナーズはfreee導入の初期設定、会社情報や社会保険の設定、従業員マスタ移行、給与連携や勤怠連携の構築を支援します。
導入時の業務フロー設計や担当者教育、初期データの確認・クリーニングを行うことで、導入後の運用負荷を軽減します。
また導入後のサポート契約による継続的な運用改善提案も可能です。

算定基礎届・月額変更届の作成支援

あいパートナーズは算定基礎届や月額変更届の作成から電子申請代行までを支援し、各種届出の正確性とタイムリーな提出をサポートします。
事前の報酬チェックや支払基礎日数の判定、給与データの調整などの実務作業を代行し、必要に応じて従業員ごとの判断理由を明確にした報告書を提出します。
これにより社内リソースの節約とリスク低減が図れます。

社会保険手続き・電子申請の運用サポート

日常の社会保険手続き、資格取得・喪失、育休・産休の届出、電子申請に関する運用ルールの整備なども対応しており、法改正時の対応や年次手続きの最適化を支援します。
またfreeeとの連携運用に関して教育やマニュアル整備、トラブル発生時のヘルプデスク対応も提供可能です。
一括して任せることで手続きの抜け漏れ防止と業務の安定化が期待できます。

まとめ|freee人事労務で算定基礎届を正確に提出しよう

freee人事労務は算定基礎届作成を効率化する強力なツールですが、最終的な判定や例外処理は人の確認が不可欠です。
事前の設定と毎月のデータチェック、電子申請の準備を整えることで定時決定をスムーズに進めることができます。
必要に応じて社労士へ一部または全てを委託する選択肢も有効ですので、社内のリソースやリスクを踏まえて最適な運用を検討してください。

正しい設定と電子申請で定時決定をスムーズに進めよう

日々の給与データ整備とfreee上の正確な設定、電子申請の事前準備を行うことが定時決定成功の鍵です。
社労士や導入支援パートナーと連携することで、経験に基づく運用改善やトラブル対応の支援を受けられます。
まずは4月から6月のデータ確認を優先し、早めに準備を始めましょう。

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。