求人で年齢制限はどこまで許される?経営者が知らない法律と例外規定

この記事は、企業の経営者や人事担当者、採用担当者に向けて書かれています。 求人募集を行う際に「年齢制限」を設けることが、どこまで法律で許されているのか、また例外規定にはどのようなものがあるのかを、わかりやすく解説します。 年齢制限に関する法律の基本から、実際の求人票で注意すべき表現、違反した場合のリスクまで、実務に役立つ情報を網羅しています。 これから求人を出す方や、既存の求人内容を見直したい方は必見です。

Table of Contents

求人で年齢制限が原則禁止されている理由

求人において年齢制限が原則として禁止されているのは、すべての人に平等な雇用機会を提供するためです。 年齢による差別を防ぎ、多様な人材が活躍できる社会を目指すことが背景にあります。 特に日本では、少子高齢化や労働力不足が進む中、年齢に関係なく働ける環境づくりが重要視されています。 そのため、法律でも年齢制限を設けることに厳しい制限が設けられており、違反した場合は企業側に大きなリスクが生じます。

雇用対策法で「年齢にかかわりない均等な機会」が義務付けられている

雇用対策法第10条では、事業主は募集・採用において年齢にかかわりない均等な機会を与えることが義務付けられています。 この法律の目的は、年齢による不当な差別をなくし、すべての求職者が公平に仕事を得られるようにすることです。 企業は求人票や面接など、採用活動のあらゆる場面でこの原則を守る必要があります。 違反が発覚した場合、行政指導や求人掲載停止などのペナルティが科されることもあります。

求人票に年齢を書くだけで違法となるケースが多い

求人票に「○歳以下」「○歳以上」など年齢に関する記載をするだけで、原則として違法となるケースがほとんどです。 たとえば「30歳以下歓迎」「20代活躍中」などの表現も、年齢制限や年齢差別とみなされる可能性があります。 例外規定に該当しない限り、年齢に関する記載は避けるべきです。 求人媒体やハローワークでも、年齢記載の有無は厳しくチェックされています。

年齢制限禁止の基本ルール

求人における年齢制限禁止の基本ルールは、募集・採用のすべての場面で年齢による差別をしてはならないという点です。 「○歳以下」「若年層歓迎」などの表現は原則としてNGであり、年齢を理由に応募を断ることも禁止されています。 また、面接や書類選考の際に年齢を聞くことも、原則として避けるべき行為です。 これらのルールを守ることで、法令違反のリスクを回避し、多様な人材の応募を促進できます。

「○歳以下」「若年層歓迎」などの表記は原則アウト

求人票や募集要項に「○歳以下」「若年層歓迎」などの年齢を限定・示唆する表現を記載することは、原則として法律違反となります。 これらの表現は、年齢による応募制限や差別とみなされるため、ハローワークや求人媒体でも掲載を断られるケースが多いです。 例外規定に該当しない限り、年齢に関する記載は避け、職務内容や求めるスキル・経験で募集要件を明確にしましょう。

募集・採用のあらゆる場面で年齢による差別を禁止

年齢制限禁止のルールは、求人票だけでなく、面接や選考、内定通知など、採用活動のすべての場面に適用されます。 たとえば、面接時に年齢を理由に不採用としたり、年齢を聞いて選考から外すことも禁止されています。 企業は、年齢に関係なく応募者を公平に評価し、採用の可否を決定する必要があります。 このルールを守ることで、法令違反によるトラブルを未然に防ぐことができます。

年齢を聞く行為も原則として避けるべき

採用面接やエントリーシートで年齢を直接聞くことも、原則として避けるべき行為です。 年齢を聞くことで、応募者が年齢を理由に不利益を受ける可能性があるため、法律上も問題視されています。 どうしても年齢確認が必要な場合は、例外規定に該当するかどうかを慎重に判断し、必要最小限の範囲で行うことが求められます。 年齢以外の情報で応募者を評価する姿勢が重要です。

例外として認められる年齢制限

年齢制限は原則禁止ですが、法律で定められた特定のケースに限り、例外的に認められる場合があります。 たとえば、定年年齢未満の募集や、長期キャリア形成を目的とした若年層の採用、法令で年齢が定められている職種、芸術・芸能分野などが該当します。 これらの例外に該当する場合でも、求人票にはその理由を明記し、必要な手続きを踏むことが求められます。 以下の表で主な例外ケースをまとめます。

例外ケース具体例
定年年齢未満60歳定年の会社が59歳以下を募集
長期キャリア形成若年層育成を目的とした採用
法令で年齢規定警備員(18歳以上)、運転手(21歳以上)など
芸術・芸能分野役柄に年齢が必要な俳優・モデル

① 定年がある場合、その年齢未満を募集できる

企業に定年制度がある場合、定年年齢未満の人材を募集することは例外的に認められています。 たとえば、定年が60歳の会社であれば「59歳以下」を募集要件とすることが可能です。 ただし、定年制度が就業規則などで明確に定められている必要があり、求人票にもその旨を明記することが求められます。 この例外を利用する際は、年齢制限の理由を明確に説明しましょう。

② 長期キャリア形成を目的とする場合(例:若年層育成)

若年層を長期的に育成し、キャリアを形成してもらうことを目的とする場合、年齢制限が例外的に認められることがあります。 たとえば「キャリア形成のため35歳以下」などの表現が該当しますが、単に若い人が欲しいという理由では認められません。 職務内容や育成計画が明確であることが必要です。 この例外を利用する場合は、求人票に理由を記載し、ハローワーク等で確認を受けることが推奨されます。

③ 法令で年齢が定められている仕事(例:警備員・運転系)

警備員や運転手など、法令で年齢要件が定められている職種については、その年齢制限を求人票に記載することが認められています。 たとえば、警備業法では18歳未満の警備員は認められていませんし、運転業務では21歳以上が必要な場合もあります。 このような場合は、法令に基づく年齢制限であることを明記し、根拠となる法律名も記載することが望ましいです。

④ 芸術・芸能など表現の真実性を必要とする場合

俳優やモデルなど、芸術・芸能分野で役柄や表現の真実性を担保するために年齢制限が必要な場合は、例外的に認められます。 たとえば「10代の役を演じる俳優募集」など、作品や表現の性質上、年齢が不可欠な場合が該当します。 この場合も、求人票にその理由を明記し、必要最小限の範囲で年齢制限を設けることが求められます。

「長期キャリア形成」とは何か

「長期キャリア形成」とは、若年層を採用し、長期間にわたって育成・キャリアアップを図ることを目的とした採用方針を指します。 この考え方は、企業が将来的な幹部候補や専門職を育てるために、若い人材を計画的に採用し、段階的にスキルや経験を積ませることを重視しています。 単なる年齢制限ではなく、明確な育成計画やキャリアパスがある場合に限り、例外的に年齢制限が認められることがあります。 求人票には、その目的や育成方針を具体的に記載することが重要です。

職務内容に対して経験が必要で若年層を育てる目的が明確な場合

「長期キャリア形成」の例外が認められるのは、職務内容に対して一定の経験やスキルが必要であり、かつ若年層を育てる明確な目的がある場合です。 たとえば、将来的に管理職や専門職を担う人材を育成するため、若い段階から長期的に教育・指導を行うケースが該当します。 この場合、求人票には「キャリア形成のため35歳以下」などの表現とともに、育成方針やキャリアパスを具体的に記載することが求められます。

単に若い人が欲しいという理由では認められない

「長期キャリア形成」を理由に年齢制限を設ける場合、単に「若い人が欲しい」「若手が多い職場だから」といった理由では認められません。 あくまで、職務内容や育成計画に基づき、合理的な理由がある場合のみ例外が適用されます。 根拠が不明確な場合や、年齢制限の理由が曖昧な場合は、ハローワークや求人媒体から指導や修正を求められることがあります。 慎重に理由を整理し、求人票に明記しましょう。

ハローワークの指導が入る可能性がある

「長期キャリア形成」を理由に年齢制限を設けた場合でも、ハローワークや求人媒体から指導や修正依頼が入ることがあります。 特に、年齢制限の理由が不明確だったり、育成計画が具体的でない場合は、掲載を断られるケースも少なくありません。 トラブルを避けるためにも、事前にハローワークや専門家に相談し、求人票の内容を確認してもらうことが重要です。 法令遵守の観点からも、慎重な対応が求められます。

求人票で絶対に避けるべき表現

求人票においては、年齢制限や年齢差別と誤解されやすい表現を避けることが重要です。 「20代活躍中」「30歳以下」「若者歓迎」などの表現は、原則として違法または不適切とされる場合が多く、トラブルの原因となります。 これらの表現を使うことで、応募者の幅を狭めるだけでなく、法令違反による指導や掲載停止のリスクも高まります。 以下の表で、避けるべき表現とその理由をまとめます。

避けるべき表現理由
20代活躍中年齢差別と誤解されやすい
30歳以下原則違法
若者歓迎表記の仕方に注意が必要

「20代活躍中 → 年齢差別と誤解されやすい」

「20代活躍中」という表現は、20代以外の応募者を排除していると受け取られる可能性が高く、年齢差別と誤解されやすいです。 実際には幅広い年齢層が活躍している場合でも、特定の年代を強調することで、法令違反とみなされるリスクがあります。 求人票では、年齢に関係なく活躍できる職場であることをアピールする表現に切り替えましょう。

「30歳以下 → 原則違法」

「30歳以下」という年齢制限は、例外規定に該当しない限り、原則として違法です。 このような表現を求人票に記載すると、ハローワークや求人媒体から掲載を断られるだけでなく、行政指導や損害賠償請求のリスクも生じます。 年齢制限を設ける場合は、必ず法的根拠や合理的な理由があるかを確認し、必要な手続きを踏みましょう。

「若者歓迎 → 表記の仕方に注意が必要」

「若者歓迎」という表現も、年齢制限や年齢差別と受け取られる可能性があるため、表記の仕方に注意が必要です。 たとえば「未経験者歓迎」「新卒・第二新卒歓迎」など、年齢に直接触れない形で募集要件を伝える工夫が求められます。 年齢に関する表現は極力避け、職務内容や求めるスキル・経験でアピールしましょう。

OKとされる表現の工夫

年齢制限を避けつつ、求める人材像を伝えるためには、表現の工夫が必要です。 「未経験から育てます」「長期キャリア形成のため若年層を対象」など、年齢に直接触れずに募集の意図を伝える方法があります。 また、「体力を使う業務のため体力に自信のある方」など、職務要件を明確にすることで、年齢に依存しない募集が可能です。 以下に、OKとされる表現例をまとめます。

  • 未経験から育てます
  • 長期キャリア形成のため若年層を対象(※例外手続きが必要な場合あり)
  • 体力を使う業務のため体力に自信のある方

「未経験から育てます」

「未経験から育てます」という表現は、年齢に関係なく幅広い応募者を歓迎する姿勢を示すことができます。 特定の年齢層をターゲットにするのではなく、成長意欲やポテンシャルを重視する採用方針をアピールできます。 このような表現は、法令違反のリスクも低く、応募者の幅を広げる効果も期待できます。

「長期キャリア形成のため若年層を対象」※例外手続きが必要な場合あり

「長期キャリア形成のため若年層を対象」という表現は、例外規定に該当する場合に限り使用できます。 この場合、求人票にその理由や育成方針を明記し、必要に応じてハローワーク等で手続きを行うことが求められます。 単なる年齢制限と誤解されないよう、具体的なキャリアパスや育成計画を記載しましょう。

「体力を使う業務のため体力に自信のある方」など職務要件で説明する

「体力を使う業務のため体力に自信のある方」など、職務要件を明確にすることで、年齢に依存しない募集が可能です。 このような表現は、業務内容に基づいた合理的な要件であり、年齢制限とみなされるリスクが低いです。 求める人物像をスキルや経験、業務適性で定義することが重要ですikaner

年齢制限をかけたい企業がやりがちなNG行為

年齢制限を設けたい企業が無意識にやってしまいがちなNG行為は、法令違反やトラブルの原因となります。 たとえば、面接で年齢を理由に不採用を伝えたり、応募受付の段階で年齢を確認したり、求人媒体に年齢制限を暗示させる表現を書くことなどが挙げられます。 これらの行為は、雇用対策法や関連法令に抵触するだけでなく、企業のイメージダウンや損害賠償リスクにもつながります。 以下に、企業がやりがちなNG行為をまとめます。

  • 面接で年齢理由の不採用を伝える
  • 応募受付の段階で年齢を確認する
  • 求人媒体に年齢制限を暗示させる表現を書く

面接で年齢理由の不採用を伝える

面接時に「年齢が理由で不採用」と伝えることは、明確な年齢差別に該当し、法令違反となります。 たとえ企業側に意図がなくても、応募者から不当な扱いと受け取られる可能性が高く、トラブルや訴訟のリスクが生じます。 不採用理由は、スキルや経験、適性など、年齢以外の客観的な基準で伝えることが重要です。

応募受付の段階で年齢を確認する

応募受付時に年齢を確認したり、年齢を理由に応募を断ることも、原則として禁止されています。 年齢確認が必要な場合は、法令で定められた例外に該当するかどうかを慎重に判断しなければなりません。 年齢以外の情報で応募者を評価し、選考を進めることが求められます。

求人媒体に年齢制限を暗示させる表現を書く

求人媒体に「若手中心の職場」「20代が多い」など、年齢制限を暗示させる表現を記載することもNGです。 これらの表現は、年齢による応募制限や差別と受け取られる可能性があり、求人媒体から掲載を断られることもあります。 職場の雰囲気や求める人物像は、年齢に依存しない形で表現しましょう。

違反した場合のリスク

求人で年齢制限に関する法令に違反した場合、企業にはさまざまなリスクが発生します。 ハローワークからの指導や改善命令、求人媒体の掲載停止、さらには応募者からの損害賠償請求など、経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 違反が公になることで、企業の社会的信用やブランドイメージが損なわれることもあるため、十分な注意が必要です。 以下に主なリスクをまとめます。

  • ハローワークから指導・改善命令の対象
  • 求人媒体の掲載停止やアカウント制限
  • 応募者からのトラブル・損害賠償請求に発展する可能性

ハローワークから指導・改善命令の対象

年齢制限に関する法令違反が発覚した場合、ハローワークから指導や改善命令を受けることがあります。 指導に従わない場合は、求人票の掲載停止や、今後の求人受付が制限されることもあります。 行政からの指導は企業の信頼性にも影響するため、法令遵守が不可欠です。

求人媒体の掲載停止やアカウント制限

求人媒体でも、年齢制限や年齢差別に該当する表現がある場合、掲載停止やアカウント制限などの措置が取られることがあります。 一度掲載停止となると、再掲載までに時間がかかるだけでなく、他の求人媒体にも影響が及ぶ可能性があります。 求人活動の継続性を保つためにも、表現には十分注意しましょう。

応募者からのトラブル・損害賠償請求に発展する可能性

年齢制限による不採用や差別的な対応が原因で、応募者からトラブルや損害賠償請求に発展するケースもあります。 特に、証拠が残るメールや録音などがある場合、企業側が不利になることが多いです。 法令違反による損害賠償は、金銭的な負担だけでなく、企業の評判にも大きなダメージを与えます。

結論:求人で年齢制限は戦略的に避けるべき

求人で年齢制限を設けることは、法令違反のリスクが高く、企業にとって多くのデメリットがあります。 法令遵守はもちろん、応募者の幅を広げることで、より多様な人材を確保できるというメリットもあります。 年齢にとらわれず、能力や経験、役割に基づいた採用基準を設けることが、現代の採用活動では求められています。 今後の求人活動では、年齢制限を戦略的に避けることが、企業の成長と持続的な発展につながります。

法令遵守だけでなく、応募数を最大化する効果がある

年齢制限を設けないことで、応募者の母集団が広がり、より多くの優秀な人材と出会える可能性が高まります。 法令遵守はもちろん、採用活動の効率化や企業イメージの向上にもつながります。 多様な人材を受け入れる姿勢が、企業の競争力強化にも寄与します。

求める人物像は能力・経験・役割で定義することが重要

求人票では、年齢ではなく、求める能力・経験・役割を明確に定義することが重要です。 たとえば「リーダーシップがある方」「未経験から成長したい方」「専門資格をお持ちの方」など、具体的な要件を記載しましょう。 これにより、年齢に関係なく多様な人材が応募しやすくなり、企業の成長につながります。

この記事を書いた人

岩本浩一社会保険労務士・採用定着士
岩本 浩一(いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表社員

採用と定着に特化した人事労務のスペシャリスト。愛媛県社会保険労務士会所属(登録番号:3806011)。愛媛県松山市を拠点に、地元企業のみならず全国の企業の組織成長を支援している。「人手不足を解消し、持続可能な組織をつくる」ことをミッションに掲げ、理論と現場のリアリティを融合させたコンサルティングを展開。

特に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」を活用した退職金制度の構築に定評がある。従業員の将来設計を支える福利厚生の整備と、経営側のコスト効率化を両立させる専門的なスキームにより、採用力の強化と離職率の低下を同時に実現。数多くの中小企業における組織課題を解決へ導いてきた。

地域経済への貢献にも注力しており、地元メディア『愛媛経済レポート』にて採用定着をテーマとした連載を長期にわたり担当。また、AI技術を活用した情報発信のパイオニアとしても活動しており、YouTubeチャンネル『あいパートナーズ AI労働解説』やPodcast『博識な猫タマとクロの資料解説』を通じて、労働法や人事トレンドの最新情報を、経営者や人事担当者に向けて分かりやすく解説している。