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精神障害の労災認定基準に沿った企業のメンタルヘルス対策

精神障害に関連する労災認定は、業務上の「強い心理的負荷」によって社員が精神障害を発症した場合に認定される可能性があるため、企業としては労災リスクを抑えるための対策が不可欠です。


精神障害の労災認定基準に沿った企業のメンタルヘルス対策を講じることで、社員の健康を守り、安心して働ける環境を提供するために、日常的な取り組みを強化していきましょう。以下の項目に沿って、具体的な対策を紹介します。

精神障害の労災

✅長時間労働や過重業務の管理

過度な労働時間や業務量は社員の心身に大きな負担をもたらし、精神障害の労災リスクを高める要因となり得ます。


そのため、企業は労働時間と業務量のバランスを徹底管理する必要があります。具体的には、残業の削減や適切な休暇取得を推奨し、社員が疲労を溜めることなく健康を保てるようにしましょう。


また、定期的に業務内容を見直し、特定の社員に業務が集中しないよう配慮することが、過重労働防止と精神障害の労災対策の鍵です。


✅ハラスメント防止の徹底

ハラスメント、特に厚生労働省が定めた「6つのパワハラ類型」に含まれる行為は、精神障害の主な原因として認定されることが多いため、企業としてはハラスメントの防止に力を入れる必要があります。


パワハラやセクハラ防止のため、社員向けの教育プログラムを定期的に実施し、社内で匿名で相談できる窓口を設置することが効果的です。また、ハラスメント問題が発生した際には、迅速に調査・対応を行い、再発防止策を講じることが重要です。


『パワーハラスメントの6類型とは』

厚生労働省が定めた「パワーハラスメントの6類型」は、上司がどのような行為によって部下に心理的な負荷を与えるかを具体的に示しています。企業がこれらを理解し、予防策を講じることで、パワハラ防止および労災リスク軽減につながります。


1. 身体的な攻撃

 身体的な攻撃とは、上司が部下に直接的な暴力を加える行為です。殴る、蹴る、物を投げつけるなどの暴行が典型的な例です。こうした行為は精神的だけでなく身体的な被害も伴うため、パワハラとして特に深刻な類型とされています。


2. 精神的な攻撃

 精神的な攻撃は、上司が部下に対して精神的な圧迫や威圧を与える行為です。暴言や脅迫、人格を否定するような言葉を投げかけることや、部下を侮辱して心理的に追い詰めることがこれに当たります。こうした言動は部下の精神的健康に大きな影響を及ぼします。


3. 人間関係からの切り離し

 人間関係からの切り離しは、上司が特定の部下を意図的に孤立させる行為です。例えば、会議やプロジェクトからその部下を除外したり、意図的に無視することが該当します。孤立させることで部下の精神的なストレスが増大し、職場での自己価値感の喪失を招くため、パワハラとされています。


4. 過大な要求

 過大な要求は、上司が部下に過剰な業務を割り当てるほか、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での長時間勤務や、業務とは直接関係のない作業を強制する行為です。例えば、明らかに不可能な期限での業務達成を求めたり、極端な温度環境や不十分な休憩条件下での作業を課すことがこれに当たります。また、業務に関係のない雑用を強要することもパワハラの一例とされています。これにより、部下が精神的・身体的な負担を抱え、最終的に精神障害リスクが高まる可能性があります。


5. 過小な要求

 過小な要求は、上司が管理職である部下を退職に追い込むために、通常の役職やスキルに見合わない低いレベルの業務や業務に無関係な雑務ばかりを意図的に与える行為です。部下のスキルや経験を無視して責任のない業務に従事させたり、本人にとって無意味と感じさせる業務を任せることにより、部下の自己評価が下がり、職場での存在意義を見失わせることで、退職を促すような心理的負担をかける行為とされます。


6. 個の侵害

 個の侵害は、思想や信条を理由に、集団で同僚の一人に対して職場内外で継続的に監視し、他の従業員にその者と接触しないよう働きかけたり、私物の写真を無断で撮影する行為です。このような過剰な監視や干渉は部下の尊厳を著しく傷つけ、心理的な負担を与えるため、パワハラの一種とされています。


✅メンタルヘルスサポートの提供

社員が安心して働ける環境を築くために、ストレスチェックやメンタルヘルス研修を行いましょう。カウンセリングサービスの導入や、社内外でのサポート体制の構築も重要です。


早期発見とサポートが、精神障害の発症を予防する鍵となります。


✅適切な評価と配置転換

業務内容や配置転換が負担にならないように、社員の適性や希望に応じた配置や評価を心がけることも大切です。


役割の変化に伴う心理的な負担を最小限に抑えるため、定期的な面談や相談機会を設け、社員が安心して業務に臨めるようサポートしましょう。


✅信頼と透明性のある職場環境の構築

職場での透明性と信頼感のある評価制度は、社員が心理的に安心できる土台になります。社員が意見を自由に発信できる環境を築き、悩みを相談しやすい風通しの良い企業文化を作ることで、心理的な負担の予防にもつながります。


✅社労士のサポートで安心の職場づくり

社員教育やハラスメント対策、メンタルヘルス支援にお悩みの際は、当事務所にご相談ください。労災リスクを軽減するためのアドバイスをいたします。


顧問契約により、いつでもご相談いただける体制を整え、企業の職場環境づくりをサポートいたします。


社員のメンタルヘルスを守る取り組みは、企業全体の成長にもつながります。労災リスクを減らし、社員が安心して働ける環境を目指し、一緒に前向きな対策を進めていきましょう。

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